更新日:2018/02/20 14:22
写真:陽月 よつか
地図を見る鉄道線路の十字交差を見られる場所は日本でただ1カ所だけ、その線路があるのは名古屋鉄道・築港線。名鉄名古屋駅から常滑線準急で約10分の大江駅から発着する、名古屋港の方へと走る路線です。また名古屋に住んでいる人でも乗ったことのない人が多いレア路線でもあります。
というのも、名古屋鉄道の築港線は名古屋港へ通勤する人のための路線。電車の時間も通勤時間の朝と夕方にしかありません。そして停車駅はと言えば、写真の電車の前面ガラスに表示の通り「大江−東名古屋港」の2駅のみ。この駅間約1.5kmを3分ほどでゆったりと繋ぐ名古屋鉄道・築港線の途中に、日本でここでだけ見られる線路ポイントがあるのです。
大江駅から東名古屋港駅間は大通りが走っており、線路沿いに歩いていくことができます。昼は電車の走らないのどかな線路の傍らを歩いていくと…。
写真:陽月 よつか
地図を見る見えてくるのがこちらの線路! 2本の線路がほぼ直角に交わっていますね。これが日本ではここだけで見ることのできる普通鉄道同士の平面十字交差、直交ダイヤモンドクロッシングです。(ダイヤモンドクロスとも呼ばれます)
ダイヤモンドクロッシングとは、平面交差、つまり2本の線路が平面上で十字やX字に交差する構造のこと。線路と線路の交差した間の形がひし形(ダイヤモンド型)になることからダイヤモンドクロッシングと呼ばれます。交差しているだけのため、もう片方の線路へ進路変更はできないのが特徴で、直角に交わるものを直交、直角以外の角度で交わるものを斜交と言います。
写真:陽月 よつか
地図を見るダイヤモンドクロッシング自体がかなり珍しいのですが、中でも今も稼働している直交のものとなるとたいへん数が少なく、国内で見られるのはわずか3カ所のみ。そのうち他2カ所は鉄道と路面電車(伊予鉄道)、路面電車同士(とさでん交通)の組み合わせです。なので普通鉄道同士の平面十字交差、中央が正方形となるダイヤモンドクロッシングが見られるのは、日本でここだけなのです。
またダイヤモンドクロッシングは利便性などの問題からどんどんその数が減っており、今後新たに設置される見込みもほとんどありません。ですのでこちらの線路は、日本唯一にして日本最後の鉄道の直交平面交差と言えるかもしれません。
見ているとドキドキするレトロな線路、ついつい近づきたくなりますが、もちろん線路へは立入禁止です。手前の立入禁止線から先へは入らないよう、気をつけて下さいね。
写真:陽月 よつか
地図を見るでは鉄道の線路同士のダイヤモンドクロッシングと路面電車の線路のものとでは、一体何が違うのでしょうか? もちろん鉄道と路面電車では走る車両も線路も違うのですが、一番違いが感じられるのは、電車が通過する時の音かもしれません。
ダイヤモンドクロッシングでだけ聞けるもの、それは一風変わった電車の通過音。分岐のある線路上を車両が通過する時の音をジョイント音と言いますが、平面交差のジョイント音は通常の線路とは違うちょっと独特な音になります。そして路面電車の線路では音が小さくなってしまうため、一番体感できるのが鉄道線路が交差するこの場所なのです。
朝早くか夕暮れにのみ響く、キトキトキトン、との金っぽい音。踏切から聞くもよし、乗車して聞くもよし、ぜひ一度体感してみてくださいね。
写真:陽月 よつか
地図を見るダイヤモンドクロッシング前の踏切がこちら。なんとここの踏切には遮断機がありません。じゃあもう使われない線路なのかと思えばそうではなく、こちらの線路もちゃんと現役稼働しています。
名古屋鉄道・築港線と交差するこちらの線路は、名古屋臨海鉄道・東築線。貨物線なので一般の乗客の乗る電車が通ることはなく、稼働も不定期です。ですのでこちらの線路を列車が通る際には、踏切の警報器を鳴らし、係員が車の通行を一時停めて、列車を通過させるのです。
写真:陽月 よつか
地図を見るダイヤモンドクロッシングの反対側はこちら。引き込み線の線路の他は何もないように見えますが、実はここは駅舎のない駅・名電築港駅。一般乗客の出入りがない貨物駅のため、築港線路線図に記載されない駅なのです。
貨物駅とは言うものの、ここを通る貨物は列車に積まれた荷物ではなく車両そのもの。輸出入する車両や新車両を輸送するための線路であり、役目を終えた車両を迎える線路でもあるのです。また廃棄車両の解体もこの名電築港駅敷地内で行われます。言わば名電築港駅は名鉄の殆どの車両の、車両人生の始発駅であり終着駅なのですね。
写真:陽月 よつか
地図を見るぜひ乗ってみたい築港線ですが、電車は平日は朝に10本、夕に18本(休日は朝5本夕14本)のみ。昼間はホームに立ち入れないよう大江駅の築港線改札が一時閉鎖されます。ですがこの改札、確かに築港線大江駅にある改札なのになぜ「東名古屋港駅の出場用改札口」…?
写真:陽月 よつか
地図を見るその理由は東名古屋港駅にあり。まるで道路の延長のようにホームへ入れてしまうこの東名古屋港駅には、改札も切符売り場もありません。築港線には停車駅が起点と終点の2つしかないので、東名古屋港駅の改札機も切符売り場も始めから大江駅に置いてあるというわけ。駅と改札を別々の場所に置いてしまうとはびっくりですね!
鉄道ロマンのつまった築港線の運賃は、大江駅−東名古屋港駅間170円。大江駅へは名古屋から約10分、中部国際空港(セントレア)から約30分です。どうぞ楽しんでご乗車くださいね。
住所:愛知県名古屋市大江町9番地8(名電築港駅)
アクセス:名古屋鉄道・東名古屋港駅より徒歩7分、大江駅より徒歩20分
この記事の関連MEMO
この記事を書いたナビゲーター
陽月 よつか
奈良・神戸・沖縄を中心とした全国の旅情報を、ちょっとオタクなノリからご紹介しています。ご紹介場所は主に、神社仏閣、パワースポット、伝統文化や歴史スポット。それに温泉とご当地グルメ。鉄道や駅、ホテルや旅…
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