マイスター工房八千代の名物巻きずし 北播磨山中の1日1500本に行列も

マイスター工房八千代の名物巻きずし 北播磨山中の1日1500本に行列も

更新日:2018/02/13 12:23

塚本 隆司のプロフィール写真 塚本 隆司 ぼっち旅ライター
ボリュームたっぷりの名物巻きずし。それでいて価格もお手頃。
兵庫県のほぼ中央、北播磨と呼ばれる山に囲まれた多可町八千代区に名物巻きずし「天船巻き寿司」で行列ができる店「マイスター工房八千代」がある。その販売数は1日1500〜2000本、節分の日だけで1万7千本を売り上げる。
地元食材を使い丁寧に巻き上げる1本を求め、日本全国からファンが訪れる巻きずし。その魅力と買い方を紹介したい。

節分には1万7千本を手作り「マイスター工房八千代」

節分には1万7千本を手作り「マイスター工房八千代」

写真:塚本 隆司

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神戸から車でおよそ1時間半。周囲を山に囲まれたのどかな風景が広がる兵庫県多可町の「マイスター工房八千代」の土日の朝は、名物の巻きずしを買い求める人の列でにぎわう。
道の駅のように国道沿いにあるわけでもなく、大きな広告看板で存在を知らすわけでもない。山裾の集落を通る道沿いの小さな地産地消の直売所の風景だ。
目指したのは「田舎のコンビニ」。コンビニエンスストアなんてない田舎。施設長の藤原たか子さんが、気軽に立ち寄れなんでもそろうコンビニに憧れ、田舎らしいコンビニを目指したのが始まりだ。

名物の巻きずしとは、1日に1500本〜2000本売り上げる「天船(あまふね)巻き寿司」。2018年の節分の日だけで1万7千本を売り上げた脅威の巻きずしだ。その全てが店内での手作り。地方発送はしない。買い求めるためには「マイスター工房八千代」まで足を運ばなければならない。

お手頃価格で1度食べればファンになる名物巻きずし

売れる商品には理由がある。世の中にはインスタ映えなど人気商品があるものの、継続して人気を保つのは並大抵のことではない。この「天船巻き寿司」は、発売から17年になるが、口コミで広がり年々販売数を増やしているロングセラーだ。
多くのテレビや雑誌にも取りあげられ、全国放送の「秘密のケンミンショー(日本テレビ)」などで紹介されてからは、北は北海道、南は九州鹿児島から訪れる。今や観光バスツアーが立ち寄るグルメスポットだ。

お手頃価格で1度食べればファンになる名物巻きずし

写真:塚本 隆司

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「天船巻き寿司」の特徴は、写真を見ての通り。ぎっしり詰まった具の多さに驚く。キュウリは2分の1本を使用し、濃いめに味付けた肉厚のシイタケやかんぴょう、高野豆腐、卵焼きを多可町産のコシヒカリと兵庫県産のりで巻き上げる。これで1本540円(消費税込)というお手頃価格。人気があるのもうなずける。

人気の商品だけに使用する食材量も半端ない。それでも使うのは地元産。地域農家が生産量を増やし、この地で新たに農業を始めた人もいるほど。まかないきれない分は兵庫県産を調達する徹底ぶりだ。
調理は地元のお母さんらが担当。朝2時の米炊きから始まり、長年の試行錯誤から生まれた味付けや切り方で品質を守っている。バラツキが出ないように施設長が毎日チェックした、愛情たっぷりの逸品だ。

おすすめの食べ方は、キュウリを最後にするのがいい。甘辛い具を味わった後に、シャッキとしたキュウリでサッパリ締めれば、心地よい食感がクセになる。
キュウリは多可町の山や森、しっかり焼き目の付いた卵焼きや具は実りある田や畑だ。地元食材を地元の風景に見立てている。
「天船巻き寿司」には多可町八千代区のお母さんたちの「安心でおいしいものを届けたい」という思いが、ぎっしり詰まっているのだ。

お手頃価格で1度食べればファンになる名物巻きずし

写真:塚本 隆司

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「もったいない」の精神で生まれた「見捨てないシリーズ」

「もったいない」の精神で生まれた「見捨てないシリーズ」

写真:塚本 隆司

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「天船巻き寿司」以外にもサバ寿司や鮭寿司などの人気商品がある。その人気商品を作る過程の 切れ端などを”見捨てない”のが「マイスター工房八千代」のモットー。端材をうまく活用した巻きずしや「ばら寿司の素」などが「見捨てないシリーズ」として店内に並ぶ。中にはキュウリの皮を揚げたオリジナル商品もある。これらの商品購入は当日の早い者勝ちだ。

「もったいない」の精神で生まれた「見捨てないシリーズ」

写真:塚本 隆司

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他にもおはぎやドーナツ、お総菜など田舎のコンビニらしい商品があるので、楽しみにして訪れるといい。写真は大福餅の「だいふく福おとめ」。スーパーで見かけるような商品とは違い、しっとり軟らかい餅に甘すぎない粒あんが入った大きな大福。懐かしさがこみ上げてくる。

「もったいない」の精神で生まれた「見捨てないシリーズ」

写真:塚本 隆司

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人気巻きずしの買い方は前日予約がおすすめ

人気巻きずしの買い方は前日予約がおすすめ

写真:塚本 隆司

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1日1500本〜2000本売れる「天船巻き寿司」は前日までの予約がおすすめだ。当日販売分は朝9時の営業後1〜2時間で売り切れる。土日ともなると予約分だけで当日分がほとんどないことも。
営業日は木曜日から日曜日の週4日間。オープン1時間前の朝8時に店頭での整理券配布が始まる。連休や年末などレジャーシーズンなら朝8時に行っても遅い。夜明け前から行列ができるのだ。朝8時より早く、店頭にスタッフがいない場合は、店内で作業中のスタッフに声を掛ければ整理券を渡してくれる。

確実に購入したいなら、前日までの電話予約がおすすめだ。
予約購入の場合は行列ができる店頭ではなく、歩いてすぐのところにある「マイスター工房 喫茶マイスター」横での受け渡しになる。当日販売分の列に並ばなくてもいい配慮だ。

ちなみに2018年の節分用は1月中頃に予約が打ち切られている。食材が調達できないほど予約が殺到した。遅くても年明け早々には予約をした方がよさそうだ。
どうしても欲しいなら、当日販売用に3000本ほど用意する予定というから、気合を入れて夜明け前から並ぶしかない。

人気巻きずしの買い方は前日予約がおすすめ

写真:塚本 隆司

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写真は店舗前の行列ができる場所にある自動販売機。近くの観光スポット「ラベンダーパーク多可」にちなみ、ラベンダーの香りが漂う仕掛けがある。

「もったいない・見捨てない」があふれる取り組み

「もったいない・見捨てない」があふれる取り組み

写真:塚本 隆司

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「マイスター工房 喫茶マイスター」は、歩いてすぐの場所にある喫茶店だ。「マイスター工房 喫茶マイスター」の建物は、元幼稚園で遊具もそのまま残っている。巻きずしなどの加工販売をしている建物は元JAだ。市町村統合により使われなくなった建物を“もったいない・見捨てない”と再利用している。

「もったいない・見捨てない」があふれる取り組み

写真:塚本 隆司

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喫茶マイスターの営業は朝8時から。巻きずし購入の整理券を8時にもらってから、ここでモーニングをいただくのがおすすめコース。ここのモーニングセット(450円)もボリューム満点だ。
他のメニューからも“もったいない精神”が感じられる。品数が多いと人気のランチ「マイスター定食」(限定30食)や巻きずしを持ち込みで食事する場合に提供しているすまし汁(200円)も無駄なく食材を使い切る“もったいない・見捨てない”メニューだ。

何よりも一番のオススメは「人よし味よし笑顔よし」。働くのは地元のお母さんたち。「高齢者なのに、見捨てず働かせてもらっているの」と笑顔でパワフルで話し好きなこと。元気に働く姿を見ているだけでも来た価値があり、また来たくなる。

「マイスター工房八千代」の基本情報

住所:兵庫県多可郡多可町八千代区中村46-1
営業時間:加工部9時〜16時(売り切れ次第閉店)、喫茶マイスター8時〜16時
定休日:月・火・水(節分対応のため2/1午後、2/2は休み)
電話番号:加工部(巻きずし予約)0795-30-5516、喫茶マイスター0795-30-5115
アクセス:中国縦貫自動車道 滝野・社ICまたは加西ICから約40分
駐車場:40台(奥15台)/大型バス1台、土日は西側の多可町役場仮本庁舎に駐車可能
最寄りの観光スポット: ラベンダーパーク多可(西日本最大級のラベンダー畑、見頃は5月中旬〜7月中旬)、多可町北播磨余暇村公園(ファミリーに人気の公園)

2018年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/01/18 訪問

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