四大精進料理の一つ“黄檗普茶”を本場で食す・京都宇治『白雲庵』。明朝時代から続く伝説の味を訪ねて…

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四大精進料理の一つ“黄檗普茶”を本場で食す・京都宇治『白雲庵』。明朝時代から続く伝説の味を訪ねて…

四大精進料理の一つ“黄檗普茶”を本場で食す・京都宇治『白雲庵』。明朝時代から続く伝説の味を訪ねて…

更新日:2014/02/10 14:03

中井 靖のプロフィール写真 中井 靖 お遍路ナビゲーター

京宇治茶の発祥地、宇治黄檗山(おうばくさん)萬福寺門前に佇む白雲庵(はくうんあん)は、中国の精進料理とされる普茶(ふちゃ)料理を食べることができる老舗の料理店です。
その献立は黄檗普茶料理の伝統を今に伝えるもので、二汁六菜を基本に胡麻豆腐や季節の薬味、天婦羅など京野菜から中華食材まで厳選された素材を風味豊かに再現しています。今回は来る人の五感すべてを満足にする老舗の仕掛けを探ってみましょう。

隠元禅師の開いた黄檗宗大本山萬福寺の琴線に触れてみよう

隠元禅師の開いた黄檗宗大本山萬福寺の琴線に触れてみよう

写真:中井 靖

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『白雲庵』があるのは京都・宇治黄檗山萬福寺の向かい側。
萬福寺とは1661年にこの地で開かれたことにより、正式に黄檗宗に認められた日本で最も遅く開かれた仏教宗派として知られています。

黄檗宗は中国・明(みん)時代の高僧隠元(いんげん)禅師が1654年に日本に渡来し広めた禅宗の一派で、臨済宗(禅宗)の流れを汲んでいます。ですので、萬福寺では中国明朝の伽藍様式を取り入れられ、他の宗派にはない中国的な香りを感じることができるのです。

本堂は大雄宝殿(だいゆうほうでん)と呼ばれ、正面には釈迦如来。その両脇には迦葉尊者(かしょうそんじゃ)・阿難尊者(あなんそんじゃ)というお釈迦さまの十大弟子のお二人が祀られています。画像の総門の屋根には摩伽羅(まから)という像があります。摩伽羅とはガンジス河の女神の乗り物で、そこに生息しているワニをさす言葉です。アジアでは、聖域結界となる入り口の門・屋根・仏像等の装飾に使われています。その他にもたくさんの見どころが萬福寺にはあります。

さて隠元禅師は寺院伽藍だけでなく、美術・印刷・煎茶・普茶料理、隠元豆・西瓜・蓮根・孟宗竹(タケノコ)・木魚なども日本にもたらし、当時の日本文化全体に影響を与えたと言われています。
中でも中国風精進料理である「普茶料理」は日本の精進料理(禅僧が日常食する質素な食事)とはイメージが異なります。風味豊かで見た目も美しく盛りつけられる料理は、高タンパク・低カロリーで栄養面にも優れ、席を共にする人たちが一堂に楽しく感謝しながら料理をいただけるようにとの意味が込められています。

萬福寺門前の枯山水を配した見事な庭園を散策しよう

萬福寺門前の枯山水を配した見事な庭園を散策しよう

写真:中井 靖

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それでは大本山 萬福寺の総門前に建つ「白雲庵」の門をくぐってみましょう。
するとそこには見事な庭園と数奇屋の建物が目の前に飛び込んできます。
「白雲庵」は元は萬福寺の塔頭(たっちゅう)で、門にある白雲庵の額は隠元禅師が草庵に与えた筆蹟です。酒樽でつくられた茶室「自悦堂」には、白雲庵の開祖・自悦禅師の木像が祀られています。

精進料理を楽しむ前に目の前に広がる異空間を十分に堪能することができます。

料理は月・花の2コースがあります。いずれのコースを選んでも、二汁六菜という献立は同じです(品数や器が違う)。なお本来四名が基本の普茶料理ですが、白雲庵では一人からでも食事をすることができます。

他の精進料理にない“変わった食礼形式”を堪能しよう

他の精進料理にない“変わった食礼形式”を堪能しよう

写真:中井 靖

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料理は「長幼の別なく四人が大皿に盛られた菜を自由に取って食べるという食礼形式を正確に踏襲したものであり」と出された紙に書いてありますが、要するに中華料理屋さんで食べる際に円卓の真ん中に置かれた大皿の食材をみんなが自由に取って食べる方法のアレと同じだということでしょう。他の精進料理では考えにくい食礼形式に違いありません。

画像は干菓子を食した後に出された澄子:スメ(蘭茶・前汁)、蔴腐:マフ(胡麻豆腐)、雲片:ウンペン(吉野煮)、冷拌:ロンパン(和合物)です。

蔴腐…豆腐の上に乗る赤いクコの実がポイントで、グッとかわいく美しい彩です。
雲片…レンコン、ごぼう、松の実、きのこなど13種類の具入りで、すべてが身体に優しい素材です。吉野葛のとろ味加減が抜群で思ったよりも「ツルッ」と喉の奥に入っていきます。
冷拌…味付けが少し濃い目のようです。
このように彩がきれいな食材は視覚だけでも十分に楽しむことができます。

大皿に盛られた旬の素材は“彩”が見事です!

大皿に盛られた旬の素材は“彩”が見事です!

写真:中井 靖

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笋羹:シュンカン…菜煮の盛り合わせです。

見て下さい!この彩を!!
旬の食材はひとつずつ丁寧に調理され、口に含むと多彩な表情を見せてくれます。菜煮はそれぞれが柔らかで、さっぱりしています。

器の中央に配された梅の甘煮。中央の赤がお皿全体の色を引き締め、彩がきれいです。甘煮とはいえ「梅」なので、梅独特の酸味があるだろうと口に含むと…“全くない”のが驚きです。

器にはその他に、豆腐から作ったうなぎ蒲焼“もどき”など、食材としては使えない魚肉料理を 野菜・穀類・豆腐などで似せて作っています。「これなんだろう?」と味を確かめながら食べることも手伝って、決して飽きない工夫をそれぞれの菜煮に見ることができます。ハッキリ言って楽しい!!です。

一つ一つの素材を生かした味付けを十分に楽しもう!

一つ一つの素材を生かした味付けを十分に楽しもう!

写真:中井 靖

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油茲:ユジ…野菜の味付け天麩羅です。
梅干し、レンコン、長芋、みょうが、ごぼうなど、下味のついた揚げたての天婦羅です。菜煮で出てきた梅の甘煮の感覚で梅の天麩羅を食べると、こちらはちゃんと梅干ですが(笑)以外に美味です。

素汁:ソジュウ…おすまし、醃菜:エンサイ…香の物。
行堂:ヒンタン…季節の御飯です。季節によって旬の食材を利用した御飯をたべることができます。

以上のように白雲庵の精進料理は、風味豊かな食材をひと口づつ食べることができ、見た目も華やかに調理されています。また味は「五味」とされ、甘味、酸味、塩辛さ、苦さ、辛さを一度に味わえます。

食事の時間は約90分と時間的にものんびり楽しめるはず。品数が豊富で特に女性向けのコース料理として人気があります。


コース料理(ひとり):5,250円・6,825円の2コース
営業時間:午前11時〜17時
駐車場:乗用車10台
定休日:木曜(祝日は営業)
部屋:個室(4室)中広間(2室)大広間(1室)

五感で楽しめる精進料理をご賞味ください!

いかがでしたか?

白雲庵の精進料理は、素材本来の風味を生かすために淡白な味を本位としながら、色彩りや禅味の素朴さの中にも豪華さを追求したものであるといえ、その献立は二汁六菜を中心としています。
また庭園をはじめ視覚で楽しめる仕掛けは庵内にたくさんありますので食以外でも十分に堪能することができます。

この機会にぜひ京都・宇治「白雲庵」で黄檗普茶の精進料理を楽しんでください。

四大精進料理はこの他に高野山料理、永平寺料理、大徳寺料理に大別されます。それぞれの料理はその意味合いや発展した経緯が異なります。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/11/17 訪問

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