写真:永澤 康太
地図を見る一説によると沢渡温泉を開湯したのは、平安〜鎌倉時代の超有名武将、源頼朝。建久2年(1191年)、浅間山麓で行われた狩りの際に入浴したと伝わり、同温泉の宿「龍鳴館」の男性浴室に「頼朝の腰掛け岩」が鎮座している。肌に優しい湯として草津帰りの湯治客で賑わい、大正の歌人・若山牧水の「みなかみ紀行」に登場するなど隆盛を極めた。
しかし、昭和20年に大火が発生。昭和34年に復興するも、以後は大規模な開発も入らず、静かでこじんまりとした温泉郷に落ち着くが、温泉と有笠山を望む光景は今も変わらない。さて、「宮田屋旅館」は中之条駅側から来ると最初に現れる宿。斜面に建つ構造上、玄関の佇まいに反して奥行きがかなりある。そして、風呂と全ての客室が南向きで、全体的に明るく日当たりも良好だ。
写真:永澤 康太
地図を見る「宮田屋旅館」が力を入れているのが、足腰が弱い人の為の設備導入。手すりを取り付け、館内の段差を極力解消した他、エレベーター、手押し車、車椅子も完備。自立歩行が可能であれば楽に過ごせるようになっていて、高齢者に優しく、全ての人に利用しやすい宿であることを証明する「シルバースター登録制度」(全旅連実施)より施設認定を受けている。
写真:永澤 康太
地図を見る全11室の客室は、ほぼ和室で構成されるが、211号室はベッドを2台備えた和洋室となる。また、107号室は家族風呂との距離約5歩と移動の手間が省ける立地。足腰の調子に合わせて客室を選びたい場合、宿へ問い合わせを。なお、全室ウォシュレットでWiFiあり。
写真:永澤 康太
地図を見るチェックイン後、客室の窓辺に目をやれば、上州は吾妻の山々や木々が見渡せ、移動で疲れた体を幾分癒してくれる。部屋によっては、上毛三山の一つ「榛名山」を望め、ロケーションも文句なし。広縁(和洋室にはないが)に座って景色を眺めながら茶菓子で体力回復がベストかと。
写真:永澤 康太
地図を見る浴室は、男女別露天付大浴場、貸切露天風呂、家族風呂の3箇所からなり、無色透明な沢渡の湯を加水せずに注ぐ。上記写真の大浴場までは、もちろんエレベーターでもスムーズに移動可能で、24時間入浴可。浴室内にシャワーチェアを用意している。
湯船が温度差によって仕切られており、湯口側が熱く、もう片方は適温よりちょい熱いぐらいの仕上がり。ただ、常識的な範囲なので慣れてしまえば双方浸かって御気楽、極楽の湯浴みとなる。泉質はカルシウム・ナトリウム‐硫酸塩・塩化物温泉、肌がツルツルするというよりは、肌に馴染み沁みこむような柔らかな浴感。流石は一浴玉の肌といったところ。
写真:永澤 康太
地図を見る大浴場外に造られた「宮田屋旅館」自慢の露天風呂(上記写真)は、内湯との間に少々段差があるので注意。客室と同様に山を仰ぎ、四季折々の風景を楽しめる。とりわけ紅葉の季節は美しく、温泉も加わってそれはそれは格別だ。
こことは別の貸切露天風呂は、宿1階より階段を経由する必要あり。予約制をとり使用料無料、時間帯が設けられ利用時間は短めの40分。3・4人程度ならば楽に浸かれ、カップルはもとよりファミリーにぴったり。
写真:永澤 康太
地図を見る空いていれば自由に貸切利用が出来る家族風呂。24時間入浴可で宿1階に位置。もちろん誰でも使えるが、シンプルな造りをしている分、使い勝手が良く、入浴に手伝いを必要とする人がいる方(シャワーチェアあり)や、あるいは小さな子がいる家族連れに向いている。
写真:永澤 康太
地図を見る夕・朝食時にも宿の気遣いが生きている。食事処の全席がテーブルと椅子で統一され、これなら足腰に負担はかからず、お年を召した方も安心。高崎で仕込んだ日本酒の大盃や地酒の貴娘を始めとした酒類、ソフトドリンク、コーヒーも揃えてあり、楽しいひと時が過ぎてゆく。
写真:永澤 康太
地図を見る夕食で出る鍋物(10月〜5月)は28種類から、鉄板焼き(6月〜9月)は15種類から、ネット予約をした方限定で選べる。1グループ同一種類となるものの種類が多く、よく考えて注文を。それと宿の名物なのがグラタンで、地元の折田地区で収穫したリンゴグラタン(9月下旬〜ゴールデンウィーク頃)とポテトグラタン(5月〜9月)がある。どの季節に出掛けるか迷ってしまう。
素泊まりか朝食のみの方には、宿隣りの「よしのや」を推薦する。石臼で引いた蕎麦とうどんがメイン。ゴマクルミだれの「よしのやそば・うどん」や沢渡温泉ゆかりの人物、高野長英に発想を得たジャガイモ入りの「高野長英そば」を代表に、メニューは豊富。なんとチーズケーキとガトーショコラもあってビックリ。19時頃まで営業、不定休。(2018年3月現在)
写真:永澤 康太
地図を見る沢渡温泉の宿泊者特典として、沢渡温泉共同浴場が無料で利用出来る。興味がある方は宿フロントで入浴許可証を手に入れるべし。ただし道中はかなりの急坂で甘く見るとちょっと大変、要注意。
中は湯船が二つで飲泉OK。あつ湯とぬる湯に分かれている筈なのだが、正直どちらも熱く、熱いのが苦手な人は覚悟が必要。十分かけ湯をして、熱さに慣れた上で浸かると良い。あくまで地元の方が使う湯を借りているということを忘れず、マナーを守ろう。
足腰に自信がなく、不安から旅行へ行くのに二の足を踏んでいる方にこそ、「宮田屋旅館」をお勧めしたい。山の中にも関わらず、ユニバーサル的要素、つまり誰もが使いやすい点を抑えた宿は珍しいのだ。沢渡温泉は江戸時代の温泉番付でも紹介された名湯。気軽に宿と相談し、出掛けて「一浴玉の湯」を自身の肌で感じてほしい。
*一口メモ
泉質/カルシウム・ナトリウム‐硫酸塩・塩化物温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
立ち寄り入浴:不可
・一人旅は平日であれば受け入れ
2018年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/4/20更新)
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