写真:陽月 よつか
地図を見る軽便鉄道博物館があるのは、三重県を走る三岐鉄道・北勢線の終点「阿下喜駅」。北勢線は日本で3本だけのナローゲージ(特別狭軌)であり、その中でも最長の路線として知られています。(旅客営業を行っていないナローゲージは省いています)
ナローゲージとは一般的なものより線路幅の狭い線路のことで、その幅はわずか762mm。新幹線の線路(標準軌・1435mm)と比べると約半分の幅しかありません。そのため車体も一般的な電車車両よりずっと小柄で、営業している車両の中では一番の小ささ。まるでおもちゃの電車のようにかわいい路線なのです。
写真:陽月 よつか
地図を見るその終着駅である阿下喜駅は、日本最西端のナローゲージ駅でもあります。えっ三重県で最西?なんて意外に思った方もいるのではないでしょうか。ナローゲージ3路線のラインナップは、三重のこの三岐鉄道北勢線と、同じく三重の四日市あすなろう鉄道内部・八王子線、それに富山の黒部峡谷鉄道トロッコ電車。なのでこの駅が最西となるのです。(ただし黒部峡谷鉄道は冬季は休業するため、冬季のみ阿下喜駅はナローゲージ最西端・最北端の二冠駅となります)
そんな線路幅の狭い線路・ナローゲージの最西端駅阿下喜駅にある、更に小さな線路とは? その線路は電車からもホームからすぐに見える、阿下喜駅のお隣にあるのです。
写真:陽月 よつか
地図を見るこちらが15インチゲージ鉄道「北勢軽便鉄道・阿下喜線」のミニ電「ホクさん」。人が乗車することのできる世界で一番小さな電車で、阿下喜駅隣接の軽便鉄道博物館内を走っています。15インチとは381mm、ということはこの線路、ただでさえ狭いナローゲージの線路幅762mmの更にちょうど半分の幅!(蒸気やディーゼルの鉄道を含めた場合、世界で3番目に小さな鉄道です)
運転車両は全部で3台あり、イエロー×オレンジ(三岐鉄道カラー)、マルーンレッド(近鉄カラー)、クリーム×グリーン(三重交通カラー)のラインナップ。希望を言えば好きな色の運転車両を客室車両へつないでくれます。こんなに小さいのに子供でも大人でも乗れる上、嬉しいことに乗車は全て無料。そしてこの車両、全て手作りされた本物の電車なのです。
写真:陽月 よつか
地図を見るこちらが「ホクさん」の運転席。小型ながら計器もアクセルもブレーキもある本格派です。こちらを運転するには免許が必要なのですが、なんとその免許、こちらで講習を受けて取得することが可能! 安全確認など本格的な電車の運転講習を受けることができるのです。(「ホクさん」限定免許:有効期限は500円で半年、会員は1年。会員入会の場合、会費1000円。高校生以上、要予約、2時間ほどの講習の後に試験あり)
写真:陽月 よつか
地図を見る気軽に運転してみるなら軌道自転車もありますよ。自転車にトロッコをつけた形で、こちらは小学生以上なら運転可能。「ホクさん」と同じ線路を走ります。晴れた日には遥か藤原岳を臨みながら気持ちよく走ることができますよ。
ちなみに「ホクさん」と軌道自転車の走る「北勢軽便鉄道・阿下喜線」の15インチ線路は全長約180メートル、写真前方にある転車台をぐるりと大きく巡ります。
写真:陽月 よつか
地図を見るミニ電車「ホクさん」や軌道自転車が走る線路の隣には、昔北勢線で実際に使われていた車両「モニ226」。昭和6年製造の木造車両で、軽便鉄道博物館の開館日にだけ乗車することができます。モーターを外してあるため走ることはできませんが、ちゃんとナローゲージに乗っていますよ。おそろいのお顔のミニサイズ「ホクさん」と並ぶと、電車の親子みたいでとってもかわいい!
写真:陽月 よつか
地図を見る「モニ226」の車内は昭和の香りの懐かしく漂うノスタルジックな空間です。こちらは昭和58年まで実際に使用されていた車両を、4年がかりで修復したもの。車体は鉄板が腐食していた下30センチほどをすべて切り取り溶接し、出入り口の扉・窓はすべて当時のラワン材で作り直し。シートの中のスプリングも修復し、強度に関係ない部分は真ちゅうのねじを使うというこだわりの仕上げで、当時のままに再現されています。
ちなみにこちらの車両、映画「DESTINY 鎌倉ものがたり」で印象的な現世と黄泉の国を行き来する電車と同時代のもので、内装の造りもほぼ同じです。映画を観た方、ぜひご堪能ください!
写真:陽月 よつか
地図を見るそんなこだわりの世界最小電車「ホクさん」や展示車両「モニ226」のある、軽便鉄道博物館ってどんなところ? それがこちら、「ホクさん」たちの収納庫でもある、線路の引き込まれた建物です。こちらも全て見学無料。大きく開かれた扉の中へ、線路をまたいで入ってみると…?
写真:陽月 よつか
地図を見る博物館の中にはかつて実際に使用されていたプレートや、歴史をわかりやすく学べる展示パネル、写真やジオラマなどがぎっしり! 無料の小さな博物館なのにその資料の量と質は圧倒されるほどです。というのもこちらは北勢線がかつて廃線の危機に晒された折、その存続活動のためにと立ち上がった人たちの手による博物館。一つ一つにスタッフさんの思い入れが詰まっているのです。
写真:陽月 よつか
地図を見る展示されているジオラマは縮尺1/80 〜87。ミニ電車「ホクさん」同様、こちらもスタッフさんによる手作りです。鉄道にちっとも詳しくなくても大丈夫、スタッフさんたちが楽しく解説してくれますよ。パンフレットやグッズなどもこちらで扱っているので、どうぞ見てみてくださいね。
写真:陽月 よつか
地図を見るナローゲージや15インチゲージやジオラマなど、軽便鉄道博物館にあるのは小さな可愛い鉄道ばかり。まるで小さな電車のミニテーマパークです。それでいて設備は本格的、子どもも大人も初心者もツウもみんな一緒に楽しむことができるのです。
車両の他にも、かつて木材運搬に使われ阿下喜駅の北部に埋もれていたものを移設・復元した転車台や、現在も使用されているものの中では最古に近い1908年制線路など、掘りどころがたくさん。またマルーンレッド(近鉄カラー)の北勢線車両が現存するのはここだけなので、ここでしか撮れない車両そろい踏みのシャッターチャンスもたくさんあります。ちょっとだけでもいいけれど、じっくり長居しても遊べますよ。
この軽便鉄道博物館、開館は第1・第3日曜日の10:00〜16:00のみ。月に2回のレアな機会、どうぞ狙って訪れてみてくださいね。(お正月など、例外になる月もあります)
写真:陽月 よつか
地図を見るなお軽便鉄道博物館は全て無料、入館券などもありません。なのでその代わりにレトロな硬券はいかがでしょうか? こちらは阿下喜駅でだけ購入可能の限定切符。自動改札はもちろん通れませんが、通常切符として使った後は駅員さんに言えばそのまま持ち帰ることができます。日付入り・整理番号入りで、ちょっとおすすめの記念品です。(当切符は枚数限定販売です)
なお、三岐鉄道については関連MEMO『日本に3本のレア線路!三重の三岐鉄道・北勢線に撮り鉄が集まる理由とは?』をどうぞ。
住所:〒511-0428 三重県いなべ市北勢町阿下喜687
電話番号:0594-72-3600(阿下喜駅)
アクセス:三岐鉄道北勢線 阿下喜駅隣接
2018年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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