《若い日の思い出》 1968年 損保ジャパン日本興亜
憂いある美人画で一世を風靡した東郷青児。彼がもともとは前衛的な画家としてスタートしたのはご存知でしょうか。
18歳で初個展を開いた早熟な少年。「青児」という雅号は青山学院中学部の生徒であるということをもじったものなのだそう。
写真:Sige panda
地図を見る初個展のきっかけは、童謡 赤とんぼの作曲などで知られる、作曲家の山田耕筰との出会いでした。東京フィルハーモニーの練習所の一室で音楽を聴きながら描いたとされる「コントラバスを弾く(写真左)」。
私たちの知っている美人画からは想像できない大胆な色彩とデフォルメ。ここからどういう道のりを経て「青児美人」へと至ったのでしょうか。
《パラソルさせる女》 1916年 一般財団法人 陽山美術館
今回の展示では「パラソルさせる女」で、二科展にて初出品にして最高賞「二科賞」を受賞し、国内最初期の前衛的な画家として華々しくスタートした初期から、青児美人といわれる美人像の完成までの過程を貴重な資料を交えて紹介しています。
写真:Sige panda
地図を見るデザインの仕事も積極的に手がけたという東郷。デザインや装丁をはじめ、様々な仕事を残しています。
写真:Sige panda
地図を見る今回の展示では本や広告、挿絵などに加え、壁画なども展示されています。
約13,600枚ものタイルを使用して描かれた「裸婦」。こちらはかつて熱海の富士屋ホテルの大浴場にも同じものがあったという装飾壁画。原画のイメージに沿って、微妙な濃淡や形までタイルで再現されています。
ゆるやかな曲線で描かれるその美しさを、ぜひ現地で体感してください。
《サルタンバンク》1926年 東京国立近代美術館
東郷青児を語る上で欠かせないのが、その人脈。前述した山田耕筰から、竹久夢二、川端康成、レオナール・フジタ (藤田嗣治)、果てはピカソまで錚々たる面々が登場します。恵まれた才能は恵まれた出会いによってさらに花開くのです。
大道芸人を描いたパリでの自信作「サルタンバンク」ではピカソに「自分の絵を見るような気がする」と言われたのだとか。
写真:Sige panda
地図を見る藤田嗣治との仕事をきっかけに、百貨店などへも活動の場が広がります。こちらはかつて京都のシンボルであったという丸物百貨店本店を描いた絵とそれを使用した紙袋。のちに京都近鉄百貨店の閉店時に復刻され、配布されたものです。
モダンなデザインに古き良き時代の百貨店を思い出しますね。
写真:Sige panda
地図を見る彼を語る上で欠かせないのが恋愛のエピソード。今で言うところのイケメンで、3度の結婚に心中未遂というスキャンダラスな女性遍歴を持っている東郷。オシャレで家族にもパジャマ姿は見せないというダンディな男性だったのだそう。
会場には数々の作品と映る本人の写真も展示。作品と合わせてそのイケメンぶりもぜひご覧ください。
写真:Sige panda
地図を見る驚いたのは心中未遂を取材に来た、作家の宇野千代とその日のうちに同棲を始めてしまったというエピソード。
モダンな服装の女性を描いた「黒い手袋(写真右)」は宇野千代がモデルといわれています。
図録には年譜も収録。年齢とともにその仕事や女性遍歴もわかりやすく紹介されていて、数々の恋愛エピソードから生まれた、青児美人が生成されていく過程を見ることができます。
写真:Sige panda
地図を見る展示の最後には、現在も使われている東郷デザインの包装紙なども展示されています。いまもなお、大衆に愛される青児美人。モダンなデザインは古さを感じさせません。
写真:Sige panda
地図を見るギャラリーショップでは図録の他にも会場限定のオリジナルグッズを販売。
清らかさと官能性が共存する女性たち。ぜひお気に入りの美女を「お持ち帰り」してくださいね。ギャラリーショップはチケットがなくても入場できます。
会期:開催中〜2018年4月15日(日)
開館時間:火〜金 10:00〜20:00、月土日祝 10:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:2月26日、3月5日、4月2日の各月曜日
住所:大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階
電話番号:06-4399-9050
アクセス:近鉄「大阪阿部野橋」駅 西改札
JR「天王寺」駅 中央改札
地下鉄御堂筋線「天王寺」駅 西改札
地下鉄谷町線「天王寺」駅 南西/南東改札
阪堺上町線「天王寺駅前」駅 よりすぐ
※2018年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/4/19更新)
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