義経伝説ここにあり!東海道を見守る京都・蹴上の「大日如来石仏」

義経伝説ここにあり!東海道を見守る京都・蹴上の「大日如来石仏」

更新日:2018/02/21 15:54

政田 マリのプロフィール写真 政田 マリ 仏像ナビゲーター
京都市東山区の「蹴上」には南禅寺やインクラインなどの観光地があり、いつも多くの人々が行き交う賑やかな場所です。その喧騒をよそに、蹴上インクライン上の広場で静かに一体の石仏が座っています。その表情はとても穏やか。両掌で輪っかを組むそのお姿は阿弥陀如来、なのに「大日如来」と呼ばれているその像には、あの源義経にまつわる伝説があるとか。東海道を行き交う人々を見守り続ける「義経大日如来」をご紹介します。

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明治時代の京都の歴史を語る「蹴上インクライン」

明治時代の京都の歴史を語る「蹴上インクライン」

写真:政田 マリ

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京都市営地下鉄「蹴上(けあげ)」駅の1番出口の上にある坂は「蹴上インクライン」。琵琶湖疏水の約20キロの舟運ルートの間に敷設された傾斜鉄道です。明治、大正時代に活用されましたが、昭和になり鉄道など他の交通機関が充実したことで徐々に衰退し、1948年には運行を停止しています。

明治時代の京都の歴史を語る「蹴上インクライン」

写真:政田 マリ

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現在は復元されたレールと台車や船があり当時の風景を再現しています。周辺は公園として整備され、春は桜並木、秋は紅葉が彩りを添え、人々の憩いの場となっています。

「蹴上」の名の由来になった義経伝説

「蹴上」の名の由来になった義経伝説

写真:政田 マリ

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インクラインを上りきると小さな広場があり、その中央にある祠を覗くと、大きなの石仏の姿が見えてきます。

「蹴上」の名の由来になった義経伝説

写真:政田 マリ

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その石仏は次の伝説によって「義経大日如来」と呼ばれています。

平安時代末期のこと、鞍馬にいた源義経(牛若丸)が奥州に出向くためこの蹴上の坂にさしかかった時、平家の武士関原与一重治ら9人を乗せた馬たちとすれ違います。その時、馬が勢いよく水溜りの水を蹴り上げて義経にかけてしまいました。

そばにある日向大神宮で道中の安全祈願をしたばかりだった牛若丸は、水をかけても威圧的な態度をとる平家家臣たちの姿を見て怒りが収まらず、その9人を斬殺してしまったのです。

そんな伝説から、馬が蹴り上げたこの場所を「蹴上」というようになったそうです。

その後、牛若丸はこの行為を悔やみ、安らかに成仏するようにと9体の石仏を造って道中に安置しました。その一体がこちらインクライン広場にある「義経大日如来」と伝わっています。

呼び名は「義経大日如来」、でも姿は阿弥陀如来

呼び名は「義経大日如来」、でも姿は阿弥陀如来

写真:政田 マリ

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奉納された真っ赤な涎掛けをかけ、地域の人たちに大事にされているこの石仏の大きさは台座と光背を含め約1.5m。頭のお団子のように盛り上がった肉髻(にっけい)は仏の最高ランクである「如来」という仏さまの証です。

呼び名は「義経大日如来」、でも姿は阿弥陀如来

写真:政田 マリ

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石仏の表面がゴツゴツしているので以前は露仏だったと思われますが、左衣には厚彫りの襞(ひだ)の筋が均等に入っています。丁寧にしっかり彫り込まれていたからこそこれだけ残っているのでしょう。

呼び名は「義経大日如来」、でも姿は阿弥陀如来

写真:政田 マリ

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さらに手を見ると、輪っかを二つ組むことから阿弥陀如来の印相であることがわかります。以前はここのほど近くに処刑場があり、その関係から極楽浄土の救世主である阿弥陀如来が造られた可能性もありますが、ここでの呼び名はなぜか「大日如来」なのです。

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東海道を見守り続ける旅の守護仏「義経大日如来」

東海道を見守り続ける旅の守護仏「義経大日如来」

写真:政田 マリ

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伝説を知った上でお顔を拝すると、磨耗してうかがい知れないはずの表情がなんとなく優しく安らかなものに感じてきます。

大日如来は地蔵菩薩と同じく、道行く人々の健康や道中の安全、町内の守護を願い、京都の辻(交差点)に多く安置された仏さま。蹴上駅前の東海道は今も昔も交通量の多い場所です。旅人を見守り続けてきた石仏だからこそ、阿弥陀如来の姿をしながらも地蔵菩薩や大日如来と同じような存在で道中の安全を祈願し、呼び名がいつの頃からか「大日如来」になったのかもしれません。

京都に来たなら、まず「義経大日如来」に立ち寄って、旅の安全を祈願してみてはいかがでしょうか?

「義経大日如来」の基本情報

住所:京都府京都市左京区粟田口山下町4
アクセス:京都市営地下鉄東西線「蹴上」駅下車、徒歩3分

2018年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2017/11/27 訪問

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