岡田美術館は、岡田和生氏が蒐集した日本・東洋の美術品を展示するために、2013年にオープンしました。岡田氏はコレクション形成にあたっては、「いずれは美術館を作る」との信念を持ち、美術館にふさわしい作品を選んで蒐集していったそうです。
収蔵品の中には国の重要文化財に指定された作品も複数含まれる、箱根最大規模の美術館。まさに「美の殿堂」と呼ぶにふさわしい施設です!
写真は、施設の正面玄関から足を踏み入れたところにあるスペース。右側が美術館の建物で、その正面には足湯カフェがあります。
まずは美術館の建物の大壁面に目を向けましょう。ガラス張りの内側の壁に描かれているのは、日本画家の福井江太郎氏による《風・刻(とき)》。江戸時代の画家・俵屋宗達の作品《風神雷神図屏風》を縦12m横30mという大画面で再現しています。
といっても単なる模写ではありません。雄大な山に囲まれた箱根という立地をイメージして、左の風神の衣はより大胆にはためくなど、作家のオリジナリティが盛り込まれています。
壁画を眺めたら、建物の入口に向かいましょう。
ここの美術館では、スマートフォンなど撮影機能付きの電子機器は持ち込み禁止。入口の無料ロッカーに預けます。セキュリティを万全にしていることにより、館内に監視員を置かないということが実現できているそう。監視員の視線も気にならず、携帯電話の音にも悩まされない空間で、じっくりと作品1点1点に向き合うことができます。
それではコレクションと、現在の展示で見ることができる作品をご紹介しましょう。
建物は5階建てで、1階は東洋陶磁、2階は日本陶磁とガラス、3階と4階は日本絵画と書跡、5階は仏教美術が展示されています。
写真は3階の日本絵画のフロアに入ったところ。金屏風が立ち並ぶゴージャスな空間がお迎えします!
岡田美術館といえば、有名なのは日本絵画のコレクション。16世紀の桃山時代・江戸時代から、現代までの作品を中心に、数々の名作を収蔵していることで知られます。
こちらは、岡田氏が日本美術の蒐集に目覚めるきっかけとなった尾形光琳の《雪松群禽図屏風》(江戸時代前期、18世紀初頭)。愛らしくも写実的に描かれている鳥たち。そして、大胆に配置された水面の表現に注目です。
江戸時代の奇想の絵師として、近年特に人気を集める伊藤若冲の作品も、複数収蔵しています。こちらは《傘に鶏図》(江戸時代中期、18世紀後半)。いかにも若冲らしい、大胆にデフォルメされたキュートな鶏が魅力的な1枚です。
この他に、喜多川歌麿の肉筆浮世絵をはじめ、琳派の俵屋宗達や尾形光琳、雪村、円山応挙、葛飾北斎、横山大観、上村松園など、多くの画家の作品を収蔵しています。
岡田美術館のコレクションのもう一つの中心は、東洋の陶磁器や青銅器、金工の数々です。
1階の展示室には、中国の古代から清朝、韓国の高麗・李朝などの作品が並びます。部屋は照明を落としてあり、静かな空間に作品が闇に浮かび上がるよう!悠久の歴史に想いを馳せましょう。
※写真の作品
《鍍金花鳥文八花形銀杯》唐時代、8世紀
2階は日本陶磁の展示室。古九谷焼、柿右衛門、鍋島など、幕府に献上されたり西洋に輸出されて人気を博した江戸時代の陶磁器の他、幕末に作られた薩摩切子のガラスの器なども見ることができます。
写真の奥に見えるのは、近代の日本画家・横山大観の絵画作品《霊峰一文字》。横幅約9mに及ぶ巨大な画面の中に、雄大な富士山の姿が描かれています。
写真は重要文化財の尾形乾山作《色絵竜田川文透彫反鉢》(江戸時代、18世紀前半)。紅葉をモチーフとした作品で、器の外と中の模様が繋がり、奥行きを感じます。角度を色々と変えて見てみましょう。他にも、琳派の画家として知られる兄の尾形光琳と協力し合った作品なども収蔵しています。
続いて、付帯施設をご案内しましょう。
昭和初期の古民家を改装した風流な飲食施設「開化亭」では、食事やスイーツを楽しめます。昔の建物ならではの、ゆがみのある窓ガラスから差し込む光が柔らかく内部を照らし、ぬくもりのある空間を作り出しています。
こちらは、小豆のどら焼きとコーヒーのセットメニュー(1,200円)。生どら焼きは、葉山で人気の和菓子店「葉な」の人気商品を取り寄せています。無添加・国産材料にこだわった1つずつ手づくりのどら焼きは、ふんわりしっとりとした生地に、生クリームと小豆を練り合わせた和洋折衷の味わい。生地と餡子が絶妙に調和して、口の中で溶ろけます。
食事メニューは、開化亭名物の「豆アジ天うどん」をはじめとした、うどん類。また、箱根の名店から取り寄せた懐石弁当なども数量限定で扱っています。寛ぎのひと時を過ごしましょう。
ミュージアムショップで人気の岡田美術館特製チョコレートが添えてある飲み物メニューもあります。
提供元:岡田美術館
http://www.okada-museum.com/レストランから垣間見える庭園(入園料300円)は、なんと約15,000uの広さ!豊かな木立の中で箱根の四季折々の姿を楽しむことができます。奥の方には渓流も流れているので、足元に気を付けてぜひ散策をお楽しみください。
ミュージアムショップでは、様々なオリジナル商品を扱っています。写真は、収蔵品をモチーフにした古伊万里のお猪口と豆皿セット。その他、絵葉書やクリアファイル、一筆箋など、美術館の定番のお土産や、温泉地ならではの手ぬぐいなども取り揃えてあります。
岡田美術館オリジナルのお土産といえば、こちらのチョコレート。2014年のドラマ「失恋ショコラティエ」のチョコレート監修を務めたことで知られる美術館専属ショコラティエ三浦直樹氏によるもので、ここだけでしか買えない限定品!わざわざこのチョコを買うために美術館に来るお客さんもいるそうですよ。
写真は喜多川歌麿の傑作《深川の雪》をモチーフにしたボンボンショコラ。フレーバーは、ピスタチオとシナモンから、和栗と松茸という珍しいものまで!どんな味がするのか、ぜひお試し下さい。
他に、伊藤若冲や尾形光琳の作品などをモチーフにしたボンボンショコラや、チョコレートバー、開化亭のドリンクにも添えられているアマンドショコラなどもあります。
最後に、併設の足湯カフェをご紹介しましょう! 箱根といえばやはり温泉。記事の最初で触れたように、岡田美術館には足湯カフェがあります。勿論100%源泉かけ流し。美術館で作品を鑑賞した後の疲れを癒すのにもぴったりです。足湯に浸かりながらドリンクやスイーツを楽しみましょう。写真のおしるこの他、コーヒーやソフトクリームなどもあります。足湯のみの利用も可能となっています。(入湯料500円、美術館入館者は無料)
いかがでしたか? 岡田美術館は、日本や東洋の美を堪能し、庭園などで優雅な時間を過ごすことができる場所です。箱根で日常を離れた時を過ごしてみませんか?
また、飲食施設、庭園、ミュージアムショップ、足湯カフェは、美術館に入らなくても利用可能!岡田美術館がちょっと気になるという人も、ぜひ気軽に立ち寄ってみてください。
※ 今回の記事の展示品は2018年の4月1日まで見ることができます。年に数回の展示替えがあるので、目当ての作品がある場合は、事前に展示内容を確認してから出かけましょう。
住所:神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷493-1
電話番号:0460-87-3931(代表)
アクセス:伊豆箱根バス・箱根登山バス・施設めぐりバス「小涌園」停留所からすぐ
開館時間:午前9時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:12月31日、1月1日(臨時休館あり)
入館料:一般・大学生2,800円 小中高生1,800円
※ 館内は撮影禁止です。
2018年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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