のこぎり型の町並みも!「紀州漆器の里」和歌山・黒江を歩く

のこぎり型の町並みも!「紀州漆器の里」和歌山・黒江を歩く

更新日:2022/04/21 13:40

モノホシ ダンのプロフィール写真 モノホシ ダン 総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者
和歌山県・海南市の黒江地区は、越前漆器・会津漆器・山中漆器と並んで、日本四大漆器のひとつ「紀州漆器」の産地として有名なところです。通りには、趣ある紀州連子格子の家屋が、のこぎりの歯のようにジグザグと並びとてもユニーク。室町時代から続く紀州漆器の町で、古民家カフェや漆器店めぐり、造り酒屋で利き酒などを楽しんでみませんか?

紀州漆器の一大産地「黒江」とは

紀州漆器の一大産地「黒江」とは

写真:モノホシ ダン

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黒江地区で、漆器生産が始まったのは室町時代からで、近江系の木地師(きじし)の集団によるものと、和歌山県の根来寺の僧徒たちを発祥にするという二つの説があります。いずれにせよ、紀州・木の国といわれるように、豊富なケヤキやヒノキなどの木材資源を活用したものです。

とくに根来寺の僧徒たちの手による「根来塗」は、朱の上塗りの一部を研ぎ出して、下塗りの黒地を出すという現代に至る、紀州漆器の代表的塗り手法を生み出しました。江戸時代には、漆器が庶民の日用品として需要が高まるにつれ、黒江は紀州漆器の一大産地として全国にその名が広まったのでした。

写真は、漆の精製に使われていた「くろめ桶」。黒江の町中の至る所に置かれていて、黒江のシンボル的存在となっています。

紀州漆器の一大産地「黒江」とは

写真:モノホシ ダン

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黒江地区で最初に訪れたいのが、紀州漆器の魅力を一堂に紹介する施設「紀州漆器伝統産業会館(うるわし館)」。

店内では、さまざまな漆器の販売や製造工程のパネル展示。ほかに紀州漆器の代表的な加飾の技法のひとつである「蒔絵(まきえ)」による絵付け体験(要予約)などもできます。ここで自分だけのオリジナル漆器を作るのもおすすめです。

<紀州漆器伝統産業会館の基本情報>
住所:海南市船尾222番地
電話番号:073-482-0322
開館時間:10:00〜16:30
休館日:お盆、年末年始
アクセス:JR黒江駅から徒歩約20分、和歌山バス「黒江」バス停下車約5分
車利用の場合は、阪和自動車道海南ICより約5分

紀州漆器の一大産地「黒江」とは

写真:モノホシ ダン

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ところで、黒江の町並みの特徴は、切妻屋根の町家が斜めに構えて軒を連ね、「のこぎりの歯」のようにジグザグに並んだ景観にあります。のこぎり型の町並みは、黒江のメインストリートの川端通りを中心とした北側の「西浜・天王地区」と南側の「南の浜地区」にとりわけ分布しています。

どうしてこのような、のこぎり歯状の家並みになったのでしょう。それは、江戸時代に、黒江の入り江を埋め立ててできた、平行四辺形の町割り宅地に、四角い家を建てたので、前後に三角形の空き地ができたから。これが「のこぎり歯状の町並み」の由来と言われています。

黒江を訪れたら、細い路地に、規則正しくのこぎり歯のように並んだ歴史を感じさせる独特な漆器町の風景を楽しんでください。

古民家カフェ「黒江ぬりもの館」でスイーツや食事もおすすめ

古民家カフェ「黒江ぬりもの館」でスイーツや食事もおすすめ

写真:モノホシ ダン

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黒江地区で必見なのが、「黒江ぬりもの館」。黒江公民館前の川端通りから、山側へ通りを1本入ったところにあり、歴史的な町並みの中に溶け込むようにたたずんでいる古民家カフェです。

建物は、江戸時代の築約160年の漆を塗る塗師(ぬし)の作業場をリニューアルしたもの。通りに面して独特の紀州連子格子(きしゅうれんじこうし)もはめられています。

古民家カフェ「黒江ぬりもの館」でスイーツや食事もおすすめ

写真:モノホシ ダン

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店内は、とても落ち着いた雰囲気で、まるで時間が止まったかのよう。館内では、漆器製品の販売のほかに、黒江ならではのワークショップを体験(要予約)できます。ワークショップでは、漆器技法のひとつ「根来模様の研ぎ出し」や「水中花のワークショップ」などが楽しめます。

古民家カフェ「黒江ぬりもの館」でスイーツや食事もおすすめ

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ほかに1階のカフェでは、食事やスイーツを味わえます。写真は、スイーツプレート(1100円)。抹茶ケーキと抹茶アイスクリームに暖かいワッフルの組み合わせで、ボリューム満点。ランチメニューでは、紀美野ぶどう山椒入りの黒江カレー(1100円)がおすすめです。

<黒江ぬりもの館の基本情報>
住所:海南市黒江680番地
電話番号:073-482-5321
休館日:火曜日・水曜日(祝日を除く)
営業時間:10:00〜16:00
アクセス:JR黒江駅から徒歩約20分 和歌山バス「黒江」バス停下車約5分
阪和自動車道海南ICより約5分

黒江ならではの個性的な漆器店めぐりも楽しい

黒江ならではの個性的な漆器店めぐりも楽しい

写真:モノホシ ダン

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黒江のメインストリート、川端通り沿いにある「池庄漆器店」は、築200年の町家で、主屋は国の登録有形文化財。店内の一部を展示室として開放し、こだわりの品々を展示・即売しています。

<池庄漆器店の基本情報>
住所:和歌山県海南市黒江692
電話番号:073-482-0125

黒江ならではの個性的な漆器店めぐりも楽しい

写真:モノホシ ダン

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同じく川端通りにある「木地屋漆器店」は、築100年以上の町家。紀州雛、うるし桶、仏器などのほか、日用に使う各種漆器を販売しています。坪庭の古田織部ゆかりの織部灯籠にも注目です。

<木地屋漆器店の基本情報>
住所:和歌山県海南市黒江661
電話番号:073-482-9043

万葉集ゆかりの「中言神社」は夫婦2柱の神

万葉集ゆかりの「中言神社」は夫婦2柱の神

写真:モノホシ ダン

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万葉の時代、黒江一帯は黒牛潟と呼ばれ、黒い牛の形をした岩が埋まっていました。この干潟を望む小高い丘の上にあるのが『万葉集』ゆかりの「中言神社(なかごとじんじゃ)」。

夫婦2柱の神を主祭神とし、子供の成育成長を見守り、縁結び、家内安全、陰陽和合の神として、黒江の人たちに親しまれています。境内には、紀の国の名水のひとつ「黒牛の水」が湧き出しています。

<中言神社の基本情報>
住所:和歌山県海南市黒江933
電話番号:073-482-1199

万葉集ゆかりの「中言神社」は夫婦2柱の神

写真:モノホシ ダン

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中言神社の近くにあるのが、地元の酒造会社、名手酒造直営の「万葉の里 黒牛茶屋」です。お土産コーナーでは、看板酒の一掴(ひとつかみ)、黒牛(くろうし)などの清酒や紀州の名産品のほか、酒器等の清酒関連グッズも販売しています。

万葉集ゆかりの「中言神社」は夫婦2柱の神

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酒樽を利用した椅子等のある休憩所では、利き酒と喫茶のコーナーがあり地酒ファンの方におすすめの施設です。

<万葉の里 黒牛茶屋の基本情報>
住所:和歌山県海南市黒江846
電話番号:073-482-1115
営業時間:10:00〜17:00
定休日:無休
利き酒料金:100円から
アクセス:JR黒江駅から徒歩約10分 和歌山バス「黒江」バス停下車約10分
阪和自動車道海南ICより約7分

レトロなアーケードが連なる黒江の台所「船尾市場」

レトロなアーケードが連なる黒江の台所「船尾市場」

写真:モノホシ ダン

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黒江地区の西側には、黒江の台所と呼ばれた「船尾市場」があります。現在は、営業しているお店は数軒ですが、昭和を感じさせるアーケード商店街です。黒江を訪れたらならぜひ足を延ばして、古き良き時代の商店街のノスタルジックな雰囲気を楽しんでください。

<船尾市場の基本情報>
住所:和歌山県海南市船尾
アクセス:JR黒江駅から徒歩約20分、和歌山バス「黒江」バス停下車約5分
車利用の場合は、阪和自動車道海南ICより約5分

室町時代から続く「紀州漆器の里」黒江を歩こう

いかがでしたか。黒江の散策後、もし時間があれば、黒江地区から西へ徒歩約10分の「琴ノ浦 温山荘園」も訪れてみてください。ここは、新田帯革製造所の創始者が大正時代に別荘として作った大庭園。

個人庭園としては桁違いに広大な庭園内には松林が茂り、伝統的な和風建築の主屋や茶室があり、庭を眺めながらゆったりとしたひとときを過ごすことができます。旅のフィナーレにおすすめですよ。

2022年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/02/22 訪問

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