写真:たぐち ひろみ
地図を見る「こんなに何もないところに、ようこそお越しくださいました」― そんな言葉で迎えられる「湯山荘 阿讃琴南(ゆざんそう あさんことなみ)」は、確かにこれといった見どころもなさそうな山あいにある一軒宿です。金毘羅さまで有名な香川県琴平町から車で南へ下ること30分。山や茶畑、渓流、古い家並みに囲まれて建つその姿は、まさに「里山の別荘」です。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る長屋門をくぐり、川を渡った先にあるのが本館。雰囲気あるロビー、開放感あふれるラウンジなど、2017年5月オープンというこの宿、上質で洗練された内装が、これから始まる滞在への期待感をいやがおうに高めてくれます。
客室数はわずか28室。そんなコンセプトの通り、品質を重視する大人客が好んで訪れる「阿讃琴南」。1人でも利用できる平日泊は、ちょっと贅沢な滞在を求めるおひとり様にも人気です。
写真:たぐち ひろみ
地図を見るラウンジでお茶をいただいたら、いよいよ客室へ。写真はこの宿では一番下のカテゴリーとなる「モデレートツイン」、それでも33.29平米という広さです。セミダブルベッドを2つ並べたベッドエリアとカウチソファを配したリビングエリア。扉の外には、さらに洗面所、バスタブのある浴室(真湯)、そしてトイレが。ほのかに木の香漂う、居心地のよい客室です。
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地図を見るネスプレッソのコーヒーメーカー、バルミューダのポット、作務衣風の館内着、スマホやパソコンの音楽・映像をTV経由で楽しめるメディアハブ…。客室の設備・備品もさることながら、この部屋の大きな魅力は、やはり一面を占める大窓からの眺望でしょう。近隣の山や川がなす、なんということもない里山の風景ですが、そののどかさに何だか心がほっとしてきます。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る1人で滞在するなら、この「モデレートツイン」でも十分な広さ。特に連泊の場合は、料金が比較的手頃なこのお部屋、またはテラス付きの「モデレート和室」がおすすめです。
よりリッチに過ごしたい方は、露天風呂付きの客室を選ぶのもいいでしょう。こちらは40〜94平米と広さもアップして、間取りはさまざま。なかでも74.18平米の和洋室「TYPE D」は、リゾート感あふれる広〜いウッドテラスが人気で、おひとり様の予約も多いとか。
この宿には、本館とは別に「里山ヒュッテ」と呼ばれるコテージ群もあり、一部はわんちゃんと同宿できる設定。ペット好き、家族連れ、大人数のグループなどに広く利用されています。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る部屋で一息ついたら、さっそく温泉です。本館から渡り廊下を通り、別館にある河畔風呂「せせらぎ」へ。内風呂と露天風呂からなる大浴場のうち、渓流に面した露天風呂では、「せせらぎ」の名前のとおり、心地よい川音に耳を傾けながらの入浴が楽しめます。
ちなみに2つある大浴場は、時間帯により男女が入れ替えに。どちらも宿泊者数に対してかなり広めに設計されているため、混雑とはまるで無縁。気づくと湯船をひとり占めしていることも少なくありません。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る大浴場の1つには、さらに広々とした岩風呂露天もあり、ここからは砂防ダムより流れ落ちる人工の滝を眺めることができます。風流このうえない滝見風呂、あなたはきっと何度も通うことに。
ここ「阿讃琴南」は、自家源泉を持つ湯宿。泉質は低張性アルカリ性冷鉱泉、お肌に優しい温泉です。最初こそ気づきませんが、何度も入っているうちじわじわと美肌効果が表れ、しっとりした肌感を得られます。加えて、肩こりなどの筋肉痛や胃の不調、ストレスによる諸症状にも効能が期待できるとか。お疲れのあなたに、まさにぴったりな温泉です。
15〜18時の時間帯は、湯上り処でうれしいアイスキャンデーのサービスも。食べ放題なので、全種類制覇も狙えますよ。
お楽しみの夕食は、本館1階奥にあるメインダイニング「穀雨(こくう)」にて。黒を基調としたシックな食事処では、地元の食材にスポットライトを当てた洗練された里山会席が味わえます。
例えば、香川の名産「讃岐コーチン」のたたきや石焼、味噌仕立て(写真)。元気いっぱいな地鶏のうまみと小気味よい歯ごたえに、あなたの舌も納得するはずです。他にも里芋を使ったコラーゲンスープ、小豆島のオリーブを食べて育ったサーモン、町の名物岩豆腐、愛媛の鯛、高知の鰹、鳴門金時のプリンなどなど。派手ではないけれど、土地ものにこだわった料理が次から次へと運ばれてきて、目と胃袋を楽しませてくれます。土鍋で炊いたご飯もつやつやふっくら、何杯でもいけそうな美味しさです。
写真:たぐち ひろみ
地図を見るおひとり様が珍しくないこの宿では、テーブルの配置も配慮してくれるため、他人の目を気にすることなく快適に食事ができます。ひとり旅はしたいけど、食事時がつらいという方も多いので、これはうれしいポイントです。
朝食は、同じ「穀雨」でも特に朝日の当たるエリアでいただきます。岩魚やあゆなどの川魚、湯豆腐、蒸し卵、こんにゃく、なめこ、地野菜のサラダなど、より近隣の食材を豊富に取り入れた滋味豊かなメニューです。日の光を浴びながら、ゆっくりと朝ごはんを楽しむ。こんな時間はとても貴重です。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る「阿讃琴南」の周辺は、とにかく田舎。なにしろ一番近いコンビニでも8km先なんだそうです。でも、その何もなさが都会から来る人には大きな魅力でもあります。古い家、茶畑、それらを囲むようにそびえる山々。時間が許すなら、近辺を足の向くまま散策してみてください。日本の原風景のような懐かしい景色が、あなたの心を温めてくれるでしょう。
写真:たぐち ひろみ
地図を見るもっと本格的に観光したい方は、宿への行き帰りや中日を利用して、ぜひ琴平町へ。金毘羅さま以外にも見どころ満載の面白い町です。例えば、1922年当時の姿を復元して最近完成したばかりのJR琴平駅。この何とも美しいレトロな建物は、今最も新しい観光スポットです。
写真:たぐち ひろみ
地図を見る琴平駅から駅前通りを直進、突き当りを左折してしばらく行くと、右手に金比毘宮へ通じる表参道の入口が見えてきます。琴平の町を一望できる本宮の見晴し台もはずせませんが、さらに直進した左手に見えてくる「鞘橋(さやはし)」(写真)も要チェック。珍しい屋根付きの浮橋で、刀の鞘のような形がなんとも優美です。
見どころがすべて徒歩圏内にある琴平町は、気軽に観光できるおすすめスポット。ランチはもちろん、「琴平うどん(讃岐うどん)」で決まりです!
おひとり様にぜひ泊まってほしい、上質な温泉宿をひとつご紹介しました。1人旅が初めての方でも、気おくれすることなく滞在できる宿です。お疲れの人、自分を見つめ直したいあなた、里山のゆっくり時間が必要かもしれませんね。
2020年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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