中世グラナダにはイスラム教、ユダヤ教、キリスト教の3つの文化が混在していました。アルバイシン地区がイスラム教徒居住地域であったのに対し、レアレホ地区はユダヤ教徒の住んだ地域として有名です。
それを証明するのが、レアレホへの入り口に当たるイサベル・ラ・カトリカ広場のすぐ近くにあるユダヤ人哲学者の像。ターバンを巻いているためアラブ人像と言われてしまう事の多い像です。
レアレホ地区はアルハンブラ宮殿を挟んでアルバイシン地区とは反対側。マウロールの丘と呼ばれる急な丘沿いの地域です。
アルハンブラ宮殿へ行くC3のバスは、前述のユダヤ人像の向いからアルハンブラ宮殿までレアレホ地区を走っていきます。
この歴史地区には古くから住む人々に加えボヘミアンやアーティスト、また外国人も多く住んでいます。レアレホ地区でよく見かける非常にオシャレなグラフィティアートの作家、エル・ニーニョ・デ・ラス・ピントゥーラス(El nino de las pinturas)もレアレホ出身。グラフィティの一部にコーラの瓶の蓋のようなサインがあれば彼の作品です。
レアレホは歴史地区だけあり、セマナ・サンタ(スペイン版イースター)の行列の多くがここを通ります。
レアレホ出身の人々にとって特別な行列が、毎週金曜日の午後にレアレホ地区の中心カンポ・デル・プリンシペ広場の、クリスト・デ・ロス・ファボーレスと呼ばれるキリスト像前でミサを行います。これは他の行列ではちょっと見られない光景です。
また毎年5月3日に行われる十字架祭り「ディア・デ・ラ・クルス」でもレアレホ地区は活躍します。このお祭りでは毎年コンクールが行われますが、レアレホではほぼ毎年賞を獲る団体があります。1年で一番華やかな季節に、教会や古い建物のパティオ、町中の広場などを大きな赤い十字架で飾るお祭りです。
レアレホは「町歩き」の楽しい地区です。レアレホ地区の中でも高台にあるのは、ロドリゲス・アコスタ財団のカルメン(関連MEMOのリンク「ロドリゲス・アコスタ財団」の記事参照)や広大な公園カルメン・デ・ロス・マルティレス。
この公園には孔雀のファミリーが住んでいるのも地元ではよく知られています。運が良ければ求愛ダンスにも遭遇するかも。また公園敷地内からは、アルハンブラ宮殿をサン・ニコラス展望台とは反対側から見られます。緑の中に浮かんだようなアルハンブラは他の場所からはなかなか見られないでしょう。
その他、レアレホ地区高台には、クラシック好きにたまらないマヌエル・デ・ファジャの住んだカルメンや、アルハンブラ宮殿の初期時代の建物トーレス・ベルメハスなどもあります。これは3つの塔が連なった建物で軍事用として使用されており、ワシントン・アービングの「アルハンブラ物語」にも登場します。
また2017年より5つ星となったアルハンブラ・パラス・ホテルのテラス席から、夕日の時間に眼下に広がるグラナダを見ながらお茶をしたり、軽く1杯するのも最高の贅沢です。
少し下って、今では展望台兼地元民の憩いの広場ともなっている「プエルタ・デル・ソル」。ここには今でも昔の女性達の社交場でもあった洗濯場が残っており、イスラム統治時代には町を取り囲んでいた城壁の入口もありました。
マドリードにもプエルタ・デル・ソルがありますが、ここの場合は文字通り日の入り・日の出が見られることからこの名前がついています。
更に下って、レアレホ地区のメインストリートのパバネラス通りからモリーノス通り周辺には、建物上部から銃鉄の飛び出したカサ・デ・ティロス。建物内部は博物館になっています。
そして天使のいっぱい散らばった祭壇の素晴らしいサント・ドミンゴ教会。目印は教会のトロンポルイユ画で指を口に当ててシーッ!(黙って!)と言っている絵。これは宗教裁判が盛んだった時代の名残。
レアレホ地区の端っこには、イスラム教徒最後の王ボアブディルの母アイシャがラマダン期に利用した、アルハンブラとも装飾の似た13世紀の建物クアルト・レアル・デ・サント・ドミンゴがあります。タイルのデザインは似ていますが、色使いが違います。
ザッと見てもこれくらいは見所があります。散策向けの地区というのがお分かりいただけたでしょうか。
レアレホ地区の中心はカンポ・デル・プリンシペ広場。ここには多くのバルやレストランが集まっており、季節の良い時期にはテラス席がぎっしり埋まり、非常に賑やかで華やいだ雰囲気になります。
この広場では先に述べたセマナ・サンタ期のキリスト像の前でのミサや、5月の十字架祭りの際には広場に飾りが置かれ、フラメンコ衣装を着た女性達がセビジャーナスを踊るのが見られるかも。踊れる方はご一緒に如何ですか?
夜になると広場の上にオレンジ色のアルハンブラ・パラス・ホテルが浮かび上がります。2017年に5星ホテルになった人気ホテルですが、その強烈な色合いにはちょっぴり賛否両論が。しかしレアレホ地区の上にドーンと構えている姿は、遠くからでも目立ちインパクトがあります。
2016年あたりから、オシャレなカフェテリアやホステルなども増えてます。
外国人バックパッカーが多いHostel VITAの2017年秋に改装されたカフェ・バルスペース(写真)やパパウパ、日本料理店イザカヤ・コバチ、地元民もよく行くカンデラ他、気になる所は気軽に入って行きましょう。
レアレホにはセントロ・デ・レングアス・モデルナスというグラナダ大学管轄の語学学校がある為、留学生が非常に多い他、2015年建築コースが移転してきましたので学生が非常に多い地域です。
セントロからも近くアクセスしやすいので、時間に余裕があれば是非レアレホ地区を訪ねてみて下さい。
グラナダ中心部から歩いてすぐのレアレホ。ストリートアートにおしゃれなカフェ、アルハンブラまで散歩感覚で行けるグラナダ唯一の地区、それがレアレホ。街歩き好きな人向けの地域です。
あまり観光化されていない、地元住民に愛され誇りに思われている、そんな地域でありながら外国人にも住みやすいというのは居心地がいいのがわかるでしょう。地域に溶け込むような旅がしたい、そんな人にはおススメですね。
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