長崎佐世保「針尾送信所」3本の巨塔がそびえる廃虚軍事施設

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長崎佐世保「針尾送信所」3本の巨塔がそびえる廃虚軍事施設

長崎佐世保「針尾送信所」3本の巨塔がそびえる廃虚軍事施設

更新日:2018/04/02 15:07

塚本 隆司のプロフィール写真 塚本 隆司 ぼっち旅ライター

長崎県佐世保市中心街から南西へ車でおよそ30分、ハウステンボスを過ぎ西海パールラインを南へ進むと3本の大きな塔が見えてくる。大正時代に建造された軍事施設「旧佐世保無線電信所(針尾送信所)」の無線塔(電波塔)だ。今、廃虚感がスゴいと注目されている。
無線塔3本と電信室が共に現存する国内最後の貴重な施設。戦争遺跡巡りや廃虚マニアにおすすめしたい観光スポットだ。

「煙突じゃなかよ〜」3本の塔を遠くから眺める

「煙突じゃなかよ〜」3本の塔を遠くから眺める

写真:塚本 隆司

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一見、煙突のように見る3本の巨大な塔。1918(大正7)年から4年をかけて建築された軍事施設「旧佐世保無線電信所(針尾送信所、針尾電信所)」だ。日露戦争を契機に無線通信の重要性を認識した日本海軍が、当時の最新技術を駆使して建設した長波送信施設である。

写真は3本の無線塔を望む絶好の位置にある「西海の丘展望台」からの眺め。湾に浮かぶ小島の小さな灯台と、ひときわ高い3本の無線塔。都会では見られない、自然あふれる美しい風景と大きく突き出た人工物が印象的だ。

「煙突じゃなかよ〜」3本の塔を遠くから眺める

写真:塚本 隆司

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西海の丘展望台は、広い芝生広場が印象的な眺めの良い公園にある。視線を東に向ければ2本の橋、新西海橋(手前)と西海橋(奥)が見える。大村湾と佐世保湾をつなぐ針尾瀬戸と呼ばれる水域に架かる橋だ。

「煙突じゃなかよ〜」3本の塔を遠くから眺める

写真:塚本 隆司

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水域の幅が狭いため、潮の満ち引きが急流になり、うず潮ができる。新西海橋の歩道中央スペースの床には、うず潮見学ができるガラス窓があり観光名所だ。公園から新西海橋までの遊歩道も整備されているので、合わせて訪れたい。ちなみに新西海橋は、映画「釣りバカ日誌」に、第二西海橋として登場したロケ地でもある。

<西海の丘展望台の基本情報>
住所:長崎県西海市西彼町伊ノ浦郷
アクセス:国道206号小迎バイパスIC出口から約5分
駐車場:50台(無料)

高さ136メートル、圧倒される高さの無線塔

高さ136メートル、圧倒される高さの無線塔

提供元:佐世保観光コンベンション協会

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針尾送信所へ向かう道すがら、民家やミカン畑越しに塔が見える。近づくにつれ大きくなり圧倒される。

鉄筋コンクリート製の無線塔は、高さ約136メートル。京都タワーよりも5メートル高い。基底部の直径は約12メートルのため、高さの割に細く感じ、インパクトが増す感がある。

高さ136メートル、圧倒される高さの無線塔

写真:塚本 隆司

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表面に見える長方形の模様は、建設時にコンクリートを流し込むために用いた枠板の跡だ。幅14センチで、長さは136センチ。徐々に枚数を減らしながら100回積めば塔の高さの136メートルになる。現代のようなクレーンを使った建築技法も無い時代、ほぼ手作業で築かれた塔にひび割れや欠落箇所は見当たらない。

建設からおよそ100年。専門家による強度調査によると、現在の耐震基準をもクリアしており後100年は大丈夫というから、驚かずにはいられない。

無線塔の内部から天を仰ぐ

無線塔の内部から天を仰ぐ

写真:塚本 隆司

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扉を開け無線塔の中へと進むと、明かり取りの窓もあり、さほど暗くは感じない。ただ、声の響き方の異様な雰囲気に息をのむ。頂部へと真っすぐ伸びるはしご。天井は高く遠く、目視できない。

無線塔の内部から天を仰ぐ

写真:塚本 隆司

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終戦後は自由に出入りができた時期もあり、近隣の子どもたちの遊び場として男の子も女の子も関係なく登っていたという。
さすがに今は登れない。ただ例外的に、頂部の航空灯を点検するため整備業者が3カ月に1度登っている。安全ベルトを装着してだが、登るのに30分ほどかかるそうだ。

無線塔の内部から天を仰ぐ

写真:塚本 隆司

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3本の無線塔が建つ位置は、1辺が約300メートルの正三角形の頂点にあたり、中心地に「無線電信所電信室」がある。

塔単体では機能はしない。3本の塔の頂上部分を空中線で結び、塔と塔の中心から持ち寄った線が中央の電信室にまとまり、長波電波を電信する1つの巨大な送信施設になる。ここから、中国大陸や東京・広島方面、台湾や沖縄などの南太平洋へと情報が電信された。

太平洋戦争開戦を告げる「ニイタカヤマノボレ1208」の発信地とする説もあるが、長波通信ではなく中短波通信が主流になっていた時期であり、真偽は定かでは無い。

針尾送信所の心臓部、電信室の廃虚感に圧倒される

針尾送信所の心臓部、電信室の廃虚感に圧倒される

写真:塚本 隆司

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3本の塔の中心に位置する電信室。廃虚感たっぷりながらも存在感のある佇まいだ。周囲を固い岩盤で囲まれていることから、丘をくりぬいて建てたと思われる。およそ20年前(1996年)までは、海上自衛隊と海上保安庁が共同で使用していた。そのためか窓のサッシなどは現代っぽく、かすかに人の気配を感じるところが、より一層と廃虚感を印象づけている。

建物の天井に載せられたコンクリート屋根は、防弾対策として1944(昭和19)年の太平洋戦争末期に増築された。

針尾送信所の心臓部、電信室の廃虚感に圧倒される

写真:塚本 隆司

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写真の地上すぐ上に不自然な三角屋根が見える。この建物、元は2階建てだ。爆撃されては危ないと、1階部分を埋め立て地下とし、2階から出入りする階段が設けられた。作りは粗く、慌てて作ったことがうかがえる。

今後、復元作業が検討されており、崩落しかけているコンクリート屋根などは取り除かれる予定という。復元も楽しみだが、今の姿も目にとどめておきたい。

針尾無線塔保存会のボランティアガイドさんから説明を

針尾無線塔保存会のボランティアガイドさんから説明を

写真:塚本 隆司

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「旧佐世保無線電信所(針尾送信所)」は、無線塔3本と電信室が共に現存する国内最後の貴重な施設だ。電信所の敷地8万6千平方メートルのうち約半分が2014年に国の重要文化財に指定。2016年には、日本遺産「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴〜日本近代化の躍動を体感できるまち〜」の構成文化財の一つに認定された。
巨額の予算を投じ当時の最高技術で建築したとはいえ、朽ちること無く佇む塔の姿は誇らしくもある。

見学時間内であれば塔の内部や電信室前まで見学可能だが、単に見るだけではもったいない。施設内に針尾無線塔保存会の事務所があるので、ボランティアガイドをお願いしよう。予約がなくても大丈夫だ。
針尾送信所の魅力は、現地に訪れ、ここで暮らしてきた人の話しを聴くのが一番。記事内では概要的なことだけにとどめた。ぜひ、この地で古い写真やガイドさんの昔話などを耳にして欲しい。

針尾無線塔保存会のボランティアガイドさんから説明を

写真:塚本 隆司

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ガイド料金は無料だ。そのかわり、この地の維持管理が必要と感じたならば、募金での協力をお願いしたい。

旧佐世保無線電信所(針尾送信所、針尾電信所)の基本情報

住所:長崎県佐世保市針尾中町750番地
見学時間:9時〜12時、13時〜16時、見学時間は30分程度
連絡先:針尾無線塔保存会 0956-58-2718
事前申請:不要(20名以上の場合は、20日前までに事前連絡が必要)
アクセス:西九州自動車道大塔IC出口から約20分。周辺道路は生活道路、農作業用道路のため地元車両優先
駐車場:無料

2018年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

取材協力:長崎県

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/02/23 訪問

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