世界遺産・富岡製糸場に今後も注目!〜壮大な整備で広がる見学範囲

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世界遺産・富岡製糸場に今後も注目!〜壮大な整備で広がる見学範囲

世界遺産・富岡製糸場に今後も注目!〜壮大な整備で広がる見学範囲

更新日:2018/03/25 19:44

大木 幹郎のプロフィール写真 大木 幹郎 巨木マニア、中級登山者、ブロガー

富岡製糸場は、国内最大規模の製糸工場の史跡。明治初期の設立から操業の歴史は100年以上。主要な施設が操業時の状態で残されています。2014年には世界遺産に登録され、3つの建物が国宝に指定。それ以後、施設内の整備が大きく進められています。大切な文化遺産の保存と、新たな公開に向けて変わりゆく富岡製糸場。その見所を国宝の建物を中心にご紹介します。

国宝・東置繭所〜見学の中心的な建物

国宝・東置繭所〜見学の中心的な建物

写真:大木 幹郎

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富岡製糸場を象徴する国宝の3棟、その1つが正面入口の先に建つ東置繭所。このような立派な建物が並ぶ富岡製糸場の歴史を、まずは簡単に説明します。

富岡製糸場の設立は明治5年(1872)。操業は昭和62年(1987)までの115年間。輸出品の要である生糸の品質向上と増産のため、明治政府が設立した官営の模範工場でした。西欧の技術を導入した器械製糸工場で、その最先端の技術が全国に伝播。明治末には日本の生糸の輸出量は世界一になりました。民営化後も最先端の製糸工場であり続け、昭和40年代に生糸生産の最盛期を迎えました。

平成26年(2014)、富岡製糸場は周辺の養蚕の施設を含めて、世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」に登録。養蚕と製糸の分野において、世界的な技術の交流と発展を示す、日本が誇る文化遺産です。

(本記事の撮影協力 富岡市・富岡製糸場)

国宝・東置繭所〜見学の中心的な建物

写真:大木 幹郎

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国宝の東置繭所は明治5年に建造された繭の貯蔵所で、全長約104mもの大きさ。現在、1階には資料展示室と売店が設けられ、2階は操業当時の状態で残されています。

異国情緒ある建物の特徴は、美しい煉瓦壁と多くの窓。建物の構造は、木の骨組の間を煉瓦壁で埋める木骨煉瓦造。この構造の古建築は、国内では富岡製糸場だけに完全な姿で残る貴重なもの。多くの窓は、繭の乾燥のために風通しを良くする措置でした。

国宝・東置繭所〜見学の中心的な建物

写真:大木 幹郎

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東置繭所の2階、操業時の状態で残る繭の貯蔵庫は、2016年から公開されました。大木によるトラス構造の小屋組が続く広大な空間。太い柱と梁、厚い漆喰の内壁、漂う空気、そこかしこに長い操業の歴史を感じられます。

なお、2階へ続く階段は建物の外、乾燥場と隣接する西側です。また、2階の公開は保存修理の工事などで中止となる場合があります。

国宝・西置繭所〜富岡製糸場で進む保存と活用

国宝・西置繭所〜富岡製糸場で進む保存と活用

写真:大木 幹郎

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国宝の西置繭所は、明治5年に建造された繭の貯蔵所。東置繭所とは大きさと構造もほぼ同じ。美しい木骨煉瓦造の大きな建物です。

富岡製糸場で2015年から始まった大規模な保存と活用の工事。その代表的なものが、西置繭所の保存修理です。工事用の素屋根で覆い、建物全体の修理と耐震補強を施行。そんな工事の様子は、仮設見学施設にて特別に公開。西置繭所の貴重な保存修理の様子をご紹介します。

なお、仮設見学施設は2019年春頃までの限定公開。見学には受付で渡されるヘルメットの着用が必要です。

国宝・西置繭所〜富岡製糸場で進む保存と活用

写真:大木 幹郎

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保存修理の仮設見学施設には、2階と3階に素屋根と繋がった見学エリアを設置。3階見学エリアでは、屋根の様子を窓越しに見学できます。

この屋根の状態は、野地板(天井板)の修理が終わった段階。次に杉板葺きの上に砂漆喰をしき、その後で瓦葺きが始まります。ちなみに屋根瓦の総数は約4万9千枚。

なお、仮設見学施設では一般撮影禁止です。

国宝・西置繭所〜富岡製糸場で進む保存と活用

写真:大木 幹郎

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仮設見学施設の見学エリアには、素屋根との間に壁のない部分があり、実際の工事現場の空気を感じることができます。さらに、素屋根の一部に立入れるところも。次項、仮設見学施設の奥で目の当たりにする、壮大な保存修理の様子をご紹介。

国宝・西置繭所〜壮大な保存修理の様子

国宝・西置繭所〜壮大な保存修理の様子

写真:大木 幹郎

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西置繭所の壮大な保存修理の見学。仮設見学施設の3階見学エリアからは、西置繭所を覆う素屋根の内側、工事現場の一部へ立入れます。そこでは、巨大な素屋根の内部と、修理中の屋根を見渡すことができるのです。

素屋根の大きさは全高約19m、全長約119m。全長約104mの西置繭所を完全に覆っています。大規模な工事現場の空気と、最盛期の姿を取り戻してゆく国宝の姿には、大いに興奮させられることでしょう。

国宝・西置繭所〜壮大な保存修理の様子

写真:大木 幹郎

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仮設見学施設の2階見学エリアの様子。素屋根との間に壁がなく、西置繭所の2階外壁の様子が分かります。開放的な3階見学エリアよりも、鉄骨に包まれた工事現場らしい雰囲気。

国宝・西置繭所〜壮大な保存修理の様子

写真:大木 幹郎

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仮設見学施設の2階見学エリアでは、調査と修理のために解体された木材を目にする機会もあります。国宝の建物の大切な一部。腐朽部分は除去して新材を接ぐなど繕われ、できる限り再利用されます。

なお、西置繭所では内部公開に向けた工事も施工されます。2020年6月の完了予定で、1階にはイベントホールやギャラリーなどが設けられ、2階倉庫も公開される内容です。

国宝・繰糸所〜生糸を大量生産する富岡製糸場の心臓部

国宝・繰糸所〜生糸を大量生産する富岡製糸場の心臓部

写真:大木 幹郎

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富岡製糸場の心臓部、繭から生糸を取る施設の繰糸所。東・西置繭所と同じく、国宝であり明治5年に建造された木骨煉瓦造の建物。長さ約140mの建物の中には、昭和62年まで稼動していた自動繰糸機が残されています。

ちなみに昭和時代、原料の繭は繰糸所へ届く前に、乾燥場、東・西置繭所、選繭場・煮繭所(旧蒸気釜所)を経由。繭はまず熱で乾燥してから貯蔵。その後、選別した品質の良いものを煮て糸を解しやすくし、繰糸所へ送られました。

国宝・繰糸所〜生糸を大量生産する富岡製糸場の心臓部

写真:大木 幹郎

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繰糸所の内部は、中央に柱の無いトラス構造と、大きな窓の採光による広く明るい空間。時代と共に繰糸機器は更新されても、建物自体は創業当初の状態です。

両脇に並ぶ自動繰糸機は、昭和41年に導入されたニッサンHR型。繰糸所内には10セット設置されていて、1セットで480本の生糸を巻き取れました。

国宝・繰糸所〜生糸を大量生産する富岡製糸場の心臓部

写真:大木 幹郎

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繰糸所の自動繰糸機、ニッサンHR型。その1セットの片側には、240本分の生糸を繰糸する機構が連続。この繰糸部の仕組みを簡単に説明します。

1つの繰糸部は、下段の繭を置く湯を張った槽から、中段で複数の繭糸を抱合して1本の生糸を作り、上段の枠(緑色の輪)で巻き取るもの。繭の補給も自動化。下段の槽の手前に並ぶ黄色い箱は、周回して繭を運ぶ装置。繰糸部では生糸が細くなると、この装置から新たな繭糸を継ぎ足します。

重要文化財・鉄水溜と首長館

重要文化財・鉄水溜と首長館

写真:大木 幹郎

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富岡製糸場に6つある重要文化財の建造物から2つをご紹介。はじめは2016年から公開された鉄水溜です。

鉄水溜は明治8年頃に建造された鉄製の貯水槽。直径約15.2mの巨大なもので、大量の水が製糸工程で使われました。鉄板は横須賀造船所の関連施設で製造され、当地でリベット打ちによる組み立て。その重厚な佇まいは、まるで当時の軍艦の装甲板。

重要文化財・鉄水溜と首長館

写真:大木 幹郎

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鉄水溜の内側は、外した配管の跡から覗くことができます。広い底の鉄板もリベット打ちによる接合。奥に見える繰糸所が大量の水を必要としました。

なお、2018年3月時点の鉄水溜の見学は、西置繭所の保存修理・仮設見学施設とセットになっています。また、今後の保存修理の工事などで公開が中止となる場合があります。

重要文化財・鉄水溜と首長館

写真:大木 幹郎

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最後のご紹介は、重要文化財の首長館。明治6年に建てられたコロニアル様式の大きな建物です。富岡製糸場は設立時に、最先端の技術と器機をフランスから導入。その指導者として雇用されたポール・ブリュナの居館でした。現在、建物の内部は通常非公開ですが、イベント開催時に公開されています。

以上、富岡製糸場のご紹介でした。2014年に世界遺産に登録、国宝に指定された後、保存と公開に向けた整備が大きく進められています。最盛期の姿を取り戻し、内部も公開されてゆく主要な施設。また、西置繭所のように貴重な保存修理の様子を見学する機会もあります。富岡製糸場は、今後とも注目すべき文化遺産です。

富岡製糸場の基本情報

所在地 :群馬県富岡市富岡1-1
連絡先 :0274-67-0075(場内総合案内所)
開場時間:9時〜17時(最終受付16時30分)
休場期間:年末(12月29日〜31日)
見学料金:¥1000(大人)、¥250(高校・大学生 ※要学生証)、¥150(小・中学生)

<西置繭所・保存修理仮設見学施設>
見学時間:9時〜16時30分(最終受付16時)
見学期間:2019年春頃までの予定
見学料金:¥200(中学生以下¥100)、ヘルメットの貸出料金
補足情報:鉄水溜の見学とセット

<アクセス>
車 :関越自動車道・富岡IC、約10分(宮本町駐車場までの場合)
電車:上信電鉄・上州富岡駅、徒歩約10分

<駐車場>
いなりパーク :¥100(20分毎)、徒歩3分
宮本町駐車場 :¥100(30分毎)、徒歩5分
富岡駅東駐車場:無料、徒歩15分


2018年3月時点の情報のため、最新の情報は公式サイトなどでご確認ください

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/02/16 訪問

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