最初にご紹介するのは、西伊豆町の「白岩山岩壁窟画」。乗浜海水浴場から路地に入った、ちょっと人目に付きにくい場所にあります。シンプルで素朴な造りの堂で、一見ただの堂かと思いきや、中を覗くと現れるのは仏像の線画です。
ここは、1233年に創建された天福寺の廃寺跡。天福寺は、津波で内陸に移った東福寺の前身のお寺で、寺跡に残された岩窟壁画を見ることができます。堂は、乗浜と船溜まりの中間の山裾を人工的に掘削し、洞窟内に仏像を祀るための須弥壇（しゅみだん）を作り、虚空蔵菩薩など、岩肌に線刻で描かれた７体の仏像が祀られています。
堂近くの海岸は絶景が自慢で、海を眺めながら入る「沢田公園露天風呂」や、風光明媚で美しい景観を堪能する遊覧船が運行するなど、賑わいを見せる観光地ですが、ここは華やかな観光地とはかけ離れ、人通りが少なくひっそり。絶景の裏で、貴重な壁画が見られるなんてびっくり。鎌倉時代の神秘的で希少な仏画が見られる、とっておきの見所です。
＜基本情報＞
住所：静岡県賀茂郡西伊豆町仁科
※見学は、格子越しとなります
こちらは、国道136号線沿いの松崎町石部地区と雲見地区の境目にある「雲見霊廟」。霊廟（れいびょう）とは、先祖の霊を祭った建物を指しますが、ここは建物ではなく、突如目の前に、ぽっかりと穴の空いた巨大な岩壁が立ちはだかり、まるで異国の古代遺跡を彷彿させるような光景。
雲見霊廟は、国道を整備する際に村の入口にあった墓や塔、石仏を移転し、現在は納骨堂になっています。中に入ると、まるで沖縄を代表する聖地「斎場御嶽」のような少し奇妙で不思議な空間が広がり、心が洗われるかのよう。先人の霊を祭った御霊屋で、心が改まるような霊力溢れるスポットです。
この霊廟は、江戸時代から採石場として石を切り出した石丁場跡でもあり、その昔に根付いた石文化の貴重な資料を見ることもできますよ。
＜基本情報＞
住所：静岡県賀茂郡松崎町雲見
※東海バス「赤井浜バス停」近く
こちらは、伊豆市八木沢にある「妙蔵寺」です。
参道のシュロの木に誘われるように進むと、境内にあるのがこちらの「パゴタ塔」です。パゴタは、ビルマやタイ地方に数多く見られる仏塔ですが、日本にあるなんて少し意外な印象ではありませんか。ここは、国道から入った山間にあり、寺に近づくまで建物が見えず、いきなり白い塔が見えると、びっくりしてしまうことでしょう。
パゴタ塔は、第二次世界大戦で戦死された方を慰霊するために立てられたもの。世界平和を願って参拝されてみては如何でしょうか？
また、パゴタ塔の前には、毘沙門天・寿老人などの七福神の小さな像があり、境内で七福神巡りもできて一石二鳥。開運・延命・福徳・長寿などの御利益は、その像によって様々なので、像の横の案内書きを参考にすると便利です。
＜基本情報＞
住所：静岡県伊豆市八木沢1738
最後に、ご紹介するのは「立木釈尊」です。ここは、恋人の聖地として有名な恋人岬のすぐ近くの富士見台にあります。小立釈尊の道路を挟んだ向かいには達磨寺があり、国道136号線を土肥方面から来ると大概の人は、大きな達磨寺の看板に気を取られて、注意しなければ知らずに通り過ぎてしまうほど、ひっそりとした場所にあります。
立木釈尊は、仏像彫刻家の大家の仲丸奥堂が手掛けたものとされていて、驚くことに、ここに生えていた松の幹に直接仏像を彫ったダイナミックな作品です。残念ながら、松くい虫の被害に遭い、現在は仏像の部分を伐って、修復したもの安置してありますが、道端で名が知られた仏師の作品が見られるなんて、ちょっと得した気分ですね。
旅人の安全や国家安泰を願って建てられたそうで、ここを通っただけで知らずに御加護を受けられるというありがたい仏像です。平穏な日常を願って、旅の途中に少し立ち寄ってみてはいかがでしょうか？
＜基本情報＞
所在地：静岡県伊豆市小下田 富士見台
見学する際は、石仏などを傷つけない！騒がない！ゴミを散らかさないなど、マナーを守って下さいね。
ご紹介した見所は、あまり知られていない石造や石仏ですが、自分の心にそっと語り掛けるような心を落ち着かせてくれるものばかり。西伊豆の自然と壮大な景観を感じながら巡れば、都会の喧騒や日々のわだかまりも、きっと忘れさせてくれます。さぁ、元気をもらう旅に出発だ！
2018年3月現在の情報です。最新の情報は、公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/4/19更新)
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