栃尾又温泉の歴史は古く、はじまりは奈良時代に遡ります。湧出る温泉に穴を掘って浸かったところ、その効能が評判になり遠くから湯治客が来るようなりました。日帰りが出来ない湯治客のために小屋を建てたのが、自在館の始まりです。
大正時代になり、栃尾又温泉がラジウム温泉と判明。湯治客が増え始めた大正時代末期、木造3階建ての大正棟が建設されました。当時の温泉は湯治が主流。利用者は自炊が基本で、ご飯だけを宿が提供、希望者だけに“まかない”と言われる一汁三菜の食事が振舞われる時代でした。大正時代に建てられた大正棟は現在でも宿泊施設となっていて、大正レトロの雰囲気が楽しめます。
湯治に来た僧侶により、般若心境経の“観自在菩薩”から「自在館」と名付けられました。ロビーフロアでは、コーヒーや、冷たい温泉水を自由に飲むことが出来ます。
宿泊部屋は、築約100年の大正棟と本館棟の2棟。写真の部屋は本館の佐梨川に面したトイレ付和室です。窓を開けると佐梨川が流れる音と、うけづ山の森が見え、部屋に居ながら森林浴をしているようです。
ラジウム温泉は気化しやすいため各宿に引泉せずに、源泉近くの浴場を、自在館をはじめ、神風館、宝厳堂の3つの宿で共有利用しています。佐梨川沿いにある源泉湧出の真上にある 「したの湯」と、源泉を上まで引いた、「うえの湯」と「おくの湯」の3か所。「したの湯」「おくの湯」と「うえの湯」は日ごとに男女が入れ替わるので、1泊2日であればすべての浴場に入ることが出来ます。
温泉から発生するラドンは、脂肪に溶けやすいため皮膚を通って身体に取り入れられ、体のバランスを保つ、副腎や脳下垂体の機能を高めます。入浴での効能は、通風や、高血圧症、動脈硬化症、胆のう炎、胆石症など、飲用でも同様の効能があります。各浴場の出泉口から飲泉することが出来ます。
「おくの湯」は、源泉かけ流しの湯船と、加温した湯船、その2つをつなぐ寝湯の3つの湯船があります。栃尾又温泉は、1〜2時間ゆっくりと入る“長湯”が伝統の入浴方。気化したラドンは呼吸によっても体内に入るといわれています。
「うえの湯」も「おくの湯」と同様に3つの湯船があります。“ラジウム”と聞くと体への害が心配になる方もあるかもしれませんが、少量であれば細胞の活性化や免疫力向上の効果があります。
自在館の宿泊プランは、「一汁四菜コース(お食事控えめ)」を基本に、川魚のお造りと、岩魚の炭火焼が加わる「一汁六菜コース(スタンダード)」、さらに、鍋物が付く「一汁七菜コース(フルコース)」の3つのプラン。お好みに合わせた夕食が選べます。
スタンダードの「一汁六菜」は、ゴボウサラダに、めかぶと山芋のわさび和え、大根と帆立のシチュー、豆腐と挽肉の重ね煮の四菜に、新潟県のブランドニジマスの「魚沼美雪マス」のお造りと、岩魚の炭火焼が加わります。美雪マスは、程よい脂で川魚のイメージが履される味わい。炭火でじっくりと焼かれた岩魚は、頭から尻尾まで美味しく頂けます。(食材は季節により変わります。訪れた季節の味を楽しんでください)
つやつやに炊かれた魚沼産コシヒカリのご飯は、もちもちの食感と旨味と甘味があります。地元野菜のお味噌汁との相性は抜群です。
デザートは、サツマイモプリンとメロン、オレンジ。サツマイモの甘さを活かしたプリンは、湯治食の夕食を上手に締めくくります。
自在館には3つの貸切風呂があります。源泉は共有浴場とは別の“自在館一号”。全ての貸切風呂がラジウム温泉ですが泉温が低いため、加温した源泉をかけ流ししています。弱アルカリ性のため、肌の角質をとる美肌効果があります。ラジウム温泉は加熱すると気化してしまいますが、温かいお湯で体内の血流量が増えるとラドンを身体に取り入れる量も増加するので、充分な効能が期待できます。
貸切風呂は露天風呂の「うけづの湯」と、内風呂の「うさぎの湯」と「たぬきの湯」があります。ロビーフロアーに予約台帳と浴場のカギがあるので、空いていれば何時でも入ることが出来ます。
うさぎの湯は木造張りの浴槽。3つの洗い場があります。ラジウム温泉は呼吸からも体に吸収するので内風呂が理想です。また、窓が大きいため外の景色も楽しめます。
たぬきの湯は石造張りの浴槽。こちらにも3つの洗い場があります。露天風呂の「うけずの湯」には洗い場がないので、他の2ヶ所で体を洗った後に露天風呂を楽しんでください。
自在館の隣には、樹齢400年と言われる杉や欅に囲まれた栃尾又薬師堂があります。祀られている薬師如来は、人々の病を治し、災難を治め、苦しみを救うなど、12の祈願を達成して悟りを開いた如来様。境内には、1株から2本の幹が伸びた子持ち杉があり、御神木を跨ぐと子宝に恵まれる謂れがあります。薬師堂には、数多くの祈願やお礼参りの絵馬が奉納されています。
朝食は、自家製ヨーグルトや、鯵の干物、ラジウム納豆、温泉卵に、地元野菜のお浸し、煮物、サラダなど。朝食はブドウ糖の供給や、血糖値の維持など、元気な1日を過ごすための大切な食事、魚、卵、野菜の組み合わせは、日本の王道の朝ごはん。ラジウム納豆は、栃尾又温泉に一晩漬けて発酵させたもの。大粒納豆はふっくらと炊かれたご飯によく合います。
栃尾又温泉は「子宝の湯」とも言われています。キューピーの子授け祈願や、お礼参りの絵馬は、自在館にあります。
大粒のラジウム納豆はご飯のお供ではなく、一品の料理のように食べごたえがあります。
栃尾又温泉は観光目的の温泉旅館は、1泊2日のイメージですが、湯治となれば、1週間程の滞在が必要です。自在館では、2〜3泊の現代版湯治を提案しています。また、お一人様も歓迎しています。部屋タイプは、本館の「トイレ無し」と「トイレ付」の和室、和室ベットルームと、大正棟の和室です。連泊の場合、宿泊費が割引となるので自在館のホームページ等で確認してください。
2018年3月の記事を基に2019年8月に更新しました。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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