福岡・二日市温泉「大丸別荘」は大正建築と自家源泉のある静謐な老舗旅館

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福岡・二日市温泉「大丸別荘」は大正建築と自家源泉のある静謐な老舗旅館

福岡・二日市温泉「大丸別荘」は大正建築と自家源泉のある静謐な老舗旅館

更新日:2018/05/08 14:18

赤松 珠抄子のプロフィール写真 赤松 珠抄子 フォト・エッセイスト、インテリアデザイナー

博多から電車で約15分、福岡空港から車で約35分で着く二日市。日本最古の和歌集、奈良時代の「万葉集」にも歌われている歴史ある温泉です。
1865年、ここに田代屋という小さな宿を開いたのが「大丸別荘」の始まり。
由緒ある旅館は6500坪もの敷地があり、大正7年築の「大正亭」、昭和45年築の「昭和亭」、平成元年築の「平安亭」という三時代の建物が並びます。
福岡に来たら滞在すべき、至極の旅館です!

大正時代に建てられた「大正亭」、風格ある純木造の本格的書院造りが魅力

大正時代に建てられた「大正亭」、風格ある純木造の本格的書院造りが魅力

写真:赤松 珠抄子

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「大丸別荘」の一番のオススメは、間違いなく「大正亭」です。
お部屋は一つ一つ違った間取り、インテリア、眺望なので、自分の好みで選べます。中でも「古梅(こばい)」は、そのいずれもが絶妙に交錯し、閑寂な空気を生み出しています。

客室内で注目して欲しいのは、座布団です。
江戸時代に豊前小倉藩(現、北九州市)で袴や帯用に織られた「小倉織(こくらおり)」の布を座布団カバーにしています。縦縞模様が特徴で光沢があり、さらっとした肌触り。伝統ある織物が生きる空間は、ゆったりとした時間が流れています。

大正時代に建てられた「大正亭」、風格ある純木造の本格的書院造りが魅力

写真:赤松 珠抄子

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窓辺に置かれたテーブル&チェア。座面の生地はベルベット調のモスグリーンでカーテンとお揃いになっています。椅子の後ろには鏡台があり、すべてが昔懐かしいデザイン。

日本庭園は3500坪もあり、庭を一望できます。様々な緑があり、様々な形があり、という普段、忘れている植物の美しさに気付かされます。

大正時代に建てられた「大正亭」、風格ある純木造の本格的書院造りが魅力

写真:赤松 珠抄子

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大正浪漫を思わせるバスルームは大正時代の建物ですが、老朽化と共に修繕はしています。それでも元のテイストを損なわずに使いやすい設備となっているのが、実にお見事。

和のデザインの照明に和柄のタイル、自然素材で編んだスツール、そしてゴミ箱も昔の火鉢でカバーがされている徹底ぶり。デザインにこだわると使い勝手が悪くなりがちですが、ここでは逆。例えば、洗面台のタオル掛け。一般的にはあまりここにはありません。でも設置したおかげで余計な水滴を落さずに済みますよね。

100坪もある大浴場「次田の湯」は自然の地形を表現した岩風呂が特徴

100坪もある大浴場「次田の湯」は自然の地形を表現した岩風呂が特徴

写真:赤松 珠抄子

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広くとられた窓からは木々の緑が映り込み、清々しいお風呂場になっています。そして、自然を一層感じさせるのが岩風呂の造りにあります。

最深部で90cm(!)もあり、底には丸石がビッシリ。これが池のイメージ。川原のイメージでは浅瀬になり、一つの温泉でかなりの高低差があります。あまり見かけない構造に驚きの連続です。
でもこれは「足心入浴法」と言って、底から湧く自然のエネルギーが体の疲れを癒し、自然治癒力を引き出す、というもの。深さ90cmの場所では歩くことで足ツボ押しになり、浅瀬ではうつぶせの体勢で手の平のツボを押しながら前へ進むと効果が出ます。一人の時に試してみると、自然と一体になったようで違った温泉の楽しみ方ができますよ。

100坪もある大浴場「次田の湯」は自然の地形を表現した岩風呂が特徴

写真:赤松 珠抄子

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和の意匠が散りばめられた女性用脱衣室です。機能性を求める場所ですが工夫が見られます。ティッシュは天然の素材でカバーされ、綿棒は有田焼の器に収納、脱衣カゴには数字入りのレトロな陶器プレートが付けられています。
お陰で、自然を体感した温泉から上がっても気分が保たれ、リラックスしたままお部屋へ帰れます。

100坪もある大浴場「次田の湯」は自然の地形を表現した岩風呂が特徴

写真:赤松 珠抄子

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豪華な金色の背景に、鶴が描かれた屏風がお出迎え。実はこれ、女性用お風呂の入口なのです。一歩、足を踏み入れた瞬間、誰もが感嘆するに違いありません。仕切り壁にまでこだわる姿勢はさすが。

大浴場「次田の湯」は男湯が1階、女湯が2階にそれぞれ有り、岩風呂は同じデザインです。入替制ではないので、時間内はいつでも入浴可能というのは嬉しい限り。

贅沢すぎる空間と湯量を誇る、「大正亭」宿泊者専用の貸切家族風呂

贅沢すぎる空間と湯量を誇る、「大正亭」宿泊者専用の貸切家族風呂

写真:赤松 珠抄子

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「大正亭」に泊まった人だけが入れる、貸切の家族風呂が2ヶ所あります。いずれも家族風呂と言うには勿体ないほどの広さで、優雅な気分にひたれます。

こちらは「芦の湯」。真ん中で仕切られており、手前がぬるめのお湯、奥がそれより熱いお湯になっています。

贅沢すぎる空間と湯量を誇る、「大正亭」宿泊者専用の貸切家族風呂

写真:赤松 珠抄子

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もう一つが「水心の湯」。注目すべきは、窓。このお風呂のために特注されたもので、いかに視線を遮り、自然を感じさせるかが考えられています。四隅には花の木細工が施され、装飾でありつつ、角に溜まる汚れ防止、ガラスの強化にもなっています。温泉効果で脱力しながらも、繊細な技にも見惚れてしまいます。

お風呂上がりに化粧水をつけると、じわじわと浸透していきます。アルカリ性単純温泉で皮膚や火傷に効果があるので、肌質もツルツルしてきますよ。

贅沢すぎる空間と湯量を誇る、「大正亭」宿泊者専用の貸切家族風呂

写真:赤松 珠抄子

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「大正亭」の家族風呂を出ると、庭を眺められるオープンデッキがあります。冷水機もあるので、ゆっくりとクールダウンできます。
一日居るなら、夕暮れ時の入湯がオススメ。灯りの点いた「大正亭」の建物が、幻想的な日本家屋となって浮かび上がる光景に出合えます。

忘れられない、おもてなしの心と行き届いたしつらえ

忘れられない、おもてなしの心と行き届いたしつらえ

写真:赤松 珠抄子

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「大正亭」へは玄関口から他の棟を通り、渡り廊下でかなり長く繋がっています。中程にある玄関からは庭に出られるので、常に雪駄が準備されています。しかも、誰でも履けるよう、お部屋には足袋ソックスの用意が。心憎い配慮です。

玄関まわりは多種の木材が使われています。床から天井、引戸にまで、色や質感の違いがデザインになる職人のアイデアが光ります。

忘れられない、おもてなしの心と行き届いたしつらえ

写真:赤松 珠抄子

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渡り廊下で出会った、ゑびす様。切株の上に鎮座され、榊を思わせる葉や水器が供えられています。鮑の貝殻にはお賽銭と思しき小銭も。
こうした何気ない飾りがふとした瞬間に現れ、広い館内を飽きることなく歩けます。老舗旅館の揺るぎない心意気が伝わってきます。

忘れられない、おもてなしの心と行き届いたしつらえ

写真:赤松 珠抄子

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館内にある化粧室。「婦人用」「殿方用」と書かれた陶器のプレートもさることながら、お姫様とお殿様の津屋崎人形はトイレであることを忘れる、もはや小さな美術館です。
ただの「男」「女」の表示で済むところを手の込んだ装飾品で迎えてくれる、こんなトイレを見たことがありますか? そうそうないですよね。

旬の食材を取り入れた献立は月替わり、こだわりの会席料理

旬の食材を取り入れた献立は月替わり、こだわりの会席料理

写真:赤松 珠抄子

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【夕食】は「古梅」のお部屋近くにある「古梅控」でいただきます。
毎月、料理長が季節のものを吟味するので、いつ来ても四季を感じられる料理になっています。(今回の料理は、2018年3月の献立です。)

『八寸』で珍しい一品は、左の白いお皿、真ん中にある黄色いサツマイモ。「丸十(まるじゅう)の蜜煮」で、ローリエや八角、生姜、レモンなどで漬け込み、甘く煮たものです。ほのかに残る後味がスパイシーで素朴な甘みもあります。「丸十」とはサツマイモのことで、薩摩藩の家紋からきている呼名です。

次は、『お造り』で玄界灘で獲れた鯛など四点盛り、『お椀』は「帆立もずく真蒸入りのお吸い物」、『箸休め』は「アサリと桜葉の飯蒸し」と続きます。

旬の食材を取り入れた献立は月替わり、こだわりの会席料理

写真:赤松 珠抄子

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『焼物』は、赤味噌ベースの味噌に漬けた「近江牛の肩ロース」。
焼いた石にのせているので最後まで冷めずに、やわらかさも維持、じっくりと味わえます。全般的に、お味噌のオリジナルブレンドは絶品で味に深みがあり、後を引く美味しさです。

続く『ご飯』はグリンピース入り、スイカの奈良漬など「香の物」と「赤だし」、『デザート』は「フルーツゼリー」と「おしるこ」です。

飲み物には「自家製梅酒」もあります。旅館の庭で採れた梅で漬けたものなので貴重ですよ。濃厚なのでソーダ割りでも十分、梅を感じられます。

旬の食材を取り入れた献立は月替わり、こだわりの会席料理

写真:赤松 珠抄子

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【朝食】は一口サイズの手の込んだ料理。こちらも「古梅控」でいただきます。

特筆すべきは、左の「温泉豆腐」でしょう。福岡県産の豆腐を源泉から引いた温泉水で煮ています。自家製胡麻ダレでいただくのですが、煮すぎても胡麻ダレと混ざりホロホロトロトロと新たな豆腐の食べ方ができます。これも温泉水を使っているからこその成せる技です。

左上の6つの小皿には、香ばしい「胡桃入りコロッケ」、里芋のペーストにお味噌を混ぜたソースでいただく「里芋煮」、キノコと野菜の「すりおろした蓮根の蒸し物」など、充実の内容となっています。
これで元気な一日が始まります!

是非、滞在して欲しい二日市温泉「大丸別荘」はココが凄い!

かつて博多の奥座敷として栄えた二日市温泉は開湯約1350年。
「大丸別荘」は1865年(慶応元年)創業、約150年の歴史ある旅館です。

木造建築が美しい「大正亭」、数奇屋造りの「平安亭」、古民家を思わせる「昭和亭」、そして「蓮魚庵」は一軒家の趣、各々違った魅力があります。各部屋には内風呂もあり、「平安亭」と「蓮魚庵」は温泉になっています。

忙しい人のために、日帰りの温泉付きお食事プランもあります。昼の部と夜の部があるので、予定に合わせやすいのが良いですね。

とにかくアクセス抜群なので福岡に出掛けた際には、是非、訪れてみてください。建築、温泉、料理と、どれもが上質で、どんな人の好みにも合うはずです。

■2018年3月の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
■「大丸別荘」の詳細や二日市温泉の名産品等については、下記の「関連MEMO」のリンクから御覧ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/03/18 訪問

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