写真:Lady Masala
地図を見るローマ時代に築かれたという城壁に囲まれた村「Obidos(オビドス)」は、イスラム教徒であったムーア人による支配を経て、19世紀までは王妃の直轄地として栄えました。この地を訪れ、その美しさにすっかり魅了されたイザベル王妃のために、時の王ディニスがその村を王妃に贈ったことから「Vila das Rainhas(王妃村)」ともよばれています。
毎年3月にはチョコレートフェスティバル、7月には中世市場が開催されるほか、クリスマスが近づくとイルミネーションに彩られるオビドス。どの季節に訪れても、その美しさにふれることができるでしょう。
そんな村の入り口にあたるのが「ポルタ・ダ・ヴィラ」。ムーア人によって建てられた城門ですが、アーチの内側は18世紀につくられた「アズレージョ」とよばれるポルトガル式タイルに覆われています。扉の内側にはオビドスの守護聖人、聖ピエダデと聖母マリアに捧げられた祈祷室があります。
写真:Lady Masala
地図を見るメインストリート「ディレイタ通り」には、お土産屋、カフェ、レストランが軒を連ねます。ポルトガルが世界一の生産量を誇るというコルク製品や、色とりどりの焼き物などがかわいらしくディスプレーされています。
店先に出ているカウンターを見つけたら、サクランボをアグアルデンテというブランデーに漬けてつくったリキュール酒、オビドス名物「ジンジャ」を試してみましょう。チョコレートのカップで試飲できます。1杯1ユーロほど。甘くておいしいお酒ですが、アルコール度はワインよりも高いそうなので、飲みすぎには気をつけましょう。
写真:Lady Masala
地図を見るオビドスを歩く楽しみのひとつは、無数にある小路を歩くこと。小ぢんまりとした村のこと、道に迷う心配はありません。感じのよい小路を見つけたらその角を曲がってみましょう。
遠くに見える城壁、ひょっこりと顔を出す教会の尖塔。そこから眺める風景はそれぞれに異なりますが、その全てが絵になります。青や黄色に彩られた建物が多いのは、村の旗にこの2色が使われているから。小路の風景は無限に広がります。
<基本情報>
Porta da Vila
住所:R. Josefa de Obidos 2, 2510-001 Obidos
写真:Lady Masala
地図を見るオビドス観光のハイライトともいえるのは、村を取り囲む城壁を歩くこと。その入り口となる階段は全部で5か所ありますが、「ポサーダ・カステロ・デ・オビドス」付近にあるのもそのひとつです。
ポサーダとは、歴史的建造物を国営ホテルに改装した建物のこと。15世紀の城を利用したオビドスのポサーダは、ポルトガルで人気ナンバーワン。小高い場所に建つ城の一角は展望台にもなっており、オビドスの美しい町並みを一望することができます。ここから眺める景色だけでも充分に美しいですが、城壁を歩いてオビドスの全景を眺めてみましょう。
写真:Lady Masala
地図を見る城壁の内側に広がるのは、オレンジ色の瓦屋根と白地に赤、青、黄色に彩られるカラフルな家並み、突き出た白い教会の尖塔。外側には低い山並みと広大な緑の大地が広がっています。どの角度を見渡しても、まるで絵本のページを切り抜いたかのような美しさ。その全てがシャッターチャンスといえるでしょう。気に入った場所を見つけたなら、立ち止まってその景色を目に焼きつけたいものです。
写真:Lady Masala
地図を見る城壁を一周するには、ゆっくり歩いても1時間程度。気分の赴くままに自分のペースで歩きましょう。その道幅は狭く、柵や囲いがありません。もう一方の側から来る人たちとすれ違うときには、まるで綱渡りのようなスリルがあります。過去には転落事故も発生しているそうです。安全を第一に心がけ、足元にはくれぐれもお気をつけください。
写真:Lady Masala
地図を見るかつて市庁舎や市場として使用されていた建物が残されている「サンタ・マリア広場」は、村の中心に位置します。市庁舎は裁判所や刑務所としても機能していたため、「ペロウリーニョ」という罪人を吊るし上げるためのライムストーンが残されています。
刑罰として罪人を籠に入れて吊るし、公衆の面前にさらすために使われたというこの柱には、その時についた窪みが遠目にもわかるほどくっきりと残されています。そのペロウリーニョですが、現在では自治のシンボルとして親しまれているということです。
写真:Lady Masala
地図を見る広場の中心に建つのは、オビドス最古の「サンタ・マリア教会」。白壁の外観はシンプルですが、教会内部に一歩足を踏み入れたなら、壁一面を彩る青と白のアズレージョの荘厳な美しさに目を奪われるでしょう。
ムーア人から伝えられたというタイルには、アラブのエッセンスが感じられます。エキゾチックでありながらも、ポルトガルの伝統が凝縮されたアズレージョ。教会を美しく際立たせているのは間違いないでしょう。
写真:Lady Masala
地図を見る祭壇の左側にある、かつてのオビドス市長であったジョアン・デ・ノローニャとその妻の石棺は必見。ルネッサンスを代表する彫刻家ニコラ・シャントレーヌの作品で、「ピエタ」とよばれる亡くなったキリストを抱く悲しみの聖母マリア像が印象的。悲嘆にくれるマリア様のその表情が痛々しく、胸に迫ってくるものがあります。
<基本情報>
住所:Praca de Santa Maria, 2510-217 Obidos
写真:Lady Masala
地図を見る城壁の外側にあり、リスボンからの長距離バスが発着する停留所近くにある広場には、16世紀に建てられたという「水道橋」があります。水道橋といえばローマ時代のものが一般的ですが、中世につくられたというこの建物は堅牢でありながらもシンプルな外観。城壁からも見渡すことができる全長3キロにも及ぶオビドスの水道橋は、かつてサンタ・マリア広場にあった泉に水を供給していたといいます。
写真:Lady Masala
地図を見るポルトガル王ジョアン3世の妃となり、水道橋を建てたカタリナ王妃は「狂女フアナ」として知られるカスティーリャ女王の四女。長兄カルロス1世の統治下でスペイン帝国は隆盛を極めることとなりますが、母親フアナは精神に異常をきたし、長い間幽閉されていました。
ヨーロッパ諸国の複雑な系譜と勢力争いの渦中にあったカタリナ王妃ですが、建設費を捻出するためにオビドス周辺にあった自分名義の土地を売却したといいます。住民のために私財を投じたカタリナ王妃の思いを胸に、どこまでも連なる水道橋を眺めたいものです。
<基本情報>
住所:N114 9, Obidos
写真:Lady Masala
地図を見るオビドスは、リスボン「カンポ・グランデ」のバス乗り場から長距離バスでおよそ1時間という便利な立地から、日帰り旅行に人気の場所です。昼間に大挙して訪れる観光客も夕方には別の場所に移動します。日中の人でごった返す活気に満ちた村の様子もよいですが、夕方以降の静かで落ち着いた雰囲にもまた違ったよさがあります。
写真:Lady Masala
地図を見る「ポサーダ・カステロ・デ・オビドス」付近の城壁は日没後にライトアップされます。誰もいなくなった展望台からは、オビドスの夜景を独り占め。時間が許すならばぜひとも1泊して、日暮れ後のロマンチックなオビドスも満喫したいものです。
<基本情報>
住所:Paco Real, 2510-999 Obidos
電話番号:+351-21-040-7630
谷間の真珠とも、ポルトガル一美しい村とも称えられる「オビドス」。城壁内は小ぢんまりとしており、主な観光施設を一通り見学するには数時間あれば充分といえます。
しかしながら、それぞれに異なった顔を持つ小路を歩き、カラフルでかわいらしい町並みをゆっくりと時間をかけて散策してみてください。ゆったりとした趣のある「王妃が愛した村」の魅力を感じることができるはずです。
2018年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2025/1/13更新)
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