りんごの名産地だから一味違う、青森県弘前城・2600本の桜の輝き!

りんごの名産地だから一味違う、青森県弘前城・2600本の桜の輝き!

更新日:2014/02/20 14:41

青森県の弘前城は言わずと知れた桜の名所。
本州の最北の地に位置しながら雪に耐え、遅い春の訪れを喜ぶかのように咲き乱れます。その活き活きとした輝くような美しさには、りんごの産地ならではの秘訣がありました。

他の桜とは一味違う、そんな弘前城の桜をご紹介いたします。

弘前城とさくら祭り

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弘前城は慶長16年(1611年、江戸時代)、津軽を統一した津軽為信の息子、信枚(のぶひら)によって築城されました。天守閣はその後落雷により焼失、現在の建物は文化8年(1811年)の再建ですが、江戸時代の天守閣として東北では唯一の物になります。

弘前城のある弘前公園では毎年さくら祭りが開催され200万人を超える人で賑います。
期間中は露店、西濠のボートの貸出(有料)、与力番所でのお抹茶(一服500円)、物産展開催の他、車椅子のボランティアがあったりと、観光客が楽しめるようにサービスが充実しているのも特徴。
弘前市のゆるキャラ「たか丸くん」がいることもあるので、タイミングによっては会えるかも知れません。
もちろん夜間はライトアップが行われ幻想的な雰囲気に…

       見頃:4月下旬〜5月上旬
  さくら祭り期間:毎年4月23日〜5月5日まで(変更あり)
   ライトアップ:18時30分〜22時
本丸・北の郭入園券:大人300円 子供100円
     有料時間:さくら祭り期間 7時〜21時 
          さくら祭り期間以外(4月1日〜11月23日) 9時〜17時
アクセス
電車:JR弘前駅より徒歩20分
 車:東北自動車道大鰐IC〜R7号経由で約12km

水濠が見せる桜の美しさ

水濠が見せる桜の美しさ
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弘前城には内濠・中濠・外濠・西濠と今でも水濠がたくさん残されています。その傍らには多くの桜がありお濠の上に枝を伸ばしているものも。満開のときはもちろんのこと、水鏡に映るその姿、花が散って花筏となりお濠を埋め尽くす様子は筆舌に尽くしがたい美しさ。

本丸を囲む内濠は本丸側が石垣になっているため、他の土塁のお濠とは違った趣があります。
特に二の丸から本丸へと渡る、赤い欄干の下乗橋前は、桜と橋と天守閣が一緒にカメラに収めることができるため、絶好の撮影ポイント。

お濠の中でも「築城時に岩木川の支流を引き込んで作られた」という西濠の両側には合わせて300本もの桜があり、その横の道はその名も「桜のトンネル」。特に満開や散り始めは素晴らしく、弘前公園に来たらぜひ歩いてみたい人気スポットになっています。

弘前城の桜が美しいその秘訣は青森名産のりんご

弘前城の桜が美しいその秘訣は青森名産のりんご
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弘前公園の桜は元気があって活き活きと美しく咲き誇ります。元々桜は綺麗な花ですが、ここの桜達は輝いているような、思わず息を呑んでしまう美しさがあります。
その秘訣は青森県名産のりんご。
同じバラ科の植物ということで、桜ではタブーとされていた思い切った剪定や、りんご栽培の仕方を活用した「若返り法」と呼ばれる手入れを行っているのです。

「若返り法」を行うきっかけとなったのが、本丸天守閣の前にある枝垂桜の「御滝桜」。この木が弱ってしまい、なんとか蘇らせようと試みた結果、生まれた手入れ方法が「若返り法」なのです。御滝桜も現在ではすっかり元気になり立派に花を咲かせています。因みにこの桜は棟方志功画伯によりその名がつけられました。

ソメイヨシノは通常その寿命が60年〜80年と言われていますが、弘前城には樹齢100年を超えるものがなんと300本以上!中でも二の丸には樹齢130年を超える「日本最古のソメイヨシノ」が現在でも元気に花を咲かせています。これも「若返り法」が成せる業。弘前ならではの桜の輝くような美しさの陰には、名産のりんごにあったのです。

この他にも弘前公園内では「日本最大幹周のソメイヨシノ」を始め、新種・変種の桜、とても珍しい花の色が黄色の「鬱金桜(ウコンザクラ)」など約50種類もの桜を楽しむことができます。

天守閣から津軽富士・岩木山と桜を眺める贅沢

天守閣から津軽富士・岩木山と桜を眺める贅沢
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本丸まで来たら天守閣に登りましょう。弘前城史料館として江戸時代の史料を展示しています。見逃せないのは天守閣からの眺望! 天気が良ければ津軽富士とも言われる岩木山を望むことができます。公園内の桜と岩木山を一度に眺めることができるのはまさに贅沢。

今のようにソメイヨシノなどが植えられるようになったのは明治になってからですが、正徳5年(1715年、江戸時代)藩士が京都よりカスミザクラの苗を持ってきて植えていたので、津軽のお殿様も岩木山と桜をこの天守閣から眺めていたのでしょうか。

因みに藩士が持ってきたカスミザクラはすでに朽ちていますが、そのうちの1本が「ひこばえ」(切り株や木の根元からでた若芽)を残しており、現在は成長して美しい花を咲かせています。

桜で埋め尽くされた弘前城を歩く

桜で埋め尽くされた弘前城を歩く
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天守閣の他に江戸時代の弘前城の面影を残すものとして、5つの城門(東内門・南内門・追手門・北門・東門)と、十二支の方位から名づけられた3つの隅櫓(辰巳櫓・未申櫓・丑寅櫓)があり、いずれも重要文化財に指定されています。

敷地は北の郭・本丸・二の丸・三の丸・四の丸とお濠で区切られていますが、広いので桜に見とれていると、自分がどこの辺りを歩いているのかわからなくなることも…。お濠に架かる橋は杉の大橋や下乗橋など、全部で8つ。それぞれが桜に調和して風情ある景色を生んでいます。

江戸時代にあってはロシアなどの北方の守りの要でしたが、今はその役目を終え桜の名所。弘前公園は広い敷地のどこを歩いても、絵になる桜の景色があるので飽きることはありません。ゆっくり見ようと思ったら半日は必要でしょう。

なんといっても生命力の魅せる美しさ

ご紹介してきましたように弘前城の桜が殊に美しいのは、その手入れ方法により培われた生命力が溢れているから、と言えます。人間も元気がいい時の方が風邪をひいたりしている時よりも、活き活きして綺麗に見えるのと同じこと。
これも弘前の方々が桜を愛し、大切に守り、努力を重ねてきた賜物です。
そのことに感謝の意味を込めて、ぜひ生命力溢れた美しい桜の弘前城を見に、訪れてみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2011/04/27−2011/04/28 訪問

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