写真:木村 岳人
地図を見るなにはともあれ、まずは海津大崎の桜を堪能しましょう。
海津大崎へのアクセスはJR湖西線「マキノ駅」から。レンタサイクルもありますし、徒歩でも40分ほどで到着しますが、ここは桜のシーズン中のみ出ている「お花見バス」を利用するのが吉。海津大崎の突端に位置する「大崎寺」まで乗り、戻るようにして歩くのがベストです。
海津大崎では湖に沿って約2kmの遊歩道が通されていますので、桜と湖の景観を楽しみながら、のんびり散策することが可能です。途中には広場や公園もありますし、そこでお弁当を広げるのも良いでしょう。
「日本さくら名所100選」にも選定されているだけあって、湖岸に沿って続く桜の回廊は見事の一言。湖面に桜の花弁がたゆたい、なんとも優美な風情に浸れます。
写真:木村 岳人
地図を見る海津大崎の根元で桜並木は終わりますが、そこで散策を終えて帰ってしまうのはあまりにもったいない!
その先には、江戸時代に築かれた風情ある石積みの堤防が、約1.2kmに渡って続いているのです。このような湖岸の石積み堤防は日本中を探しても他に例がなく、まさにオンリーワン。堤防沿いに残る昔ながらの家屋と相まって、実にユニークな水辺の景観を作り出しています。
繊細可憐な桜並木とは打って変わって、重厚な石垣が続くその景色。趣が異なる二つの湖畔景観を見ることができるなんて、なんとも贅沢じゃないですか。
写真:木村 岳人
地図を見るこの石積み堤防が築かれたのは、元禄16年(1703年)のことです。それ以降、300年以上に渡り、海津集落を水害から守ってきました。
かつての海津は、北陸と京都を結ぶ琵琶湖水運の拠点として重要な宿場町・港町でした。しかしながら、立地的に季節風による波風の影響を強く受け、その度に家屋に被害が出て住民を悩ませていたのです。そのことを哀れに思った代官の西興一左衛門が、幕府の許可を得て、この石積み堤防を築きました。
海津集落の西隣にある西浜集落の蓮光寺には、西興一左衛門の功績を讃えた石碑が、今もなお残されています。
写真:木村 岳人
地図を見るまた海津集落の湖畔には、木の板で作られた小さな桟橋のようなものを所々で目にします。これは「ハシイタ」と呼ばれ、かつて海津の人々はそこで洗い物をしていました。湖と共に生きてきた、人々の生活の証です。
他にも、かつて利用されていた海津桟橋の跡が残っていたり、沖に目をやれば琵琶湖で古くからおこなわれてきた独特の漁法である「エリ漁」の杭が見られるなど、湖畔の景観にアクセントを添えています。
写真:木村 岳人
地図を見るこの辺りの地域は湧水も豊富で、海津集落の北側には内湖と呼ばれる湿地帯や、その水を利用したビオトープが広がっています。
また海津集落内にも「イケ」と呼ばれる湧水を利用した共同井戸があり、洗い場として用いられていました。海津集落にある三つの「イケ」にはそれぞれ神様が祀られており、いかに海津集落の人々が「イケ」を大切にしてきたのかが分かります。
湧水が豊富なだけあって、集落の中心部には風格あるたたずまいの酒蔵「吉田酒造」が存在します。地元の人々に愛されている日本酒「竹生嶋」で一杯やるのも良いですね。
このように、海津では古くより水と共に生きてきた、水郷としての伝統的な水辺景観を目にすることができます。
この海津集落を含む、海津大崎から知内川までの湖畔沿い一帯は、2007年に「高島市海津・西浜・知内の水辺景観」として国の重要文化的景観にも選定されました。
海津大崎の桜シーズンは、開花日が4月5日〜10日前後、満開日は4月10日〜15日前後とのこと。美しい海津大崎の桜並木と併せ、海津に残る昔ながらの水辺景観を楽しんでみるのはいかがでしょうか。
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(2024/3/28更新)
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