教会?コンサート会場?ナッシュビル「ライマン公会堂」は始まりの地

教会?コンサート会場?ナッシュビル「ライマン公会堂」は始まりの地

更新日:2018/04/11 13:12

浅井 みら野のプロフィール写真 浅井 みら野 総合旅行業務取扱管理者、全国通訳案内士(英語)、世界遺産検定2級、JSBA スノーボード バッジテスト 1級
ステージを中心に半円状に敷きつめられたウッド調の長椅子に、赤、緑、黄色に照らされたステンドグラス。ナッシュビルにある「ライマン公会堂(Ryman Auditorium)」は教会から始まり、カントリー・ミュージックの生誕地、オペラやバレエのステージ、それに政治討論の場などの会場となった場所。数々の音楽、文化、芸術、政治の渦がここで生まれ、ナッシュビルの街や人たちに広がったという豊かな歴史があります。

ライマン公会堂って?

ライマン公会堂って?

写真:浅井 みら野

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あたたかなレンガ色が特徴のライマン公会堂。ナッシュビルの中心地にあり、周囲は高層ビルに囲まれながらも、どしっとした重厚感を放っています。建物正面には名前の由来にもなっている、公会堂建設の立役者トーマス・ライマン(Thomas Ryman)氏が静かに訪れる人たちを迎えます。

ライマン公会堂が今の場所に建設されたのは1880年代。テントで聞いた宣教師サム・ジョーンズ(Sam Jones)氏の演説にライマン氏が感銘を受け、もっと多くの人が聞ける場所を作ろうと決意したのが始まり。当初から礼拝堂やゴスペルのコンサート会場として、4000人近くの人たちが集まったと聞きます。

ライマン公会堂って?

写真:浅井 みら野

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ライマン公会堂の内部はコンサート会場含め見学可能。自分たちのペースで巡るセルフガイドスタイルか、楽屋など舞台裏を巡るガイド付きバックステージツアーの2種類。バックステージツアーは水曜日から金曜日まで実施され、所要時間は約40分ほど。その後、セルフガイドと同じ順路をまわります。

セルフガイドの場合、まずは2階に行き、ライマン公会堂の成り立ちや経歴が詰まったムービーを鑑賞。言語は英語ですがイラストなどで分かりやすく解説され、見終わった頃には、この場所がいかにナッシュビルの街に多くの影響を与えてきたのかが分かります。

2階で見渡す全体像

2階で見渡す全体像

写真:浅井 みら野

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映像の後はステージへ向かいますが、入口に飾られた壁一面のポスターにもご注目です。鮮やかな色が散りばめられ、まるで印象派のコレクションのよう。凸版印刷会社のハッチ・ショー・プリント(Hatch Show Print)は、ライマン公会堂のイベントポスターを担当。隣接していた立地環境が功を奏し、それぞれが音楽、印刷業界で全米屈指の存在になっていきます。

現在、ハッチ・ショー・プリントは、カントリー・ミュージック殿堂博物館(Country Music Hall of Fame and Museum)内に移動し、工房の様子を見学できたり、ポスターや文房具を購入できたりします。

2階で見渡す全体像

写真:浅井 みら野

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いよいよステージ会場へ。実はライマン公会堂は今も現役のコンサート会場として使われています。場合によっては夜のショーに向けて、舞台セッティングの様子を見学できることも。よく見ると観客席が長椅子ですが、これはもともと礼拝堂だった名残りからなんですよ。

2階で見渡す全体像

写真:浅井 みら野

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観客席の後ろには、当時の雰囲気が伝わる写真や資料が並ぶコーナーがあります。

2階から1階への通路を飾る年表

2階から1階への通路を飾る年表

写真:浅井 みら野

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2階から1階へ向かう場所も、見どころは十分。今まで開催された行事がジャンルごとに展示されていますが、その多さは壁に収まりきれないほど。音楽、教育、オペラ、舞台、政治にダンス…。コンサート会場以上の役割を担っていた歴史が感じられます。

1階で感じる距離の近さ

1階で感じる距離の近さ

写真:浅井 みら野

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1階に降りたつと感じる、観客とステージの近さ。2階席さえもステージに覆い被さりそうな勢いです。中央には、ライマン公会堂が竣工した1892年のプレートが飾られています。

1階で感じる距離の近さ

写真:浅井 みら野

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ライマン公会堂の名前が全米に流れるきっかけを作ったのが、ラジオ番組のグランド・オール・オープリー(Grand Ole Opry)。1925年から毎週カントリー・ミュージックのライブを流し、現在も継続中です。

1943年より約30年間、ライマン公会堂がその会場となります。ビル・モンロー(Bill Monroe)はじめ、数々のミュージシャンが登場し、“カントリー・ミュージックのマザーチャーチ”や、NYに対抗して”南部のカーネギーホール“などの名称を獲得していきます。当時使われていた衣装などが1階奥に展示され、当時の華やかさを今も語り継いでいます。

1階で感じる距離の近さ

写真:浅井 みら野

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礼拝堂の名残りが感じられる部分がもう1か所。赤や青、黄色に彩られたステンドグラスからは穏やかな光が入り、会場全体を神聖な空気が包みます。

お土産屋さんも充実

お土産屋さんも充実

写真:浅井 みら野

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出口付近にはお土産屋さんがあり、TシャツやCDなど幅広いグッズがあります。

お土産屋さんも充実

写真:浅井 みら野

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ライマン公会堂のマグカップには、トレードマークのステンドグラスも。可愛らしいデザインでたっぷり入るサイズなのも魅力です。

人びとが心の平安を求めたとき、芸術が根付き始めたとき、新しい音楽が誕生したとき、ナッシュビルにとって始まりの場所はライマン公会堂でした。ぜひ訪れた際は、コンサート会場という括り以上の存在感を感じてみてはいかがでしょうか。

ライマン公会堂の基本情報

住所:116 5th Ave N, Nashville, TN 37219
電話番号:+1-615-889-3060
営業時間:9:00〜16:30(チケット販売は16:00まで)
定休日:なし
アクセス:ブロードウェイより徒歩1分

2018年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

取材協力:ミシシッピ・リバー・カントリーUSA、テネシー州観光局

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/12/06 訪問

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