沖縄の水の歴史を今に伝える湧水「ウティンダ」と「ウッカガー」

沖縄の水の歴史を今に伝える湧水「ウティンダ」と「ウッカガー」

更新日:2018/07/22 20:53

飛騨屋 勘左衛門のプロフィール写真 飛騨屋 勘左衛門 時空写真家(特に国内外における定点写真、近現代の遺構、鉄道、動植物等)
隆起サンゴ礁からなる沖縄本島は元々水利に乏しく、湧水は数少ない水資源として古くから利用されていました。水道が完備した現在も、県民の生命の源泉ともいうべき湧水施設が本島各地に残っています。県内一の湧水量を誇る国頭郡金武町の「金武大川(ウッカガー)」と、那覇市民の水瓶として利用された「ウティンダ」はその代表例であり、水の歴史を今に伝える証として大変貴重な存在といえましょう。

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近代的施設の片隅で「ウティンダ」は今も滾々と水を湧出し続ける

近代的施設の片隅で「ウティンダ」は今も滾々と水を湧出し続ける

写真:飛騨屋 勘左衛門

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ウティンダ(オテンダ、落平)の所在地である旧小禄(おろく)村は、現在那覇市に統合され、湧水を那覇市内へ運搬する水取舟が浮かんでいたという那覇湾は、戦後埋立られ、奥武山公園の敷地の一部となりました。水道が完備し、もはやその使命を終えたウティンダですが、沖縄セルラースタジアム那覇のすぐ近くで、今も滾々と水が湧出る様子をみることができます。

写真のようにコンクリートで囲われた設備があり、そこには「ウティンダ −一九七六年六月二七日−」の文字が記されています。湧水に手を浸してみましょう。夏は冷たく、冬は暖かい、その感覚とともに連綿と続く沖縄の水の歴史を感じることができるかもしれません。

近代的施設の片隅で「ウティンダ」は今も滾々と水を湧出し続ける

写真:飛騨屋 勘左衛門

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ウティンダには写真のような簡易的な湧水施設が数か所あります。酷暑の時期にはタオルを水に湿して、汗ばんだ顔をぬぐって、そのひんやりとした涼味を楽しみましょう。さらに両手でじゃぶじゃぶと思い切り洗顔するのも一興でしょう。

ウティンダは沖縄セルラースタディアム那覇のすぐ向かい側

ウティンダは沖縄セルラースタディアム那覇のすぐ向かい側

写真:飛騨屋 勘左衛門

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豊見城山下交番付近から俯瞰した奥武山公園と沖縄セルラーパーク那覇。照明塔は沖縄セルラースタディアム那覇。

写真に写る敷地はかつて那覇湾の入江であったところで、公園敷地とその周辺の道路、駐車場は戦後の埋立てによるものです。スタディアムの向こう側には那覇湾当時の中島があり、護国神社や琉球八社沖宮が建っています。また「ゆいレール」も通り、さらにその先には小さな丘(通称「ガーナームイ」)があります。この丘はかつては那覇湾に浮かぶ小島でした。

道路右に見えている森は旧那覇湾に沿う海食崖で、このあたりが貴重な湧水地である「ウティンダ」に相当します。那覇市民の利用する飲料水を運ぶための多くの「水取舟」はちょうど写真右の道路の位置に並んでいたといいます。

<基本情報>
住所:沖縄県那覇市奥武山町42番地1
電話番号:098-857-0889
アクセス:
・公園前バス停下車
(9番小禄石嶺線、23番具志川線、25番普天間空港線、33・46番糸満西原線、55番牧港線、56番浦添線、88番宜野湾線、89番糸満線、99番天久新都心線、113番具志川空港線、120番名護西空港線、123番石川空港線)
・ゆいレール奥武山公園駅下車、徒歩5分

那覇から90分!沖縄随一の水量を誇る湧水施設「金武大川(ウッカガー)」

那覇から90分!沖縄随一の水量を誇る湧水施設「金武大川(ウッカガー)」

写真:飛騨屋 勘左衛門

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沖縄本島は隆起サンゴ礁が地形的基盤であるため、水利がよくありません。那覇の「ウティンダ」も同様ですが、本島内には古くから村落ごとに共同井戸が設けられており、水道が普及した現在も各地に多くの施設を観ることができます。

国頭(くにがみ)郡金武(きん)町の「金武大川(ウッカガー)」もその一つで、湧水量の多さでは戦前から「県内随一」とされる著名な井戸でした。那覇から約90分の日帰りスポットとして訪れることができます。

昭和8(1933)年に出版された「沖縄県風景人物写真帖(仲宗根源和編)」によれば、川のことを琉球語では「カーラ(カハラ)」、同様に井戸を「カー(カハ)」と称するので、本来共同井戸である「金武大川」は「金武大井」と記すのが妥当である、とされています。その成否はともかく、この井戸が戦前から名所としてその名を知られていた何よりの証拠でしょう。

この井戸は昭和天皇(当時は皇太子)御成婚を記念して、大正13(1924)年にコンクリート製の共同施設として整備されたもので、現存する施設は平成2(1990)年に改修されたものです。

金武町役場前バス停から住宅街を南下すればほどなく到着する位置(徒歩15分程度)にありますが、観光地にあるような明確な案内板などはなく、迷いやすい場所です。迷ったらためらうことなく道行く地元の人に尋ねましょう。すぐに教えてもらえます。

金武大川は写真のような鬱蒼とした亜熱帯独特の樹木に覆われた、「砂漠のオアシス」のような外観が特徴です。

那覇から90分!沖縄随一の水量を誇る湧水施設「金武大川(ウッカガー)」

写真:飛騨屋 勘左衛門

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金武大川は平成4(1992)年に記念物として町指定文化財の登録を受けています。その経緯については案内板と石碑によって知ることができます。

水道が普及する以前は、洗濯・炊事・水浴等すべてこの井戸が利用され、所謂「聖所」として大切にされていました。また若い男女の社交場でもあったといいます。

ウッカガーは今も豊富な水量を誇る「長命の泉」

ウッカガーは今も豊富な水量を誇る「長命の泉」

写真:飛騨屋 勘左衛門

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「聖所」であったウッカガーも、水道が普及した今はその用途を終え、かつてのような賑わいはなくなりましたが、写真のように現在も「長命の泉」として大切に保存されています。また、水量の多さから、今も昔もその余水は付近の田畑の灌漑用として利用されていることも忘れてはならないでしょう。

<基本情報>
住所:沖縄県国頭郡金武町金武640番地
アクセス:
・高速バス[111]那覇バスターミナルから名護バスターミナル行で福山バス停まで乗車。沖縄バス[22]名護・うるま線中部病院行に乗換えて、金武町役場前で下車(所要約90分)。
・沖縄バス[77]那覇バスターミナルから名護東線名護バスターミナル行で金武町役場前下車(所要約120分)。

※いずれも金武町役場前バス停で帰路のバスの時刻をメモ(または写メ)しておきましょう。

「沖縄の水の歴史」を現在に伝える隠れた観光スポット

沖縄はどちらかといえば多雨な気候ですが、隆起サンゴ礁を基盤とする地形のため、少し雨が降らないと水に不自由を来す。樹木の幹から滴り落ちる雨水を溜め置く「天水瓶」は昔からよく知られた貯水法でした。今回ご紹介した湧水も貴重な水源として大切に利用されてきました。

沖縄といえば、透明なサンゴ礁にマンタやジュゴンといった海のイメージが真っ先に浮かびます。が、沖縄に暮らす人々にとって「いかにして真水を手に入れるか」は、誠に生活の基盤を保つ上で重要な問題でした。

那覇のウッカガーと金武のウッカガーはこの「沖縄の水の歴史」を現在(いま)に伝える貴重な史跡として「隠れた観光スポット」といえましょう。

特に那覇市内にあるウティンダは、市内の散歩コースとして気軽に訪れることができますので、初めて沖縄を訪問される方にもぜひお勧めしたい場所です。ただし夜間は那覇市内といえどもハブが出没する可能性はゼロとは言えませんので、くれぐれもご注意ください。
 
2018年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/03/15−2014/03/16 訪問

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