シェイクスピアがロンドンに来た1580年代、最初に彼の作品が上演されたのが現在のグローブ座から2.6キロ離れた劇場でした。その後、事情により1599年にバンクサイドに新しく劇場を建設。これが初代のグローブ座です。その後14年間、彼の名作の多くはここで上演され、ロンドンでもっとも成功を収めた劇場のひとつとなりました。
1613年、「ヘンリー8世」上演中に舞台装置の大砲から劇場の茅葺屋根に火がつき、劇場は全焼。二番目のグローブ座も同じ場所に建設され、1642年のイギリス清教徒革命の影響によりすべての劇場が閉鎖されるまでシェイクスピア劇団の本拠地でした。それから2年後、使われなくなった劇場はついに取り壊され、その姿を消してしまったのです。
現在の復元されたグローブ座は、当時の劇場から約200m離れた場所にあります。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見るグローブ座の再建は、アメリカ人俳優で監督のサム・ワナメーカーにより始められました。きっかけは、1949年に彼がロンドンを訪れた際、グローブ座跡地に壁のサインしかないのを見てがっかりしたこと。その後、23年間に渡り再建に向け資金集めをした彼ですが劇場の完成を待つことなく亡くなりました。そして、1997年晴れてグローブ座が再建されたのです。
再建から20年以上経った今でも、この劇場の人気は絶大で世界中から毎日シェイクスピアを愛する人たちが訪れます。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見るここでは、シェイクスピアや劇場について知ることができる「展示の見学」、そして、当時のグローブ座を再建した野外劇場を見学できる「ガイドツアー」に参加することができます。筆者がおすすめするのは、展示見学→ガイドツアーの順です。
展示コーナーは受付がある建物内1F。当時のグローブ座の構造、劇で使用された衣装や楽器、シェイクスピアの生涯などについて知ることができます。見学は自由に自分のペースで周ることができ、30〜45分ほどあれば十分です。
展示内容をより深く理解するため、受付で無料の音声ガイドを借りましょう。日本語もあるので英語が苦手な方にはマストです!
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る展示物のなかには、有名な「マクベス夫人」で使われた白い衣装も。オペラファンにはたまらない貴重な展示が続々と続きます。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見るガイドツアーに参加する前に見ておくとよいのが、再建されたグローブ座の模型。この構造が頭に入っていると後の説明がよく理解できます。忘れずに注目したいポイントです。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る劇場は、かつてシェイクスピアが活動していた時代のものを忠実に再現。外観は円筒形が印象的な白くて可愛い建物。金属製のねじや釘は一切使われずに、手作りのレンガやオーク材で作られています。
なんといっても目を引くのは茅葺屋根ですね。このグローブ座は1666年のロンドン大火以来、ロンドンで初めてかつ唯一認可された茅葺屋根の建物です。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見るグローブ座の中へ一歩足を踏み入れると、そこは別世界!1階は土間の立ち見席、2〜3階が桟敷席になっています。
ガイドツアーは毎日30分毎に英語で行われます。所要時間は30〜45分、20名程度の団体で実施(事前にWEB申込み可)。実際の客席に座ってガイドの説明を聞くという贅沢な経験ができるツアー。シェイクスピアファンにはたまらないオモテナシですね。
「英語だと何も分からないわ」という方、ご安心ください。ここでも各言語で書かれた説明資料が無料でもらえます。日本語もあるので英語に自信がない方は必ず手に取ってください。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る入場料が一番安いステージ前の立見席は、当時1000人ほどの観客を収容。夏の蒸し暑い日には「ペニー・スティンカー(安い臭い奴)」というニックネームが付けられ、「不衛生な民衆が集まる劇場は疫病が発生する場所だ、劇場こそが疫病の根源である」とさえ批判されました。
劇場の中央は、採光を意識した造りのため屋根がありません。この空を眺めることができる構造により、当時は昼間の公演も盛んに行われていました。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見るまずはステージの天井。舞台の上に張り出す屋根には十二星座が描かれ、それに支えられる屋根裏の空間で俳優たちが神様や天使を演じていました。演目によってはここから舞台に降りてくることも。当時からこんなダイナミックな演出があったことに驚きます。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見るつづいては、オーケストラが位置するバルコニー(写真中央)。劇中曲の生演奏はいつもここから。ただし、このバルコニーは城の壁や「ジュリエットとロミオ」の演目ではジュリエットの家のバルコニーになったりと重要な演出道具としても使われました。
さらに、ステージ2階の両端にある空間は「君主の部屋」と呼ばれ、当時のグローブ座でもっとも華やかな客席。舞台の劇を観るよりも自分たちが見られることを重要視していた君主や貴婦人専用の席でした。
純粋に観劇を楽しむ一般人。そして、見られることを楽しんだ上流階級。すべての人の心をつかむために設計された、このグローブ座。さすが!一世風靡したシェイクスピアですね。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る最後は「紳士の部屋」。通常の入場料は1ペンス、ただし、この部屋は6ペンス。より裕福な観客は優雅な装飾とクッションがある快適な客席で劇を観ることができました。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見るこのグローブ座では毎年春から秋にかけては野外で、冬は屋内で劇が楽しめます。演目はシェイクスピアの作品と近代作家による新しい劇。上演スケジュールと演目はページ下の関連MEMO「2019-20年(冬)上演スケジュール」で確認を!チケットは気軽にインターネットで事前購入できます。
野外劇は幻想的な空間演出と実力溢れる俳優陣が揃い、特別なひとときを味わうために毎年25万人の観客が訪れます。入場料は1階立ち見席5ポンドから。立ち見席だけで700人、劇場全体では最大1600人を収容できます。雨が降った場合でも劇は続けられるので、立ち見で観劇する場合はレインコートを用意すると安心です。ロンドン滞在の思い出にシェイクスピアの世界を体感してみてください。
写真:ケイコ ソリーノ
地図を見る住所:21 New Globe Walk, Bankside, London SE1 9DT
電話:+44-020-7902-1400
営業時間:9:00−17:00
ガイドツアーの時間:9:30−17:00(30分毎に実施)
アクセス:最寄り駅のMansion HouseまたはLondon Bridgeから、それぞれ徒歩10〜15分
2020年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/12/12更新)
- 広告 -