まるでSFの世界?!昭和が生んだ東京の近未来名建築4選

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まるでSFの世界?!昭和が生んだ東京の近未来名建築4選

まるでSFの世界?!昭和が生んだ東京の近未来名建築4選

更新日:2018/05/10 15:19

佳後 マリ子のプロフィール写真 佳後 マリ子 レトロ旅ライター、パワスポ・ナビゲーター

歴史的建造物の鑑賞というと、江戸時代以前の城郭や寺社、町屋建築、あるいは明治から昭和初期にかけてのクラシックモダンな建物を想像される方が多いでしょう。それに比べると歴史の浅さゆえか一定以上の評価を得ていないものが殆どなのですが、昭和の高度成長期を中心に建造された建物は、他のどの時代とも異なる独特のデザイン性と世界観に溢れています。
都内に現存する、特に外観が奇抜なこの時代のビルをご紹介しましょう!

静岡新聞・静岡放送東京支社ビル

静岡新聞・静岡放送東京支社ビル

写真:佳後 マリ子

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山手線の車内からも見える、新橋駅近くの茶色の奇抜なフォルムの建物、それが最初にご紹介する静岡新聞・静岡放送東京支社ビルです。

ビルが完成したのは、1967(昭和42)年。東京都庁舎や代々木第一体育館、広島の平和記念資料館など数々の名建築を世に送り出した世界的な建築家、丹下健三氏が設計したビルで、「メタボリズム」の思想に基づいたデザインであることが大きな特徴です。

静岡新聞・静岡放送東京支社ビル

写真:佳後 マリ子

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ここで言うメタボリズムというのは俗に言う生活習慣病のことではなく、社会や人口の成長や変化に合わせ、有機的で可変性のある空間や機能を提供することを目指した都市構想のこと。1950年代末〜70年代初頭の高度経済成長期に、建築家らによって盛んに提唱された考え方です。

急速な経済・社会の発展を契機に生まれた、ある種合理的な建築思想であったはずなのですが、現在では逆にそのデザインの過剰性・非合理性が珍重されているのが非常に面白い点でもあるのです。

静岡新聞・静岡放送東京支社ビル

写真:佳後 マリ子

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こちらのビルでは、中央の円筒形の部分にエレベーターなどのコアな機能が集約されており、横に伸びた枝葉のような部分にオフィスが入居しています。
おそらくこの箱形のオフィス部分が増減可能な可変領域だったかと思われますが、今のビルにはない斬新なデザインが光りますね!

<基本情報>
住所:東京都中央区銀座8-3-7
アクセス : 新橋駅(JR銀座口)より徒歩3分

中銀カプセルタワービル

中銀カプセルタワービル

写真:佳後 マリ子

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静岡新聞・静岡放送東京支社ビルから歩いて10分弱、同じ銀座8丁目にあるもうひとつの有名な「近未来物件」が、中銀(なかぎん)カプセルタワービルです。

中銀カプセルタワービル

写真:佳後 マリ子

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中銀カプセルタワービルは1972(昭和47)年竣工の、日本を代表する有名建築家、黒川紀章氏が手掛けた集合住宅。

こちらも当時のメタボリズムの設計思想をベースに造られた建築物で、ミニマルな直方体の住居カプセルを必要に応じて取り外し・交換できる仕組みにすることで時代や環境の変化に対応できるサスティナブル(持続可能)な構造であるとされていました。が、今まで一度もカプセルの交換などは行われていません。

老朽化・安全面などの問題から一時建て替えが検討されていましたが、その芸術的価値から保存・存続を求める声も多く、カプセル内の部屋の様子が掲載された写真集が出版されるなど数多くの建築・アートファンが入居を熱望する人気の物件となっているのです。

中銀カプセルタワービル

写真:佳後 マリ子

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首都高を挟んで隣接する「カレッタ汐留」の遊歩道は、絶好の鑑賞・撮影スポット。昼間も素敵ですが、特に夜の中銀カプセルタワービルはSF映画を彷彿とさせるサイバーパンクなムードが醸し出されており、ビル萌え必至です!

<基本情報>
住所:東京都中央区銀座8-16-10
アクセス : 汐留駅より徒歩8分。新橋駅(JR銀座口)より徒歩10分

新橋駅前ビル

新橋駅前ビル

写真:佳後 マリ子

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ロータリーを挟んで、JR新橋駅汐留口の目の前にあるビル、新橋駅前ビル1号館もこの界隈で知られた物件のひとつです。

駅前すぐのロケーションであることでかえって見過ごされてしまいがちですが、よく見ると一般的なビルの形状とは異なる非常に複雑な形をしていることがわかります。これでひとつの建物なのですが、2、3棟のビルが折り重なっているような形にも見えますよね。
この1号館のすぐ近くには、2号館があります。

新橋駅前ビル

写真:佳後 マリ子

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新橋駅前ビルが完成したのは1966(昭和41)年。1964(昭和39)年の東京五輪後に行われた市街地改造事業の一環で建設されたビルで、地上が事務所フロア、地下に飲食店が入居するというスタイルは開業当初からのものです。

サラリーマンの聖地とされて久しい新橋界隈ですが、昭和から変わらぬレトロな風情をそのまま残す地下の飲食店街は、新橋のシンボル的な存在ともなっています。

新橋駅前ビル

写真:佳後 マリ子

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そんな地下の庶民的な趣とはある種対照的なのが、外観デザイン。1、2号館共に外壁の窓部分にはプロフィリットガラスという縦に溝の入った特殊なガラスが用いられており、美しく繊細な質感が特徴的です。

1号館の独創的な形状も含め、デザインにおけるあくなき個性と先端性の追求が公的な再開発事業でも行われていたという点がまさに当時ならではといったところでしょうか。内部のレトロさとのコントラストが、昭和らしいカオスな魅力を感じさせてくれます。

<基本情報>
住所:東京都港区新橋2-20-15(1号館)
アクセス:JR・東京メトロ新橋駅より徒歩2分

GUNKAN東新宿ビル

GUNKAN東新宿ビル

写真:佳後 マリ子

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東新宿駅から地上に出ると、職安通りを挟んで北西方向に見えるペパーミントグリーンの建物がGUNKAN東新宿ビル。

カラーだけではなく、離れた場所から見てもひと目でそれとわかるビルの独特のフォルムは、周囲の建物と比較してもやはり異彩を放っていると言わざるを得ません。

GUNKAN東新宿ビル

写真:佳後 マリ子

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GUNKAN東新宿ビルは旧名称を「第3スカイビル」「ニュースカイビル」と言い、陸軍船舶兵出身の異端の建築家、渡邊洋治氏が設計、1970(昭和45)年に竣工した集合住宅用建造物。その形状から「軍艦マンション」と俗に呼ばれていました。

老朽化で一時は取り壊しが検討されたものの、解体を惜しむ声を受け2011(平成23)年に内部をリノベーション、現在ではオフィスやSOHO、シェアハウスとして利用されています。元は外壁の色も軍艦のイメージに近いシルバーでしたが、リノベーションの際に今の色に塗り直されました。

GUNKAN東新宿ビル

写真:佳後 マリ子

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各部屋(ユニット)が少しずつ角度を変えながらコンテナのように外に張り出しているのは採光を考えてのもので、居住者の日照権や快適性を考慮した上での工夫が、立体的で奇抜なフォルムの一因になっているというところがとても面白いと思います。
こちらも、80年代のサイバーパンクなSF作品にいかにも出て来そうな雰囲気の建物ですよね!

<基本情報>
住所:東京都新宿区大久保1-1-10
アクセス : 都営地下鉄・東京メトロ東新宿駅より徒歩2〜3分

番外編〜江戸東京博物館

番外編〜江戸東京博物館

写真:佳後 マリ子

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これまでご紹介してきた建築物は1960年代後半〜70年代初頭のほぼ同時代のものばかりでしたが、最後は番外編として、これ以降の時代の建物をご紹介します。
墨田区の両国駅から至近の、江戸東京博物館です。

番外編〜江戸東京博物館

写真:佳後 マリ子

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江戸東京博物館の開館は1993(平成5)年、その前年の1992(平成4)年に建物が完成しました。

弥生時代の高床式倉庫をモチーフにしたデザインで、それを知った上で鑑賞すると、異様に高く見える床面やどこか和風で伝統的な建築様式をイメージさせる屋根の形状などにも合点が行くでしょう。来館者に江戸城の天守の高さを体験してもらうため、その高さに合わせて建物の高さを62mにしたという設計者の話も残っているようです。

番外編〜江戸東京博物館

写真:佳後 マリ子

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当時は景観を損ねるという批判があり、また海外でもかなり珍しい建物であるとして一部で取り上げられていたようですが、現在では中の展示と共に、そのユニークな外観を鑑賞する楽しみから訪れるマニアの方もおられます。

1992年と言えばバブル期で、高度成長期とは美的感覚や建築デザインの目指す方向性が変化していたとは言え、まだまだ現在よりもデザイン性に重きが置かれていた時代。類稀なインパクトと個性を放つ物件が生まれた最後の時代の建築遺産でもあるのです。

<基本情報>
住所:東京都墨田区横網1-4-1
アクセス:都営地下鉄両国駅A3・A4出口より徒歩1分。JR両国駅西口より徒歩3分

希少な近未来建築は、ぜひ今のうちに鑑賞を!

東京に残る高度成長期を中心にした個性的なビルの数々、いかがでしたか?

この時代に建てられたアバンギャルドなデザインの建造物は今の建築基準に反しているものが多く、さらには建築費用や資材調達などの面からも、解体されたらもう二度と再現できない貴重な建物でもあります。

竣工から半世紀になる建造物は、老朽化の問題から解体や建て替えの岐路に総じて直面していて、ご紹介したビルのうち、新橋駅前ビルに関しては2022年に解体される予定になっています。現段階では取り壊す予定がない建物に関しても、耐用年数などの問題からいつそういう話が出てもおかしくない実情があります。

外国人の間では日本の都市部で見られるレトロフューチャー、サイバーパンクな意匠の建造物や夜景が今人気なのですが、ぜひ私達も、この時代でしか誕生し得なかったインスピレーション溢れる近未来風建築を堪能しておきましょう!今回ご紹介したビルは新橋駅周辺に3棟が集中しているので、お散歩がてらのビル鑑賞にも最適ですよ!

2018年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/03/17−2018/03/18 訪問

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