美しき磁器の世界へ、長崎県三川内「三川内焼」の魅力に迫る旅

| 長崎県

| 旅の専門家がお届けする観光情報

美しき磁器の世界へ、長崎県三川内「三川内焼」の魅力に迫る旅

美しき磁器の世界へ、長崎県三川内「三川内焼」の魅力に迫る旅

更新日:2018/05/01 09:18

塚本 隆司のプロフィール写真 塚本 隆司 ぼっち旅ライター

白き器に澄んだ青、息をのむほど細やかな装飾。それを手に取るときの緊張感。長崎県佐世保市の三川内(みかわち)は、磁器の魅力を存分に感じられる場所だ。
その昔、平戸焼と呼ばれた「三川内焼」。400年の伝統と受け継がれた巧みの技は、今も見る者の心を捉えて放さない。三川内焼美術館では、展示の豆皿を手に取り、気に入れば購入も可能だ。窯元へと足を運べば、美しき磁器とそれを生みだす陶工との出会いが待っている。

御用窯として発展した「三川内焼」

三川内(みかわち)焼とは、長崎県佐世保市の南東に位置する三川内地域で焼かれた磁器。
歴史は古く400年を超え、豊臣秀吉による朝鮮出兵から始まる説と佐賀県北部に誕生した唐津焼の陶工が移り住んだという、2つの説がある。
当初は陶器を焼いていたが、陶石の発見を機に磁器生産へと変わり、やがて平戸藩松浦家の御用窯として発展した。

御用窯として発展した「三川内焼」

写真:塚本 隆司

地図を見る

御用窯というのは、商売のためではなく藩として将軍家への献上品や贈答品となる「やきもの」を制作していた窯のこと。金銭的な利益は度外視で、精巧で美しい磁器を作り続けてきた。三川内焼の特徴である透きとおるような白磁に青い呉須絵の美しさと巧みな細工は、御用窯だからこそ生まれた伝統といえる。
19世紀には、平戸焼としてヨーロッパ人を魅了した「三川内焼」。明治維新以後は、自分たちで商売をしなければならず苦難の時代もあったが、その技は今も受け継がれている。
(写真は佐世保市無形文化財の「平戸菊花飾細工技法」の細工物。平戸洸祥団右ヱ門窯にて制作風景を撮影)

御用窯として発展した「三川内焼」

写真:塚本 隆司

地図を見る

三川内焼を知るなら「三川内焼伝統産業会館(三川内焼美術館)」

三川内焼を知るなら「三川内焼伝統産業会館(三川内焼美術館)」

写真:塚本 隆司

地図を見る

三川内焼の里を訪れたなら、まず「三川内焼伝統産業会館(三川内焼美術館)」をオススメしたい。江戸時代から昭和に作られた名品と現代の陶工が生みだす作品の数々が展示されている。

やきもの、特に御用窯のような産地では、優れた名品ほど贈答品になるため、産地には残りにくいもの。ここでは、さまざまな時代の珍しい品が収められている。それらが、無料で見学ができるのはうれしい。

三川内焼を知るなら「三川内焼伝統産業会館(三川内焼美術館)」

写真:塚本 隆司

地図を見る

<三川内焼伝統産業会館(三川内焼美術館)の基本情報>
開館時間:9時〜17時
休館日:年末年始(12月29日〜1月3日)
入館料:無料
住所:長崎県佐世保市三川内本町343
電話番号:0956-30-8080
アクセス:バス 佐世保駅から西肥バス伊万里方面行きで35分 三川内支所前下車すぐ、車 西九州自動車道三川内ICより5分
すぐ近くに、佐世保市うつわ歴史館(無料)もある。

三川内焼伝統産業会館(三川内焼美術館)の見どころ

入館してまず目に入るのが、開窯400年祭の記念に制作された大皿。直径1.02メートル、重さ約50キログラム。割れたりひずんだりと難しく、制作を試みた11枚の中で唯一成功した1枚だ。三川内焼の繊細さを物語っている。

三川内焼伝統産業会館(三川内焼美術館)の見どころ

写真:塚本 隆司

地図を見る

写真の皿の絵は唐子絵と呼ばれるもの。開窯400年祭にちなんで400人の唐子が描かれている。唐子とは幸せや繁栄を表す図案で、中国唐の時代の子どもが遊ぶ姿を描いたものだ。ひとりひとりが豊かな表情をしている。
三川内焼の染付技術は「一枚の絵のような」といわれるように美しい。呉須(コバルト)の青一色だが、濃淡やぼかしの技術で多彩な表現を生み出している。
この大皿の唐子たちをよく見ると1人だけ他とは違う子がいるのがわかるだろうか。写真からでは見つけにくいが、顔を書き忘れられた子がいるのだ。訪れた際には、ぜひ探してほしい。

大皿もいいが、豆皿にも注目したい。人気の豆皿を実際に手にとることができる。薄く焼かれた三川内焼の手触り。美術館で触れるためか、ショップとは違うドキドキ感はここならでは。販売もしているので気に入れば購入できる。

三川内焼伝統産業会館(三川内焼美術館)の見どころ

写真:塚本 隆司

地図を見る
三川内焼伝統産業会館(三川内焼美術館)の見どころ

写真:塚本 隆司

地図を見る

館内では、有料だが絵付けや透かし彫りの体験ができる。透かし彫りの体験は1週間前に事前申込が必要だが、自分だけの三川内焼を手にするチャンスだ。

三川内焼の里巡りの楽しみ方

産地に訪れたなら、三川内焼の町がどのようなところかも気になるところ。
三川内焼伝統産業会館(三川内焼美術館)から車でおよそ5分のところに、三川内焼の中心地、三川内町がある。名字帯刀を許された職人が扶持米をもらいながら、制作活動にいそしんだ地だ。今も技と伝統を守る匠(たくみ)たちが、三川内焼を守っている。

三川内山公園前の観光案内所(ギャラリーさるのあしあと)には無料駐車場があるので、三川内町巡りの拠点として利用するとよい。

三川内焼の里巡りの楽しみ方

写真:塚本 隆司

地図を見る

三川内町内の見どころは、レンガ造りの煙突や登窯跡、登窯で用いた耐火レンガ(トンバイ)を再利用したトンバイ屏など、昔ながらの風情がある町並みだ。日本の原風景ともいわれるだけに、どこか懐かしさを感じずにはいられない。

三川内焼の里巡りの楽しみ方

写真:塚本 隆司

地図を見る
三川内焼の里巡りの楽しみ方

写真:塚本 隆司

地図を見る

各所に設けられた案内板も三川内焼で作られている。なかでも、この大きな「三川内山案内看板」は圧巻だ。

やきものの里の醍醐味、窯元巡り

やきものの里の醍醐味、窯元巡り

写真:塚本 隆司

地図を見る

名所・旧跡を巡るのも楽しいが、窯元や工房の見学は陶芸好きには外せない楽しみのひとつ。有料になるが三川内陶磁器工業協同組合にガイドをお願いすることをオススメしたい。
なぜなら、窯元によって特徴があるので、どんな工程が見たいのか、どんな作品に興味があるのかを伝えれば調整してくれる。佐世保市無形文化財に指定されている窯元もあり、段取りしてもらうのがいいだろう。

やきものの里の醍醐味、窯元巡り

写真:塚本 隆司

地図を見る

やきものの里の醍醐味、窯元巡り

写真:塚本 隆司

地図を見る

展示場兼ショップを構えている窯元もある。小さな美術館がいくつもあるような印象だ。ぶらり散策しながら買い物もできる。何気なく目を向けた庭先の植木鉢が磁器ということも。まちなか散策に飽きることはないだろう。

<三川内陶磁器工業協同組合の基本情報>
住所:長崎県佐世保市三川内本町343(三川内焼伝統産業会館内)
電話番号:0956-30-8311
受付時間:9時〜17時(土日祝は除く)
三川内皿山歩きガイド:所要時間1〜2時間、体験料3人まで1500円、4人以上1人500円追加
メールアドレスなど詳細情報は文末の関連MEMO「みかわち焼オフィシャルサイト」を参照ください。

見る者を魅了する「三川内焼」の世界

三川内焼の里めぐりは、その技巧の素晴らしさに感嘆する旅になる。「どうぞ」と差し出されたお茶の一杯が、三川内焼の湯飲みだった時、その薄く口当たりの良さに「なんて美しくて、繊細なのだろう」と驚く。日にかざしてみると透き通るように薄い。約束できる体験ではないが、運よくそんな場面に出会えれば、最高の体験になるだろう。
器を見て、触れ、作り手と言葉を交わす、三川内焼の里ならではの旅。あの白く美しい磁器の魅力に取りつかれてしまうかも。

2018年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
取材協力:長崎県

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/02/23 訪問

- PR -

条件を指定して検索

LINEトラベルjpで一緒に働きませんか?

- PR -

旅行ナビゲーター(在宅ライター)募集中!
この記事に関するお問い合わせ

- PR -