南イタリアの要塞都市「オストゥーニ」は白い迷宮

南イタリアの要塞都市「オストゥーニ」は白い迷宮

更新日:2018/05/12 16:23

Etsuko Ciaoのプロフィール写真 Etsuko Ciao 郷土料理お伝え旅ライター
観光大国イタリアは縦に長い国土を持っています。イタリアの背骨のようなアペニン山脈の右側に位置する南イタリアのプーリア州は、可愛らしい白い町がいくつも点在しています。中でも「オストゥーニ」は別名「白い町」の名を持ち、旧市街は小路で白亜の迷宮のよう。オストゥーニは、ハイシーズンには10万人の観光客が訪れる人気の町です。

城壁に囲まれた白い要塞

城壁に囲まれた白い要塞

写真:Etsuko Ciao

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車道からオストゥーニの全景が見えると、まるで宝物を発見したような高揚感が湧き上がります。プーリア州の大地は、北イタリアの山並みの景観と異なり、平原が続きます。どこまでも続くような大地に忽然と姿を現す丘の上の白い要塞。出合った途端に魅了され、感嘆の声がこぼれます。

城壁に囲まれた白い要塞

写真:Etsuko Ciao

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城塞の白い壁は、門番のごとく訪問者をジッと見つめているようです。

旧市街へのアクセスは、車の移動が一番おすすめです。
電車の場合は、プーリア州のバーリ駅からトレニタリア(Trenitalia)の普通電車に乗車し、オストゥーニ駅で下車。乗車時間は約1時間。関連MEMOのTRENITALIAをご覧下さい。

オストゥーニ駅から旧市街までは離れているため、車またはバスでの移動です。駅前から乗車し、運転手さんに場所を確認してリベルタ広場で下車。乗車時間約15分。バスの切符は必ず往復で買いましょう。

オストゥーニの名前はギリシャ語から

オストゥーニの名前はギリシャ語から

写真:Etsuko Ciao

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オストゥーニは旧跡時代の遺跡が発見されており、古代よりこの土地に人々の暮らしがあったことが伺えます。

町は、古代ローマとカルタゴ(現在のチュニジア、チュニス湖付近)との第2ポエニ戦争(紀元前218年ー紀元前202年)で、カルタゴ軍はイタリア半島に侵攻してきました。当時の将軍ハンニバルに破壊された後に、町は再建されました。

オストゥーニ(Ostuni)の名前は、ギリシャ語のアストゥーネオン(Astu-neon)に由来し、ギリシャ語での意味は「新しい町」です。町を再建した意味をこめて名付けられたのかもしれませんね。

オストゥーニの名前はギリシャ語から

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城壁をくぐり抜けると、そこはもう迷宮への入口。道なりに歩くと小路がいくつも見えてきます。どの道を選ぶ?どこへ続いているの?訪れた人の興味をそそる白い世界です。どこにいるのかわからなくなりそうですが、大丈夫。あちこち小路を見ながらも、道なりに歩いていくと広場へと導かれていきます。迷宮散策を楽しんで!

オストゥーニの名前はギリシャ語から

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旧市街は石灰乳(Latte di Calce)の石灰で、毎年白く塗り替えています。これが白い町の美しさを保つ所以かもしれません。プーリア州の土地は石灰の地層でできており、昔から石灰を砕いてセメントのようにし壁に塗っていました。石灰分には消毒・殺菌作用がある他、夏の暑さの日差し対策として塗られ今日に至っています。

塗り替え時期としては毎年6月頃。8月は古い神殿の祭り(Sagra dei Vecchi Tempi)と、サントロンツォ(Cavalcata di S.Oronzo)のお祭りがあります。夏のバカンスシーズンには、真っ白でより美しい壁が見られることでしょう。

異国情緒たっぷりのバカンス気分を味わおう

異国情緒たっぷりのバカンス気分を味わおう

写真:Etsuko Ciao

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下から緩やかに坂を曲がりながら登っていくと、白い町の中に薄茶色の建物が見えてきます。カテドラル(Cattedrale)でオストゥーニ大聖堂(Duomo di Ostuni)とも呼ばれています。見どころはバラ窓と呼ばれる15世紀に作られた丸い装飾部分で、レースのように施されています。

<カテドラルの基本情報>
住所:Largo Trinchera Francesco, 72017, Ostuni

異国情緒たっぷりのバカンス気分を味わおう

写真:Etsuko Ciao

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町を散策していると、所々でザクロを見かけます。プーリアではザクロは幸運を呼ぶと言われています。繁栄のシンボルともされているラッキーな食材なのです。

異国情緒たっぷりのバカンス気分を味わおう

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不思議ですが、町を巡り歩いていると、まるですぐ近くに海があるように感じます。実際は、海岸まではかなり離れているのですが、地中海の海辺をイメージさせる白い壁マジックかもしれませんね。

町の中心、リベルタ広場からアドリア海を一望

町の中心、リベルタ広場からアドリア海を一望

写真:Etsuko Ciao

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迷宮を緩やかに上った先には、町の中心リベルタ広場に到着します。カフェやレストラン、お土産屋さんがあります。バスで来た人はここで下車しましょう。

広場からは、プーリア州の平原とアドリア海が一望できます。空と海の青と、白い町並みのコンビネーションに心を奪われる瞬間です。リベルタ広場には、1771年に作られた守護聖人のサントロンツォの像が町を見守っています。

サントロンツォは、同じプーリア州の町レッチェと同じ守護聖人。17世紀にペストが流行した際に町を救ったとされ、感謝の意で広場に像が建てられました。

町の中心、リベルタ広場からアドリア海を一望

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リベルタ広場での見どころは、サン・フランチェスコ教会(Chiesa di San Francesco)です。華やかな装飾が施された内部とステンドグラスはため息がでそうになります。結婚式も行われているので、散策中にウエディングドレスの花嫁を見かけるかもしれません。

<サン・フランチェスコ教会の基本情報>
住所:Piazza della Liberta, 72017, Ostuni

町の中心、リベルタ広場からアドリア海を一望

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プーリア料理に舌鼓み、名物パスタ「オレキエッテ」は欠かせない

プーリア料理に舌鼓み、名物パスタ「オレキエッテ」は欠かせない

写真:Etsuko Ciao

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プーリア州を訪れたら、名物料理をいただきましょう。リベルタ広場からも近いレストラン「Ristorante La Reggia」をご紹介します。洞穴のような入口の地下1階にあります。テーブル席が手前と奥の部屋にあり、隠れ家的な雰囲気です。

プーリアの名物手打ちパスタは、オレキエッテ(orechiette)。小さな耳という意味で、耳たぶのようでモチモチした食感が特徴です。

合わせるソースのおすすめは、定番のチーマ・ディ・ラーパ(菜の花に良く似ている)と、ブロッコリーをくたくたに柔らかく煮てつぶしたもの。ほんのりした苦みが美味しさを引き立てています。

プーリア料理に舌鼓み、名物パスタ「オレキエッテ」は欠かせない

写真:Etsuko Ciao

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オレキエッテをトマトとバジリコのソースでいただく、こちらも定番の一品です。チーマ・ディ・ラーパソースとの違いを味わって。

プーリア料理に舌鼓み、名物パスタ「オレキエッテ」は欠かせない

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タコの煮込みもプーリアの名物の一つ。メニュー名はイタリア語でPolpo alla luciana(ポルポ・アッラ・ルチア―ナ)。タコをトマト、玉ねぎ、イタリアンパセリで煮込んだ料理で、とても柔らかくて、ホッとする優しいお味です。ワインと併せてゆっくり味わいながら、召し上がってくださいね。

<Ristorante La Reggiaの基本情報>
住所:Via Pompeo Patrelli 3-5,72017 Ostuni
電話番号:+39-0831-198-1867
営業時間:11:00−16:00、19:00-23:00

オストゥーニの散策について

真っ白なオストゥーニの旧市街の小路を歩いていると、方向感覚がわからなくなりそうですがご心配なく。途中お土産屋さんへ寄ったり、道なりに歩いていくといつの間にか町の中心へたどり着きます。カテドラルから緩やかな坂道をS字を描くように歩いていくと、リベルタ広場へ導かれます。

4月、9月など気候的には暖かい時期でも、20℃前後に寒くなる日もありますので、観光で訪れる際は念のため、長袖の上着やストールをご持参されるといいでしょう。せっかくのバカンスですから体調管理にお気をつけて楽しまれてくださいね!

2018年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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