写真:乾口 達司
地図を見る橿原(かしはら)市昆虫館のオープンは1989年。2010年には全館がリニューアルされました。リニューアルによって新たに打ち出されたコンセプトは「見て、聴いて、触って、感じる昆虫館」。その文句のように、展示物を一方的に「見る」だけの従来の博物館形式から大きく進化している点に、橿原市昆虫館ならではの特徴と魅力があります。
なかでも、その代表が写真の「放蝶温室」です。室内は、一年中、南西諸島の気候にもとづいて設定・調整されており、ご覧のように、亜熱帯の植物が生い茂っています。もちろん、見学者が室内を巡回することができるようにコンクリートでかためられた歩道も設けられていますが、その道幅は必要最小限にとどめられており、実際に歩くと、さながら、ジャングルのなかをさまよっているかのような錯覚をおぼえます。この設定からも、橿原市昆虫館が「見ること」に特化しただけの施設ではないことが、おわかりになるでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見る「放蝶温室」のもう一つの魅力は、室内でたくさんのチョウが放し飼いにされていること!その数、何と数百匹!写真は日本に生息する最大のチョウ・オオゴマダラです。オオゴマダラのほかにもスジグロカバマダラなど、南西諸島にしか生息していない珍しいチョウも飛んでおり、チョウ好きには、ぜひ、訪れていただきたいスポットです。
チョウの多くは気の向くまま、ひらひらと温室内を飛び続けていますが、蜜を求めて花にとまっているチョウも人に馴れているのか、見学者が近づいても特に恐がることなく、蜜を吸い続けています。蜜皿も設置されており、そこに群がる蝶たちの姿も必見!洋服にチョウ好みの甘い香りをしみこませると、その香りに誘われて、身体に群がってくることもあるようです。
写真:乾口 達司
地図を見る館内には、写真のような、大きなカマキリの模型も置かれています。これ、いったい、何だと思いますか?ヒントはカマキリの右下についているハンドル!このハンドルをまわすと、カマキリの手が自動的に動く仕組みとなっているのです。つまり、この模型は、自分自身がカマキリになることで、昆虫の世界を実感してもらうことを目的に設置されたものなのです。特に小さなお子さんたちに喜ばれること、請け合いです。
ほかにも、昆虫特有の複眼の世界を体験できるコーナーなども設けられており、ここにも体験型の施設である橿原市昆虫館ならではのコンセプトが息づいています。
写真:乾口 達司
地図を見るもちろん、昆虫をテーマにした施設なので、従来のように、珍しい昆虫の標本類も多数展示されています。写真はチョウの標本を提示したコーナー。その色鮮やかな姿に魅了される人も多いでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見る標本類には、ご覧のように、化石もふくまれています。太古の昔に存在した昆虫類も展示されていることで、橿原市昆虫館が、太古に生息した昆虫に対する造詣も深い施設であることがうかがえるでしょう。
ちなみに、画面の左手に映っているのは、カニの仲間・ガザミの化石。いまにも動き出しそうで、びっくりしますよね。
いかがでしたか?魅力に富んだ橿原市昆虫館の存在を知っていただけたでしょうか。
奈良県にある博物館というと、とかく、歴史をテーマにしたものばかりを連想してしまいがちですが、昆虫に特化した、こんな施設もあることを、今回、はじめて知った方も多いのではないでしょうか。歴史の宝庫・明日香村と隣接しているので、もちろん、明日香村散策のついでに立ち寄るのも、一計でしょう。橿原市昆虫館で新たな奈良県の魅力を発見してみてください。
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この記事を書いたナビゲーター
乾口 達司
これまでは日本文学や歴史学の世界で培った見識にもとづいて数多くの評論や書評を執筆してまいりました。奈良生まれ、奈良育ちの生粋の奈良っ子。奈良といえば日本を代表する観光地の一つですが、地元民の立場からい…
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