教科書で習ったことがある方も多いでしょうが、この地は日本の貨幣発祥の地なのです。「708年に武蔵国秩父から日本初の天然の銅塊が発見され、時の元明天皇に献上されたことから、これを祝い年号を和銅と改元した」と「続日本記」に記されているのです。
そして聖神社には、この最初に採れた天然銅12個のうち2個が、そして朝廷から賜った銅製の蜈蚣(ムカデ)一対が、ご神宝として今でも和同開珎(わどうかいちん)と一緒に神社すぐ横の宝物庫に大事に保管されています。
蜈蚣には足がたくさんあるので「おあしには困らない」と言われており、そのレプリカが聖神社から小道を10分ほど歩いた露天掘り跡近くの、高さ5mにも及ぶ和同開珎のモニュメントのそばにあります。
日本初の貨幣「和同開珎」は中国の「皆が集まって仲良く暮らす国」と言う意味の「天地和同」と言う言葉から来ており、外側の円は「天」をそして内側の四角は「地」をあらわしています。
採掘跡へ行く途中にある、大きなモニュメントの脇を透き通った水の流れる小川があります。この小川は「銅洗堀(どうせんぼり)」と言われ、その名の通り昔採れた銅をこの小川できれいに洗って都に送ったそうです。
この小川の水で持参して来たお金を洗うとご利益があると伝えられており、多くの人たちがお金を洗っている風景を見かけます。
小川に架かった小さな橋を渡ると、急な階段が続いて山の上にいくことができます。山頂から下を眺めてみて下さい。眼下に採掘跡を見ることができます。
狭い石段を上ると正面に社殿があらわれます。社殿は秩父市有形文化財に指定されており、今までに5回建て直されたことが記録にも残っています。新社殿に並んである小さな社が旧本殿で、「和銅出雲神社」として祀られています。
また、聖神社には「金山彦尊」という神様などが祀られています。鉱山、鍛冶から鋳物までをも司る神として知られている金山彦尊。この神様を祀った岐阜県南宮大社は包丁の守護神として有名で、全国3千の神社の総本社として、包丁製造業者から熱い信仰を得ているほどです。
また金山彦尊は、神武東征の時には金鵄(きんし)を飛ばし、戦勝をもたらす霊威を発揮したと言われています。このことから金運、商売繁盛だけにとどまらず金銀銅山、金属加工業の守護、開運招福、災難除け、厄除けなどにもそのご利益あると言われています。
「聖神社」には、どこの神社にもみられる社務所がありません。しかし御朱印をいただいたり、お守りやお札を受けたりすることはできます。社殿の前にそれらが並べてありますので、備え付けてある箱の中に所定の品代を入れて授かって来るのです。
もちろん絵馬やおみくじなども置いてあります。絵馬は各自願い事を書いて所定の場所に吊り下げて下さい。
隣接する旧社殿である「和銅出雲神社」には、護摩木板が置いてあります。こちらも「聖神社」同様になっていますので、願い事を書きこんで所定の位置に収めておけば、お焚き上げをしていただけます。うれしいのがちゃんとサインペンまで置いてあるのです。
何処の神社にも必ず鎮座している左右一対の狛犬ですが、聖神社は狛犬の周辺にも神聖な空気が漂っているようで、おろそかにしてはなりません。
狛犬は高麗犬から来たと言われており、犬とも獣ともつかぬ形相をしています。「どうも日本の犬とは顔が違うので外国の犬だろう」ということで高麗犬ということになり、字も狛犬と変わったのだということです。そしてその形相から魔除けとして神社の入口で神様を守る役目についたのです。
小鳥のさえずりを聞きながら歩く細い山道は、爽やかですがすがしい霊気の流れる道で、5mにおよぶ和同開珎のモニュメント、そして銅採掘跡へ続く道です。
足元はそれほど悪くありませんが、山道ですので小石や隠れ石が点在しています。歩きやすい靴でお出かけください。間違ってもハイヒールなどは禁物です。
和同の採掘跡へ行く途中に、毛並みのふっくらしたインスタ映えのする猫がいます。「おいで」と呼ぶとしばらくは後を付いてくるのですが、途中の分かれ道まで来るとまた元いた小川に架かる橋の欄干の上に戻り、次にくる見学者を待ち受ける姿勢になるのです。とてもおとなしい猫で人になついており、採掘跡までのは細い山道昇ってきた人たちの気持ちを和らげてくれる役目を果たしてくれております。
細い山道ですがあたりの景色を愛で、爽やかな空気を胸いっぱいに吸い込んで、ゆったりとした気分で楽しんで下さい。
住所:埼玉県秩父市黒谷字菅仁田2191
電話番号:0494-24-2106
電車でのアクセス:東武東上線寄居駅(終点)乗り換え、秩父鉄道・三峰口行で和銅黒谷駅下車。徒歩5分。
車でのアクセス:練馬ICより関越自動車道・花園IC下車。国道140号〜皆野寄居有料道路経由で約30分。
2018年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/12/6更新)
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