犬山城は織田信長の叔父、織田信康により築城されました。
木曽川の地形を利用し小高い丘の上に建てられたこの城は、尾張と美濃の国境という要所であったことから、織田氏が勢力を広げるにつれ織田の家臣の池田恒興、中川定成など城主を次々と変えていました。江戸時代に入り成瀬正成がこの地を与えられると、そのまま幕末まで成瀬氏の居城となります。
明治4年(1871年)の廃藩置県に伴い愛知県の所有となり、残念ながら天守閣以外の建物は取り壊されてしまいました。
さらに犬山城を災難が襲います。明治24年(1891年)濃尾大地震が発生し天守閣は半壊。愛知県より修理を条件に旧藩主の成田氏が譲り受け、修復されました。
昭和10年(1935年)に国宝の指定を受けた後も、個人所有の唯一の城として維持されていましたが、平成16年(2004年)財団法人犬山城白帝文庫の所有となり現在に至ります。
犬山城
営業時間:9時〜17時(入場は16時30分迄)
登閣料:大人500円 小・中学生100円
アクセス
電車:名鉄犬山線 犬山駅より徒歩15分
車:名神高速道路 小牧IC〜R41号経由、約11.5km
犬山城の天守閣は見た目は3重ですが中は地上4階、地下2階で構成されています。
お城で見ていただきたいのは、まずは石垣。
犬山城の石垣は「野面積み(のづらづみ)」という積み方。切り出した石を、そのまま石の形を利用して積み上げていく方法で、戦国時代初期の頃のお城によく見られます。あまり高く積むことはできませんが頑丈で水はけがよいのが特徴。ただし、凸凹があるため登りやすいという欠点も…。
天守閣に登ると、年季の入った床・太い梁、急で狭い階段に450年を超える歳月を感じることができます。これは昭和になってから復元されたお城ではまず見ることができません。
また石落としの間や付櫓(つけやぐら。天守閣の入口の脇に造られていて、入口が突破されそうなとき、横から攻撃できる)など戦時に備えた造りは当時の建築物ならでは。
4階の廻縁からは木曽川や濃尾平野が一望でき、天気が良ければ遠くは御嶽山まで望め、素晴らしい景観が楽しめます。今でこそ「素晴らしい景観」と言っていられますが、戦国時代の当時は見晴らしが良いというのも情報収集の上で重要なことであったと思われます。
犬山城や木曽川沿いに合わせて400本のソメイヨシノ。桜の本数からすると、他の名所に比べて少なく感じるかもしれません。
しかしここには国宝の、450年以上もの歳月を経た犬山城があります。
室町時代に築城されてから戦国時代の戦火に焼失することもなく、明治の廃藩置県にによる城の取り壊しも免れ、濃尾大地震・伊勢湾台風で被害を受けながらも現代にその姿を留めている…。
江戸時代以前に建てられたお城は日本に12城しか残っていないことを考えてみれば、これは極めて特異なことだとお分かりいただけると思います。
ここの桜は、犬山城より目立たないように控えめに、しかし誇らしげに花を咲かせています。それが、ここ犬山城と桜の美しさの絶妙なバランスなのでしょう。
見頃:3月下旬から4月上旬
犬山祭り:4月の第1土日
犬山城には今もなお昔の情緒を残した城下町があります。
どこか懐かしい、この街並みは犬山城に来たらぜひ歩いておきたいところ。
特に本町通りには古い町屋が残り、お土産屋さんや喫茶店が軒を連ねているので、お城を見た後にのんびりと買い物や休憩など、散策を楽しむにはぴったりです。
犬山城から本町通りに行く間に寄り道したいのが「からくり展示館」。
犬山祭の車山(やま)に添えられるからくり人形を展示していて、日本のからくり技術の粋を見ることができます。からくり人形は現代ではほとんど目にすることがないもの。有名な「茶運び人形」もここで見ることができ、毎週金・土曜日にはからくり細工の実演もあります。
また、犬山城の東側にある庭園「有楽苑」には国宝の茶室「如庵」が移築されており、常時公開しています。如庵は織田信長の弟で、茶人の織田有楽斎(おだうらくさい)が建てた茶室で国宝。日本3名席の一つでもあり、緑に囲まれた、有楽斎の独創的な造りの茶室は必見です。
からくり展示館
開館時間:9時〜17時(入館は16時30分迄)
入館料:一般100円 中学生以下無料
有楽苑
開館時間:9時〜17時(季節により変動あり)
入場料:大人1000円 小人600円
桜が咲き始めると、つい桜にばかり目がいってしまいますが、この犬山城では「犬山城と桜」と、あくまでも犬山城が主役。
ここでは桜は脇役なのです。だからこそ、却って桜がとても美しく引き立つという、他では感じることのない桜の良さが見えてきます。
そんな名脇役の桜を見に、この犬山城を訪れてみてはいかがでしょうか。
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(2025/2/16更新)
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