庄内刺し子に注目!暮らしの手づくり市「こしゃってマルシェ」

庄内刺し子に注目!暮らしの手づくり市「こしゃってマルシェ」

更新日:2018/05/24 10:30

2018年で4回目、春夏秋冬に各1日のみ鶴岡市で開催される「こしゃってマルシェ」。農や食、手しごとをテーマにしたお店が並びます。
「こしゃって」は「作って」という意味の庄内弁。丹精込めて栽培された農作物や、つくり手さんの想いのつまった作品やお食事など、人々の心染む物語が見えてくる、そんな「暮らし」に出会えるマルシェです。中でも、古くから地元で愛され続け今にいきる伝統民芸・庄内刺し子は注目です。

マルシェで注目の庄内伝統民芸品「庄内刺し子」

マルシェで注目の庄内伝統民芸品「庄内刺し子」
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年に4回開催される暮らしの手づくり市「こしゃってマルシェ」。今回は、2018年春の開催を例に紹介します。

農や食・手仕事をテーマに、様々なつくり手さんのお店が立ち並ぶなか、一際目を引くのが庄内の伝統民芸である庄内刺し子のお店です。

マルシェで注目の庄内伝統民芸品「庄内刺し子」
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庄内刺し子は、青森県津軽地方のこぎん刺しや、南部地方の南部菱刺しにならぶ日本三大刺し子のひとつですが、難易度は一番高い。目が細かく繊細緻密なデザインが特徴的です。

作家さんは刺し勇こと小野寺勇一さん。刺繍と聞くと女性的なイメージを持たれがちですが、男性の方がすべて手作りされているのがまた印象的です。小野寺さんは30代半ばに庄内刺し子と出会い、羽黒山山頂の先生のもとに師事。現在は小物を中心に制作を行い、展示販売を全国で行なっています。

マルシェで注目の庄内伝統民芸品「庄内刺し子」
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元々庄内刺し子は、作業着や古着などの防寒や衣類の補強・継ぎ当てとして繕われ、長く使い続けるための技法のひとつでした。生活する上で必要とされてきた作業で、仕事というよりは生業。手間暇はかかるものの、生活の必需品。寒くないように、動きやすいように、無事に働けるように――そんな祈りや強い思いが小さな模様となり、人々を支え続けてきました。

それがいつしか実用と装飾を兼ね備え、今に活きる形として幅広い世代に広まっています。今もなお愛され続ける伝統模様を大切に、時代に合う様々なアイテムから刺し子の意味が受け継がれているのです。

庄内刺し子の繊細緻密な模様は多様

庄内刺し子の繊細緻密な模様は多様
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小野寺さんの作品には、様々な模様の庄内刺し子が存在します。
まずは「柿の花刺し」。模様が連なっていることから、子孫繁栄や五穀豊穣としての意味合いを持っています。また、害虫を予防する模様としても扱われてきました。

庄内刺し子の繊細緻密な模様は多様
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続いて「米刺し」。平野で米作りをする庄内を象徴するかのような模様です。まさに、米の豊作を願い紡がれてきました。

まだまだ魅力的な伝統模様はたくさん!

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杉山に見立てられたことにより付けられた「杉刺し」。杉の葉をかたどった縞模様で、針目を少しずつずらしながら刺していきます。山々に囲まれた庄内地方ならではの情景をも思い浮かびます。昔の人々は身近なものを見て表現していたことがわかるような伝統模様です。

写真のネームタグは、小野寺さんのこだわりの一つである「女性らしさゆえ女性が考えないモノをつくりたい」という思いから、ネームタグを男性のボトルキープにご使用いただくといった発想で展開もされています。

まだまだ魅力的な伝統模様はたくさん!
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こちらは庄内の春夏秋冬を感じさせられるような模様「花刺し」です。小花の愛らしい模様が特徴で、寒さ厳しき冬がある分、春が待ち遠しい。暖かな春の花を思って紡がれた模様です。

まだたくさんあるある小野寺さんの作品は、こお「こしゃってマルシェ」の他、マルシェのような全国の展示販売で手に取ることができます。また店舗としては現在、東北の3店舗にのみ一部販売があります。(仙台1店舗、鶴岡2店舗)

食のつくり手さんからは地元の食材を活かしこんなお店も!

食のつくり手さんからは地元の食材を活かしこんなお店も!
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庄内刺し子など「手づくりのつくり手さん」の他に、「食のつくり手さん」からはこんなお店を出店されています。

鶴岡市のスペシャル珈琲専門店「パラティーゾ」。庄内の気候風土を活かしながら、質の高い豊かな風味の珈琲を生み出す地元の珈琲屋です。注文を受けてから焙煎されるという珈琲は、鮮度を大切に、焙煎度合いで異なった味わいを楽しめます。食の都庄内だからこそ手に入る豊かな食材を軸に、爽やかでフルーティーな風味のものから深煎りの香ばしくコクのあるものまで、さまざまな表情の珈琲が味わえます。

食のつくり手さんからは地元の食材を活かしこんなお店も!
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おすすめは「エル・ソコロ」という珈琲。カカオやシナモンをベースに、フルーティーで上質な酸味の珈琲を堪能できます。

「パラティーゾ」の珈琲は、現在庄内3店舗のカフェで楽しむことができます。(酒田市にあるカフェ「day by day」や鶴岡市に2017年秋にオープンした「Farmer’s diningCafe IRODORI」、2018年にオープンした自家製パンと珈琲を扱う「Share Cafe おおきな木」の3店舗)

食のつくり手さんからは地元の食材を活かしこんなお店も!
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季節のこと、自然のこと、暮らしに役立つ様々な知恵など、数多く集まるつくり手さんから学び得る「暮らし」がここにはあります。

老若男女、ファミリー層など幅広い世代に愛される理由には、地域の素材や食材を活かしながら、地域の暮らしをどうより良いもの楽しいものとしていくのか、みんなで体験し交流をしながら深めていく心安らぐひと時があるからではないでしょうか。

美味しかった!楽しかった!と、笑顔溢れる時間の共有が、暮らしの豊かさを広げる新たな繋がりへと発展していくのかもしれません。晴れたら木陰でピクニックなどもしながら、週末の余暇を堪能してみてください!

人々の思いが紡がれていく庄内の街

人々の思いが紡がれていく庄内の街
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東北屈指のデザイン花火を誇る赤川花火大会において、2016年開催テーマは「紬〜tsumugi〜」でした。縦糸と横糸を丁寧に紡いで作られる紬のように、花火と観客と実行委員が、それぞれ緻密に折り重なっていく。人々の心に深く刻まれた思い、関わった人たちが幸せを感じ、後世に語り継がれることを願う強く温かな思いがありました。

庄内刺し子も同様に、受け継がれる伝統模様が、本質的な意味は変えず今もなお人々に愛され続けています。時代や対象は変わっても、暮らしや地域に対する思いは共通して人々の心に大切にされ続けている庄内の街。「手づくり」だからこそ垣間見えるストーリーがここにはあります。

こしゃってマルシェの基本情報

2018年度開催日程:
春・5月13日(日)/夏 森と土のマルシェ・7月22日(日)/秋・10月7日(日)/冬・2019年2月10日(日)
開催時間:10:00〜15:00
開催場所:「こしゃってマルシェ広場」山形県鶴岡市三千刈字藤掛1
※雨天時・冬季は屋内開催
アクセス:鶴岡駅より車で約15分、鶴岡駅より朝日庁舎行きバス「山添」下車徒歩約6分

2018年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/05/13 訪問

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