百舌鳥古墳群は堺市中心部に広がっており、世界遺産に登録された仁徳天皇陵、履中天皇陵、いたすけ古墳、御廟山古墳、ニサンザイ古墳、反正天皇陵の6大古墳が主たるものです。まずは、盟主墓である仁徳天皇陵から見学をはじめましょう。
JR阪和線百舌鳥駅を降りると線路をはさむ陸橋がありますので、そこに登って仁徳天皇陵の大きさを実感してください。こんもりした緑の森がずっと広がっています。
陸橋を渡らずに戻り、西へ10分ほど歩くと仁徳天皇陵の拝所へ至ります。ボランティアガイドも常駐しているので説明を受けましょう。仁徳天皇陵墳丘は全長約486mで三重の濠に囲まれており、あまりにも巨大で全貌がつかめません。しかし、駅からここまで歩いても古墳の短辺の半分しか歩いていないことを考えると、その大きさがわかります。ちなみに仁徳天皇陵を一周するコース(約3km)も整備されているので、下記関連MEMO欄より【旅行ガイド】世界遺産に登録!堺市の仁徳天皇陵古墳を一周しよう! という記事を読んでチャレンジしてください。
写真:菊池 模糊
地図を見る仁徳天皇陵の拝所は古墳前方部の前側中央にあり、厳かな雰囲気です。奥に樹木に覆われた小山のような古墳本体が見えます。これは5世紀中ごろ築造された日本最大の前方後円墳。クフ王ピラミッド、秦始皇帝陵と並ぶ世界3大墳墓のひとつとされています。天皇名を冠してではなく「大山古墳」あるいは「大仙陵古墳」とも呼ばれています。
仁徳天皇陵の南側は大仙公園。芝生広場・図書館・博物館・日本庭園などがあり市民の憩いの場となっています。余裕のある場合は、古墳関係展示や百舌鳥古墳群疑似体験ツアーが実施されている堺市博物館も訪問してください。与謝野晶子などの歌碑も公園内に点在しており、古墳関係の郷土資料は図書館で見ることができます。
<仁徳天皇陵古墳の基本情報>
住所:堺市堺区大仙町
アクセス:JR阪和線百舌鳥駅徒歩10分
観光案内所および有料駐車場あり
写真:菊池 模糊
地図を見る仁徳天皇陵の陪塚(付属墓)も必見です。道路を渡り大仙公園へ入ったところに孫大夫山古墳(帆立貝形墳)、その西側に竜佐山古墳(帆立貝形墳)と狐山古墳(円墳)があります。これらの陪塚はすぐ近くで見学できるのと、埴輪など多くの遺物が出土しているので重要です。
次は公園を南へ、日本庭園に沿った遊歩道を歩いて大仙公園を横断すると、今度は履中天皇陵の陪塚が並んでいます。寺山南山古墳(方墳)と七観音古墳(円墳)です。これらは、かつて存在した履中天皇陵の二重濠の外側に接して造られたもので、多くの出土物がみつかっています。
写真:菊池 模糊
地図を見る七観音古墳からすぐ南に二基の信号が並んでおり、それを渡ると履中天皇陵古墳ビュースポットがあります。これは2017年に設けられたもので、古墳の濠越しに墳丘本体後円部を直接見渡すことができる絶好のポイント。巨大前方後円墳の雄大さを間近で体感してください。大きな質量を感じさせる形の崩れのない圧倒的な造形。非常に丁寧に造られており、百舌鳥古墳群で最初の巨大墳墓であるにも関わらず、墳丘の等高線の乱れがありません。
履中天皇陵は全長約365mの日本で3番目の大きさの超巨大古墳です。ここは近世に濠が農業用水として利用されてきたため水位が大幅に上昇しており、本来の墳丘長は400mをこえると思われます。考古学的知見によると、仁徳天皇陵古墳より古く5世紀前半に造られたようで、周囲には二重の濠がめぐらされていました。被葬者については履中天皇とされていますが「上石津ミサンザイ古墳」とも呼ばれています。
<履中天皇陵古墳の基本情報>
住所:堺市西区石津ヶ丘
アクセス:JR阪和線上野芝駅徒歩10分
履中天皇陵を見た後は、信号を戻って寺山南山古墳の角を東へ曲がり、堺市都市緑化センターの横を通るといくつかの小型古墳があります。左に旗塚古墳(帆立貝形墳)とグワショウ坊古墳(円墳)を、右に銭塚古墳(帆立貝形墳)を垣間見ながら進むと、JR阪和線にぶつかります。線路沿い道路を少し北へ歩き、小さな無人踏切を渡ってから、南へ少し戻る感じで歩くと、いたすけ古墳に出ます。
写真:菊池 模糊
地図を見るいたすけ古墳は全長約146mの中型の前方後円墳で、百舌鳥古墳群中8番目の大きさ。一時、住宅造成で破壊されかけましたが市民運動により保存したことから、出土した冑の埴輪は市の文化財保護のシンボルマークに。何より目の前に古墳の本体が見られるのが特徴です。
<いたすけ古墳の基本情報>
住所:堺市北区百舌鳥本町3丁
アクセス:JR阪和線百舌鳥駅徒歩10分
いたすけ古墳の後円部近くから東へ、カラー舗装された道が御廟山古墳の前方部南角に続いています。御廟山古墳は百舌鳥古墳群では4番目の大きさで203m。最近の調査で二重濠であったことが判明し、大王に近いクラスの被葬者が考えられる古墳です。
写真:菊池 模糊
地図を見る御廟山古墳は、住宅に取り囲まれていますが、西側から北側にかけては歩道があり濠越しに墳丘が望めます。見た印象は、いたすけ古墳とニサンザイ古墳の中間くらいで、なかなか立派な古墳です。
当時海に近かった仁徳天皇陵や履中天皇陵が南北方向に墳丘の主軸が置かれているのに対し、御廟山古墳は墳丘主軸は東西方向です。いたすけ古墳やニサンザイ古墳と同じ方向を向いているわけです。これは地形的に海から内陸に入った丘の上にあり、川利用の舟運または街道からの眺望が考慮された結果と思われます。
<御廟山古墳の基本情報>
住所:堺市北区百舌鳥本町1丁
アクセス:JR阪和線百舌鳥駅徒歩10分
写真:菊池 模糊
地図を見る御廟山古墳からニサンザイ古墳へ行く途中、百舌鳥八幡宮があります。御廟山古墳が応神天皇の初葬地の可能性があるとして陵墓参考地に指定されており、その約150m東に応神天皇を祭神とする百舌鳥八幡宮があるのは意味深です。所伝によると八幡神(応神天皇の神霊)の宣託を受けて欽明天皇の時代に創建されたそうです。
初秋に開催される月見祭で百舌鳥八幡宮に奉納される「ふとん太鼓」は勇壮華麗で見事なもの。また神社に隣接して小型の円墳である鎮守山塚古墳があります。
百舌鳥八幡宮を南へ下り、百舌鳥八幡前交差点をさらに南へ歩くと、府道28号の百舌鳥八幡南交差点に出ます。ここを南へ渡り次の道を西へ折れるとニサンザイ古墳の前方部北角に出ます。
ニサンザイ古墳は日本一美しい前方後円墳と言われています。5世紀後半に精密な築造計画によって造営された左右対称の墳形に崩れが無い見事な巨大古墳です。最近の堺市の調査により墳丘は300m強とされ、百舌鳥古墳群では第3位、日本で第7位の大きさの古墳となっています。
写真:菊池 模糊
地図を見るニサンザイ古墳の周濠外側は護岸工事が施され、土手の上を歩くことが可能。巨大で美しい古墳の迫力を目前に感じながら北側を半周して、古代の土木技術が最後に到達した造形美の極致を満喫しましょう。
この古墳は、宮内庁により反正天皇の空墓として陵墓参考地とされています。築造は5世紀後半頃です。
<ニサンザイ古墳の基本情報>
住所:堺市北区百舌鳥西之町3丁
アクセス:南海高野線堺東駅よりバス田園線40番「もず梅町三丁」下車すぐ
ニサンザイ古墳の後円部北側からバス通りに出て、もず梅町三丁バス停から田園線40番の堺東行きバスに乗り終点の堺東駅前まで行きます。堺東駅南側の踏切を渡り東側へ200mくらい歩いてから北へ折れて50mのところに反正天皇陵があります。裏側には方違神社が鎮座しています。
写真:菊池 模糊
地図を見る反正天皇陵は全長約148mの前方後円墳です。百舌鳥古墳群では7番目の大きさで、一番北に離れて位置しています。5世紀中頃の造築と見られ「田出井山古墳」とも呼ばれています。
<反正天皇陵古墳の基本情報>
住所:堺市堺区北三国ケ丘町2丁
アクセス:南海高野線堺東駅徒歩10分
写真:菊池 模糊
地図を見る百舌鳥古墳群をめぐった後は、堺市役所展望ロビーに行ってみましょう。市役所最上21階、無料で地上80m360度の展望が楽しめます。遥かに仁徳天皇陵古墳などが望め、大都市化した堺の市街の中で、古墳が緑のオアシスのように点在している様子が分かります。喫茶コーナーでは前方後円墳の形をした Goryoカレー や Goryoカフェラテ が提供されていますので、古墳めぐりの記念として味わってみてください。
<堺市役所高層館の基本情報>
住所:堺市堺区南瓦町3-1
電話番号:072-233-1101
アクセス:南海高野線堺東駅徒歩2分
所在地:大阪府堺市堺区・北区・中区・西区
大仙公園観光案内所(観光ボランティアガイド常駐)
住所:大阪府堺市堺区百舌鳥夕雲町2-160
電話番号:072-245-6207
百舌鳥古墳群全般
ワンストップ窓口電話番号:0120-099-771
※記事中の古墳の大きさについては、堺市の公式ページ「古墳大きさランキング(日本全国版)」に基づいて記載しています。
2018年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/19更新)
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