山間の秘境駅も!岡山県北〜鳥取を走る因美線で郷愁溢れる鉄道旅へ

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山間の秘境駅も!岡山県北〜鳥取を走る因美線で郷愁溢れる鉄道旅へ

山間の秘境駅も!岡山県北〜鳥取を走る因美線で郷愁溢れる鉄道旅へ

更新日:2018/09/18 15:29

佳後 マリ子のプロフィール写真 佳後 マリ子 レトロ旅ライター、パワスポ・ナビゲーター

JR三江線の廃線が大きな話題となりましたが、中国地方には他にも、郷愁あふれる山間の風景の中をひた走る内陸部のローカル線が存在します。
JR因美線がそのひとつで、最近では春と秋の年2回に渡って開催される「みまさかスローライフ列車」のツアーや青春18きっぷが使用できる期間を狙って訪れる鉄道ファンや旅行客の方が増えています。
レトロファンにもおすすめしたい、因美線の見どころをご案内します。

JR因美線とは

JR因美線とは

写真:佳後 マリ子

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JR因美(いんび)線は、鳥取駅から岡山県津山市の東津山駅までの区間70.8kmを結ぶローカル線で、1919(大正8)年12月に開業、1932(昭和7)年7月に全開通した路線です。

因美線という名は、鳥取県東部の旧国名「因幡(いなば)」と岡山県北東部の旧国名である「美作(みまさか)」から頭文字をとったもので、岡山県にはこの「美作」を名前に冠する駅が他路線も含めて数多く存在します。

JR因美線とは

写真:佳後 マリ子

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岡山県側から乗車すると、終点の鳥取駅以外はすべて内陸の駅。県境付近をはじめとした山深い景観、その麓に広がる田畑の景観など、日本の原風景とも言える懐かしい山里の風景が70kmのほぼ全線に渡って続きます。

非電化のディーゼル気動車が走る単線であること、イベント時を除き基本は1両のみのワンマン運転であること(岡山県北ー鳥取県南の区間)、2、3時間に1本という運行本数、沿線の大半の駅が無人駅であることなど、都市での生活に慣れた人間にとっては別世界のような鉄道事情ではありますが、その分、日常の慌ただしさから離れてのんびりと旅を楽しむのには最高とも言える路線のひとつです。

JR因美線とは

写真:佳後 マリ子

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鄙びた木造駅舎と転車台、廃線跡のある風景〜美作河井駅

鄙びた木造駅舎と転車台、廃線跡のある風景〜美作河井駅

写真:佳後 マリ子

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後でご紹介する美作滝尾駅もそうですが、因美線沿線は鉄道開業当時からの木造駅舎が多く残っていることが大きな特色です。岡山県最北端に位置する駅、美作河井(みまさかかわい)駅もそのひとつで、1931(昭和6)年の開業当初からの駅舎が今でも現役で使用されています。

県境の峠に近く、山懐に抱かれてポツンと佇んでいるかのような小さな無人駅は、秘境駅ムードたっぷり。山紫水明の山里の風景や鄙(ひな)びた駅舎と共に、そんな秘境ムードを高めてくれているのが、傍らに残るかつての手動転車台と今ではもう使われていない線路跡でしょうか。

鄙びた木造駅舎と転車台、廃線跡のある風景〜美作河井駅

写真:佳後 マリ子

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手動転車台は、冬場に鳥取方面からやってくる除雪車の向きを変えるために使用されていたもので、使われなくなって土中に埋められていたものを2007(平成19)年に鉄道ファンの協力を得て発掘、2009(平成21)年には近代化産業遺産の認定を受けました。

明治時代に日本で最初に鉄道が開業した東京・新橋駅にあったものと同サイズの輸入品で、完全な形で残っているのはもうここだけという国内的にも非常に貴重な鉄道遺産です。

鄙びた木造駅舎と転車台、廃線跡のある風景〜美作河井駅

写真:佳後 マリ子

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一方、駅舎からホームに渡る間に延びている線路跡は、上下の列車がすれ違う複線のホームだった時代に使用されていたもので、1997(平成9)年を最後に役目を終えた線路。急行列車の停車駅でもあったかつての時代の名残が、長い直線ホームと短い草の生えた線路跡にひっそりと残されています。

「夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の跡」。そんな句が自然に浮かんでくる、美作河井駅です。

<基本情報>
住所:岡山県津山市加茂町山下51
アクセス : JR津山駅より、因美線鳥取方面行きの列車に乗車約40分(7駅目)

映画のロケ地にもなった国内屈指の人気レトロ駅舎〜美作滝尾駅

映画のロケ地にもなった国内屈指の人気レトロ駅舎〜美作滝尾駅

写真:佳後 マリ子

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美作滝尾駅は、因美線に1928(昭和3)年に開業した駅。昭和初期の標準的な小規模駅舎の原型を非常に良くとどめていることが評価され、2008(平成20)年には国の登録有形文化財に登録されました。駅舎自体が歴史的な価値を有する、沿線でも名の知られた駅となっています。

映画のロケ地にもなった国内屈指の人気レトロ駅舎〜美作滝尾駅

写真:佳後 マリ子

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この駅が全国的に有名になったのにはそれ以上に大きなもうひとつのきっかけがあり、それは、昭和を代表する名作映画「男はつらいよ」シリーズの最終作のロケ地になったこと。主役の寅さんも登場する映画の冒頭シーンがここ美作滝尾駅で撮影され、撮影が行われた1995(平成7)年10月はこの小さな駅周辺がたいへんな賑わいとなりました。

山田洋次監督が事前のロケハンの際に「寅さんと共に日本中の駅を見てきましたが、美作滝尾駅ほど美しい駅は、もう日本のどこにもありません。・・・」と駅あてに残した手紙は現在も保管されていて、イベント時など駅の事務室が開放された際に公開されることもあります。

映画のロケ地にもなった国内屈指の人気レトロ駅舎〜美作滝尾駅

写真:佳後 マリ子

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その外観だけでなく、出札口、手荷物・小荷物窓口の窓口跡やその表示看板、ベンチ、また事務室内に置かれた机や椅子、柱時計などの備品に至るまで駅内にあるものの大半が昭和初期から変わらぬ状態で現存しており、そのせいか、とうに無人駅になってしまった駅とは思えないような温かな気配を今でも帯びています。初めてここを訪れる人をも、故郷のような懐かしさと温かさで包んでくれる駅舎なのです。

<基本情報>
住所:岡山県津山市堀坂263
アクセス : JR津山駅より、因美線鳥取方面行きの列車に乗車約15分(3駅目)

扇形機関車庫に国鉄時代の名車両が!「津山まなびの鉄道館」

扇形機関車庫に国鉄時代の名車両が!「津山まなびの鉄道館」

写真:佳後 マリ子

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津山まなびの鉄道館は、因美線の実質的な終点駅である津山駅(厳密には終点は東津山駅ですが、岡山県内に入る列車は全てその先の津山駅まで乗り入れています)の構内に、2016(平成28)年に開館した鉄道博物館で、開館以来、多くの鉄道ファンや家族連れなどで賑わっています。

中でも扇形機関車庫は、京都鉄道博物館の扇形車庫に次ぐ国内2位の規模を誇ると共に近代化産業遺産にも指定されており、D51などのSLのほか、キハ58系気動車など国鉄時代に因美線で活躍した車両を含む懐かしい往年の列車が展示されています。

機関車庫前の転車台は、岡山県内に唯一残る現役の転車台で、全国的にも貴重なものであるとのこと。回転実演イベントも時々開催されています。

扇形機関車庫に国鉄時代の名車両が!「津山まなびの鉄道館」

写真:佳後 マリ子

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また、館内の「あゆみルーム」や「しくみルーム」などには、昔実際に沿線の駅で使用されていた切符や鉄道運行用の手動装置、列車や駅名のプレートなどの年代物の収蔵品・資料が展示されており、当時の沿線を知る人間にとっては非常に懐かしく、また知らない人にとっても古き良き時代の鉄道ノスタルジーを味わえる内容となっています。

因美線の歩んできた歴史を知ることで、さらに列車旅が奥深く楽しいものになるはず。事前に予習や情報収集を兼ねて立ち寄るのにもおすすめの施設です。

扇形機関車庫に国鉄時代の名車両が!「津山まなびの鉄道館」

写真:佳後 マリ子

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<基本情報>
住所:岡山県津山市大谷
電話番号:0868-35-3343
開館時間:9:00〜16:00(最終入館受付は閉館時刻の30分前まで)
休館日 : 月曜日(祝日の場合はその翌日)、12月29日〜12月31日
アクセス : JR津山駅より徒歩約10分

時代を越えて残った名所名駅舎!因美線でノスタルジックな鉄旅を

本文では紹介していませんが、因美線沿線にはサムハラ神社奥の宮が町内にある美作加茂駅(関連MEMO参照)、その隣にはマンガ/アニメ「のんのんびより」の舞台とされ、開業当初からの木造駅舎が残る知和駅、また鳥取県側では旧宿場町の面影を残す智頭町(智頭駅)等、隠れた名所名駅が意外に多く点在しています。

前書きでも書いた年2回開催される「みまさかスローライフ列車」は、懐かしい国鉄時代の車両に乗車できることもあり大人気のイベントですので、レトロな旧車両に乗ってみたい方、普段は見られない貴重な保管資料をごらんになりたい方、現地の方の温かいおもてなしを受けたい方はぜひこちらを利用して因美線の各駅を巡ることをおすすめします。 土地の日常を実感し、よりのんびりとした旅情を楽しみたい方はあえてイベント時を外し、青春18きっぷほかのお得な切符を活用して自在に乗り降りしてみるのも良いかも知れませんね。
列車の運行本数が少ないので、上手に計画を立て、郷愁溢れる山間のローカル線の旅を満喫していただければと思います。

※2018年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/10/25−2017/10/27 訪問

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