江戸時代に北前船で栄えた門前町黒島地区は、1684年に幕府の直轄地(天領)となりました。こちらの「角海家」は、最盛期には7隻もの北前船を持つ船問屋で、栄華を極めた当時の豪壮な住宅が残されています。
2007年の能登半島地震により大きな被害を受けたのち、「角海家」の土地と建物は輪島市に寄贈され、現在の建物は2011年に復元工事を終えて完成したものです。
こちらの施設で黒島地区の街並み散策マップで受け取り、街歩きを始めるとよいですよ。
ここ黒島地区が、重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されたのは2009年。そのわずか2年前の2007年3月には能登半島地震が発生し、黒島地区の建物にも大きな被害が出ました。地元のみなさんの懸命な復旧作業もあり、地震発生後2年で重伝建に選定され、自然環境と一体となった歴史的風致が認められました。
黒島地区の目の前にはすぐ日本海があり、荒々しい波が岸壁を打ち付ける日も少なくありません。しかしながら、この日本海の海運で発展したこの町は、穏やかな海とも荒々しい海とも上手に付き合いながら生活してきました。
当時の街道沿いには伝統的な主屋が建ち並んでいます。船主の住宅は中庭をコの字で囲む独特の平面形式を採用しており、この構造も重伝建に選ばれた理由の一つとなっています。
近隣の町は加賀藩領だったのに対し、明治元年まで天領だった黒島地区のこの街道は、当時はさぞかしにぎわっていたことでしょう。
黒島地区の建物の特徴は「下見板張り」の外壁にあります。上方の板の下端を下方の板の上端に羽重ねにして張る方法で、板を平坦に張るよりも雨水の浸透を防ぎやすくなっています。
この「下見板張り」と「黒瓦」の漁村風景は能登半島のあちこちで見られます。さらに海からの激しい風雨から家屋を守るために、「間垣」と呼ばれる垣根が組まれている地域もあります。
「角海家」でいただいた散策マップにも載っていない細い路地も、黒島地区の重要な街並みのひとつ。現在も住んでいらっしゃる住宅ですので、テレビの音や子どもの声なども聞こえ、生活感が感じられます。
のんびりと散策するには最高の路地ですが、訪れる観光客は少なく、観光地化はされていません。人々の生活の場である地域におじゃまするわけですから、マナーを守った観光が求められます。
全国に100以上もある重伝建地区ですが、街並み保存と現在の生活との共存、さらに観光客をどこまで受け入れるか、などの問題点も多く、どの重伝建地区も観光客を積極的に誘致しているわけではありません。ここ黒島地区は散策マップを発行しているくらいですので、観光客歓迎の地区ではありますが、実際の住宅が多く、私有地へ無断で立ち入ることはないようにしましょう。
街並みを歩きながら「下見板張り」の板の色の違いを見るのもおもしろいですよ。新しい色から徐々に色あせていく板とのコントラストも絵になります。
能登半島の家々の多くはこのような黒い瓦が使われています。これは「能登瓦」とも呼ばれており、マンガンを主原料とする釉薬が使われているためこのような黒い瓦になっているそうです。
寒さや塩害に強いと言われている「能登瓦」は、屋根の上に積もった雪を溶かして滑りやすくしているとも言われ、能登半島の家屋には欠かせない瓦です。
住所:石川県輪島市門前町黒島町
電話番号:0768-43-1135(天領黒島角海家)
アクセス:のと鉄道穴水駅よりバスで30分
2018年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索