これぞ秘境!奈良「大杉谷」で吊り橋をたどる滝巡り登山

これぞ秘境!奈良「大杉谷」で吊り橋をたどる滝巡り登山

更新日:2018/05/31 15:29

SHIZUKOのプロフィール写真 SHIZUKO 舞台演出者
日本百名山・大台ケ原に代表される台高山脈は、奈良県と三重県の県境をなし南北に30キロもの稜線を繋ぐ秘境。西側にある大峰山脈と共に近畿の屋根と呼ばれ、山また山が連なる奥深い地域で、国内有数の多雨地域です。その豊かな水量を誇る清流・宮川の浸食によって深く削られた美しい渓谷「大杉谷」は、日本三大渓谷にも数えられています。切り立った岸壁を数々の滝が流れ落ちる秘境中の秘境。一泊二日で近畿最後の秘境にぜひ!

落差135メートルの千尋(せんぴろ)の滝

落差135メートルの千尋(せんぴろ)の滝

写真:SHIZUKO

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近畿の秘境・山深い大杉谷を楽しむには、一泊二日の日程がどうしても必要です。下りコースと呼ばれる、日本百名山・大台ケ原から入山しても、登りコースと呼ばれる宮川第三発電所登山口から入山しても行動時間は12時間。登山口近くで、前泊するか、途中の山小屋に泊まるか。このどちらかでしか、美しい大杉谷を堪能することはできません。

初日の行程は6.2キロ、ゆっくり歩いて5時間30分。高低差はそれほどありませんが、岩をくりぬいて作られた細い登山道を歩くことが多いので、慎重に進んでいきましょう。毎年、滑落・墜落事故も起きているので、慎重に慎重に。ガイド登山でない場合は、雨が降る日は行かない!と決断した方がいいでしょう。

登りコースの登山口は、宮川第三発電所。発電所の横を通るとき、上の方を見てみると、ほぼ垂直の水力発電用の太いパイプが目に入ります。流れ落ちた激流は川に放出され、轟音を立てています。水の持つ巨大なエネルギーを実感して、いざ大杉谷に突入です。

道はすぐに、岩をくり抜き、壁には鎖がかけられた秘境感たっぷりの道に。ところどころしみ出した水で濡れている部分があるので、滑らないように慎重に進みましょう。10分ほどで大日ぐら(だいにちぐら※)へ。で大日ーは巨大な一枚岩の塊で、その岩塊に歩道が掘られています。つまり、大日ぐらの中を歩いているので、その全貌を見ることはできません。

※文中の「ぐら(くら)」は、やまかんむりに「品」。切り立った崖という意味です。

落差135メートルの千尋(せんぴろ)の滝

写真:SHIZUKO

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左側に美しい渓谷を見ながら歩くこと、およそ2時間。対岸の崖の上の方に、ほとばしる滝の源頭が見え始めます。写真に納めるには、大きな木々が邪魔をしてしまいますが、自分の目ではしっかりととらえることが出来る感動の光景。絶対にお見逃しなく。それこそが、大杉谷登りコースで最初に出会う滝「千尋の滝」です。

落差135メートルの千尋(せんぴろ)の滝

写真:SHIZUKO

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ちらちらと見え隠れする千尋の滝を目で追いかけて登山道を進んでいくと、やがて千尋の滝の正面に。東屋のある展望所に到着します。休憩しながら落差135メートルの滝を楽しみましょう。ここまでの道で辛いと思う方は、ここで引き返しましょう。この先は、ドンドン道が険しくなります。

シシ渕の向こうにはニコニコ滝

シシ渕の向こうにはニコニコ滝

写真:SHIZUKO

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千尋の滝からは、しばらくアップダウンのきつい道。いったん大きく下って、また登るという道が続きます。せっかく登ったのになと思う人も多いでしょう。

大杉谷という谷を遡上しているので、このあたりから谷にかけられた吊り橋がどんどん現れます。はじめのうちは吊り橋怖い!と思っている人も、そのうち、当たり前の道と感じることでしょう。しっかりした吊り橋ですから、安心して進みましょう。

シシ渕の向こうにはニコニコ滝

写真:SHIZUKO

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初日の2つ目の見どころ「シシ渕」までは、およそ1時間。クグリと呼ばれる、苔むす岩のトンネル。いつも湧水がながれ、頭上からポトポトと落ちてくる湧水の冷たさを楽しみましょう。ここを越えれば、絶景のシシ渕はすぐそこ。切り立った岸壁の向こうに、ニコニコ滝が!

シシ渕の向こうにはニコニコ滝

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こんなにフォトジェニックな光景があるでしょうか!門のようにそびえる岩壁の向こう真正面に流れ落ちる、勢いもすごいニコニコ滝。ぜひぜひ、ご自分の目で見ていただきたい素晴らしい光景です。

心温まる「桃ノ木山の家」

心温まる「桃ノ木山の家」

写真:SHIZUKO

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いつまでもそのまま、ここにいたいなと思ってしまうシシ渕をあとにして、宿・桃ノ木山の家を目指しましょう。ゆっくり歩くと2時間の行程。小さなアップダウンを繰り返し、もう吊り橋も飽きたなーっと思う頃に、最後の山小屋への吊り橋が現れます。

心温まる「桃ノ木山の家」

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この吊り橋を渡れば、快適な山小屋・桃ノ木山の家に到着です。

心温まる「桃ノ木山の家」

写真:SHIZUKO

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「桃ノ木山の家」は、お風呂があるとてもありがたい山小屋です。

就寝スペースは、ひとり1人のスペースが広くしっかりと休息できます。夕食のご飯とカレーはお代わりが出来ます。不都合があり、夕食のメニューが食べられない時でも、ちょっとした心遣いで対応して下さるホスピタリティーあふれる素敵な山小屋です。バタバタせずにここに連泊して、本当の意味で大杉谷を楽しむというプランも素敵だと思います。

名瀑100選の七ツ釜滝

名瀑100選の七ツ釜滝

写真:SHIZUKO

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大杉谷は、天候が変わりやすい場所でもあるので、二日目に出発できるかどうかは天気次第。午後から崩れる予報なら、出来るだけ早く出発しましょう。ここは日本有数の降水量を誇る場所。雨が当たり前と思って行動してください。

名瀑100選の七ツ釜滝

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宿を出発して、苔むす緑深い岩道のアップダウンをあえぎながら進むと、およそ40分で、名瀑100選の「七ツ釜滝」が目の前に。その名の通り、七つの滝壺を持つ滝ですが、登山道からはその全貌を見ることはできません。沢登りをする人だけが、その絶景を堪能できます。

名瀑100選の七ツ釜滝

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落差も大きく、多くの滝壺をもつ七ツ釜滝が従える淵の水は、透明過ぎて、そこに本当に水があるの?と疑ってしまうほどの美しさです。

広い滝つぼの堂倉滝

広い滝つぼの堂倉滝

写真:SHIZUKO

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七ツ釜滝から次を目指して歩いていくと、崩落地と呼ばれる大岩が不規則にゴロゴロと転がっている河原に出ます。どこを登ればいいの?という感じですが、登山道は危ういながらきちんと整備されています。

広い滝つぼの堂倉滝

写真:SHIZUKO

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2004年の水害でおよそ10年間、通行不可だった場所。家一軒ほどの大岩がゴロゴロと道をふさぐ風景に、自然の驚異を実感できるはず。決して甘く見ず、美しい光景の中にいられることに感謝しましょう。

崩壊地を越え、ややきつい登りをこなせば、大杉谷の登りの終点・堂倉滝に到着です。巨大な滝壺が印象的。夏に子供たちが泳いでいても不思議がない大きな清水。高さはさほどでもない堂倉滝ですが、美しさは絶品です。

広い滝つぼの堂倉滝

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この先は、大台ケ原最高峰へと向かう登山道。鎖場や岩場を渡る緊張感からは解放されます。あとは、標高差800メートルを登れば日出が岳。春ならシャクナゲのトンネルをくぐる華やかな登り道です。

でも、それなりの斜度があるので、普段登ってない方にとってはちょっとしんどいなと思うかも。ゆっくり登れば4時間弱で大台ケ原最高点に到達できますから、頑張ってみましょう。

ただし、ここまでの道でもう無理と思うなら、ここから引き返す勇気も必要。下りは、登りよりも足元が危うくなるので慎重に。時間の余裕がある人は、桃ノ木山の家にもう一泊するのもおすすめです。

桃ノ木山の家基本情報

住所:三重県北牟婁郡紀北町海山区相賀480−170
電話:0597-32-2052
アクセス:桃ノ木山の家のホームページをご参照ください

2018年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/05/12−2018/05/13 訪問

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