今回のルーヴル美術館展のテーマは「人は人をどのように表現してきたのか」。過去の人々は、何故、何のために、どのように肖像を作ってきたのでしょうか?今日の私たちはスマートフォンで自分や身近な人を写し、SNSにアップしますが、昔の人はどうだったのでしょう? そんな繋がりを意識して見てみたら、歴史上の人たちが身近に感じられるかも知れません。
入口では音声ガイドを借りていきましょう。今回の展覧会のオフィシャルサポーターの高橋一生さんが展覧会をご案内。ルーヴル美術館を訪れた時の感想など、ここでしか聴けない話は必聴です!
では、展覧会の順番に沿って見どころをご案内していきましょう。
第1章は「記憶のための肖像」です。伝説によると肖像画の始まりは、古代の女性が遠くへ旅立つ恋人の、壁に映った影をなぞったことだそうです。
昔も今も、家族や恋人など、愛する人たちの姿を永遠にとどめたいという気持ちは変わりません。その気持ちが肖像を生み出したのでしょう。
こちらの3点は、ローマ時代に作られた家族の墓碑彫刻。刻まれた人々は、お互いによく似ていて一目で家族と分かります。
写真の作品
《墓碑肖像》3点
こちらはちょっと変わった墓碑彫刻。16世紀初頭の貴族の女性の肖像ですが、美しい姿ではなく、顔は骸骨のようにこけ、屍衣に包まれた体からはウジ虫のような物が這い出しているという、「死者」としての姿です!
このようなタイプの墓碑彫刻は、中世ヨーロッパで流行したそうです。どうしてこのような作品を作ったのでしょう?当時の人々のメンタリティや世界観を知るためにも興味深い作品です。
写真の作品
《ブルボン公爵夫人、次いでブーローニュおよびオーヴェルニュ伯爵夫人ジャンヌ・ド・ブルボン=ヴァンドーム(1465-1511)》
第2章のテーマは「権力の顔」。現代と違って肖像を作ることができる人たちが限られていた時代、支配者や権力者たちは、自分の力を広く知らしめるために肖像作品を活用していました。
写真に写っている作品は、2人のローマ皇帝。左は最初の皇帝アウグストゥス。皇帝と言っても豪華な衣装ではなくローマ市民の正装であるトガを纏い、静かで思慮深そうな顔。絶大な権力を持ちながらも、あくまで「市民の第一人者」であることを示したかったのでしょうか。
右は軍人皇帝カラカラ帝の肖像。鎧に身を包み、いかにも軍人らしい強面で表されています。
写真の作品
左《神官としてのアウグストゥス帝の胸像》
右《胴鎧をまとったカラカラ帝の胸像》
今回の展覧会の見どころの一つは、フランス皇帝ともなったナポレオンの肖像を複数展示したコーナー。一回の将軍として活躍した若い頃の姿から、皇帝としての姿、そして追放先の島で亡くなった時のデスマスクまで、5点が集合しています!
写真右の作品は、20代の若きナポレオンが、将軍として兵を率いて大勝利を収めた場面を描いています。
左はその数年後、皇帝としての戴冠式の肖像画。ローマ皇帝を真似て月桂冠を被り、静かな佇まい。髪型なども、初代ローマ皇帝アウグストゥスのイメージを受け継いで、いかにも「皇帝」という姿です。
ここのコーナーには、等身大を越えるサイズのナポレオンの戴冠式の肖像彫刻も展示されています!滅多にルーヴルの展示室を離れないという作品、お楽しみください。
写真の作品
左)クロード・ラメ《戴冠式の正装のナポレオン1世》
右)アントワーヌ=ジャン・グロ《アルコレ橋のボナパルト(1796年11月17日)》
勿論、男性だけではなく女性たちの肖像作品も多数見ることができます。
写真右の作品は、17世紀の画家ベラスケスの工房が手掛けたスペイン王妃の肖像画。
左は、マリー=アントワネットの娘で、フランス革命を生き延びた唯一の王家の子ども、アングレーム公爵夫人です。近くには、マリー=アントワネットの小さな肖像彫刻も展示してありますよ。
写真の作品
左)アントワーヌ=ジャン・グロ《アングレーム公妃マリー=テレーズ=シャルロット・ド・フランス(1778-1854)》
右)ディエゴ・ベラスケスの工房《スペイン王妃マリアナ・デ・アウストリア(1634-1696)の肖像》
第3章は、私たちにより身近とも言える市民たちの肖像を扱っています。次第に富と権力を持って行った市民たちが、王侯貴族たちの伝統の肖像様式を引き継いでいったのだとか。
こちらは展覧会の目玉ともなっている、16世紀ヴェネツィアの画家ヴェロネーゼが描いた作品。少しメランコリックにも見える、謎めいた表情が魅力的です。
写真の作品
ヴェロネーゼ《女性の肖像》、通称《美しきナーニ》
左の絵を描いたのは、マリー=アントワネットお気に入りの女流画家として有名な、エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン。フランス革命を逃れて、亡命先のロシアで手掛けた作品です。女流画家ならではの、女性の魅力を描き出すのに長けたその才能に、ル・ブランは国際的な人気を博したそうです。
そして実はル・ブラン自身も美人で有名。右側の彫刻は彼女の肖像です。
左)エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン《エカチェリーナ・ヴァシリエヴナ・スカヴロンスキー伯爵夫人の肖像》
右)オーギュスタン・パジュー《エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン(1755-1842)》
しかめた顔が印象的なこちらは、18世紀の彫刻家メッサーシュミットが刻んだ自分自信の顔。この時代の他の肖像作品に見られない強い表情は、まるで現代アートのようにも見えます。
こちらの作品は、音声ガイドを担当した高橋一生さんが特にお気に入りということで、作品解説のほか、スペシャルトラックでもその思い入れを語っています。
写真の作品
左)フランツ・クサファー・メッサーシュミット《性格表現の頭像》
右)ジャン=バティスト・グルーズ《自画像》
展覧会を見終わったら、もう一つの楽しみはお土産コーナー。幾つかの注目の商品をご紹介しましょう!
写真は、パリの有名な紅茶店マリアージュ・フレールの、会場限定オリジナルブレンド。「イスカンダル」は、マリアージュ・フレールの店舗でも同じ名前の品が販売されていますが、こちらはそれとは異なるブレンドで、会場限定商品となります。
もちろんパッケージも会場限定です。
他にも、和菓子の「とらや」が、パリ展オープン30周年を記念して作った限定商品「エッフェル塔の夕暮れ」なども注目です!
食べ物以外では、「ルーヴル」のロゴが入った会場限定商品や、展示作品をモチーフにした品などが揃っています。アクリルスタンドに作品をアレンジしたガチャポンなども、何が当たるか楽しみですね。
美術館の近くにある東京ミッドタウン(六本木)でも、展覧会とコラボした限定スイーツやメニューを用意しているお店も多いので、ぜひチェックしてみましょう!
最後に、展示室の出口を出ると、こんな顔嵌めパネルが! ここで写真を撮って、自分の姿がルーヴルの所蔵品の1点になった気分を味わうのはいかがですか?
会期:2018年5月30日(水)〜2018年9月3日(月)
休館日:毎週火曜日※ただし8/14(火)は開館
開館時間:10:00〜18:00
※金・土曜日は、6月は20:00まで、7・8・9月は21:00まで
※入場は閉館時間の30分前まで
会場:国立新美術館 企画展示室1E(東京都港区六本木7-22-2)
アクセス:
・東京メトロ千代田線乃木坂駅 青山霊園方面改札6出口(美術館直結)
・東京メトロ日比谷線六本木駅 4a出口から徒歩約5分
・都営地下鉄大江戸線六本木駅 7出口から徒歩約4分
※美術館に駐車場はありません。
2018年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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