写真:宮坂 大智
地図を見る望安までの一般的なアクセス方法は、地元のクルージング会社が夏季に運行しているアイランドホッピングツアーに参加することですが、県政府の定期船でも行けます。ただし、定期船は観光用ではなく暮らしを支えるためのものなので1日に1便しかなく、かつ望安での滞在時間もほとんどありません。もちろん、望安で1泊するのであれば良いのですが、日帰りで離島観光を楽しみたい場合はツアーに参加するのがおすすめです。
高速船は澎湖本島から出発することおよそ30分で望安に到着します。時間はそれほど長くありませんが、船酔いが心配な方は出港の1時間前までには酔い止めを飲んでおきましょう。ちなみに行きよりも帰りのほうが船が揺れるので心しておきましょう。
ところで、島内での移動手段はどうすればよいのでしょうか? 正解は、ツアーの観光バスかレンタルバイクです。望安にはレンタカーもタクシーもありませんのでご注意を。
とはいえ、バイクなんて乗ったことない…50ccのバイクしか乗ったことがない…免許がなくても大丈夫なの? など様々な不安があることでしょう。ですがご安心ください。レンタルバイクのなかには電動バイクもあり、これなら18歳以上であれば免許無しでも誰でも運転できます。最高速度も時速25kmとそれほど速くありません。のんびりと島の景色を楽しむにはちょうどいいスピードですよ。
観光バスはツアーに参加した人しか乗ることができませんので、定期船で行く場合はレンタルバイク一択となりますから、あらかじめ覚悟しておくことが必要です。なお、レンタルバイクショップは港にありますので迷うことなく見つけられます。
写真:宮坂 大智
地図を見るそれではここから望安での一押しスポットをご紹介していきます! まず最初に行きたいのは「花宅(ホワーザイ)」という集落。ここにはなんとサンゴ石や玄武岩を使って築かれた家の町並みが保存されています。集落の歴史自体は300年以上もあり、現在残されている古民家も築100年前後のものばかり。2008年12月に台湾で初めての「重要集落」に選ばれて以降、澎湖の文化局が積極的に古民家の修繕を続けており、毎年10軒近い古民家の修繕が行われています。
写真:宮坂 大智
地図を見る花宅を歩くと美しく立派なサンゴ石造りの古民家に圧倒されます。どの家も趣向を凝らしたデザインになっていますが、特に「曽」さんの家(写真)は波打つような独創的な窓の形や堂々とした門構えに驚かされます。
なお、花宅には倒壊してしまっているもの、住宅として使われているもの、修繕されて資料館になっているものと3種類あります。当然のことですが、資料館になっているもの以外は無断で立ち入ることはできません。
写真:宮坂 大智
地図を見るこの曽さんの古民家は今でも個人が住まわれているお宅です。古民家に興味のある方のために扉は開けたままになっていることが多いですが、綺麗だからといって無断で立ち入るようなことはしないようにしましょう。
もし人がいたら声をかけてみれば、中に招いてくれることもあります。すると、上の写真のような立派な室内を見ることができますよ。
写真:宮坂 大智
地図を見る次にご紹介するのは望安と周りの海を一望できる「天台山(ティエンタイシャン)」です。標高は56メートルしか無いものの、実はこれは澎湖で3番目の高さです。望安の北西に位置するため、望安だけでなく北側にある「虎井(フージン)」や西側の「花嶼(ホワーユー)」などの離島も臨むことができます。
写真:宮坂 大智
地図を見るこの天台山で見ることができるのは景色だけではありません。ここには八仙(日本の七福神のような神様)の1人である「呂洞賓(ルドンビン)」が残したという足跡があります。伝説によると呂洞賓がこの辺りを旅していた時に急にもよおしてしまったため、用を足すために望安と花嶼にそれぞれの足をかけたことで残されたものなんだとか。
花嶼は望安からは20km近く離れているのでさぞかし大きな足跡なのかと思いきや、岩の上には意外と小さな足型の凹みが。風化した玄武岩の模様が偶然にも人の足型のようになったためにこのような伝説が生まれたというわけですね。
望安にあるのは、300年も続く伝統的な集落や天台山、いたるところに広がる砂浜などの息を飲むような景色ばかりではありません。望安には第二次世界大戦の時に作られた特攻兵器「震洋(しんよう)」の基地がありました。
特攻兵器と聞くとほとんどの方はゼロ戦で敵艦に突撃する「神風特攻隊」をイメージすることと思いますが、当時はその他にも様々な特攻兵器が開発されていました。震洋もその中の一つで、大量の火薬を積んだ木製ボートで突撃するというものでした。幸いにも望安の震洋部隊は出撃することなく終戦を迎えましたが、かつてこの島も日本の統治下にあったということを思い知らされ、命がけの兵器を作るような悲しい戦争は繰り返さないようにしなければならないと身の引き締まる思いになることでしょう。
最後に、望安ならではのお土産をご紹介します。特に面白いのは「爆米花球(バオミーホワーチョウ)」という巨大なポップコーンボール。ポップコーンというとなんだか現代的な感じがするかもしれませんが、これは由緒正しい望安の伝統菓子です。
水が少なく穀物があまり育たない望安では、昔はトウモロコシなどしか作ることができませんでした。そこで、夏に収穫したトウモロコシを保存し、必要なときにポップコーンにするという生活をしていたんですね。それを丸くしてシロップなどで固めたものが「爆米花球」です。
望安のお土産屋さんなら大抵のところで売っているので、見かけたらお土産に一つ買ってみてはいかがでしょうか?
その他にも興味深いお土産があります。それは「文石(ウェンスー)」という鉱石です。これは同心円状の美しい模様が入り込んだ世界的にも大変珍しい石です。この模様は溶岩が固まった際に生じた気泡の中に様々な物質が入り込むことによって形作られるもので、「天使の目」とも呼ばれています。
かつて望安は主に澎湖とイタリアのシシリー島でしか産出されない鉱石「文石」の一大産地でした。なお今は文石の採掘は禁じられているので、お店で販売されているのは昔採掘したものを切って加工しているものです。
鉱石なので高価なものですが、天然の模様のため、どの文石も世界にたった一つだけのもの。もしお気に入りの模様を見つけたら、それは運命の出会いかもしれません。
今回は望安をご紹介しましたが、ほとんどのツアーは望安と七美(チーメイ)という2つの島に行きます。どちらも島には2〜3時間滞在しますので、メインの観光スポットを巡るだけでしたら十分です。
七美には澎湖でもっとも有名な景勝地「ダブルハート」もありますので、望安に行きたいという方は、望安と七美の2島に行くツアーに参加すると良いでしょう。
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(2024/3/19更新)
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