雲崗石窟は大同市の郊外にある世界文化遺産で、開削が始まったのはなんと460年(北魏の時代)から。そんな古い時代の遺跡にも関わらず、主要な石仏はきれいな状態で残されており、多くの人々を惹きつけています。
その保存に一役かっているのが、その彫り方。いきなり岩肌に石仏を彫らず、まずは中をくりぬく様に空間を作るスタイルです。
こういった設計のおかげもあって中に彫られた石仏は風雨に直接さらされず、美しい状態で今にその姿を残しているわけです。それにしても石窟の中の天井の高さには驚かされますね。まずこの空間を掘らないといけないわけですから、下準備だけでも相当の労力と情熱が注がれていることが伝わってきます。
雲崗石窟は第一窟から順番に見て廻れるように設計されていますが、4窟と5窟の間にある東谷を登っていくと写真右手にみえる小規模で原始的な石窟を見ることができます。中は風雨にさらされきれいな状態で残ってはいませんが、眺めがよいのでここで一休みをしても良いでしょう。
雲崗石窟の主役のひとつが寺院風の建物で外側を覆われた5窟と6窟。団体ツアー客でごった返すので、入り口で並ぶ必要があるかもしれませんが、絶対に入って欲しいスポットです。
まず中に入って驚かされるのは、色まで残っている保存状態。少しひいてから写真(フラッシュは禁止)を撮らないと全体像がうまくカメラに収まらないサイズにも圧倒されますね。
さらに驚かされるのが大仏の周辺の壁、天井まで彫られている仏像の緻密さと数。無数の仏像に囲まれて大仏が居るという状態です。
この天井や壁を石仏で埋め尽くすスタイルはどんどんエスカレートしていきます。四角柱を彫った上下二段の石仏群だけでも凄いのにその四方の壁・天井まで埋め尽くしてきます。もうどこを見たらよいのか分からないくらいですね。
そしてその石仏のどれもが色鮮やかで精緻なのです。システィーナ礼拝堂なども四方八方を絵で囲まれていますが、こちらは絵ではなく石仏なので立体感があるのではなく、立体そのものです。ぐるりと360度を仏教彫刻に囲まれた圧倒的な3D空間といえるでしょう。
9窟〜13窟(一部修復中で入れず)は石窟そのものも三重構造に発達し、奥行きも加わります。1500年以上前の建造物とは思えない鮮やかな保存状態に度肝を抜かれますね。ちなみに石窟の中はひんやりと涼しいので、夏場でもゆっくりと眺める(拝む!?)ことができます。
雲崗石窟が開削された初期に彫られた石仏(16〜20窟)も違った意味で凄いです。それはとにかくデカイのです。曇曜五窟と呼ばれる巨大石仏が居並び、窓から顔を覗かせる姿は圧巻の一言です。
そして雲崗石窟の主とも言えるのが20窟の大仏です。直接岩肌に彫られているので遠くからでもその姿を見ることができ、シンボル的な存在になっています。この石窟を見た後に入り口に引き返しても良いのですが、後述する園内の「雲崗博物館」に近い場所にあるので、そちらにも立ち寄って欲しいところです。
雲崗石窟には駐車場とチケットオフィスを抜けて巨大石柱の立つ回廊を抜け、さらに大きな寺院を通り抜けてアクセスします。これら途中の建造物に気をとられてはいけません。というのもエリア内を散策するのは閉門時間(18時または18時半)までは可能なのですが、「雲崗博物館」は16:45分で閉館してしまうためです。
入館料はチケット代に含まれているので、入園した時間帯によっては先に石窟と博物館を見て、あまった時間で寺院を見学するのが良いでしょう。
雲崗石窟そのものは東西1kmほどですが、入り口から園内の最深部まで歩くと1.5km近くになります。その最深部に位置するのが瓦のような形をした雲崗博物館です。入館は無料ですのでぜひ訪れましょう。
中の展示は凝っており、ホール奥には仰ぎ見るしかなかった第20窟の大仏の頭部のレプリカ(アタマだけで5m近くあります)が鎮座しています。館内は結構広く急いで見て廻っても30分以上かかるでしょう。
出土品を含む展示物は貴重なものばかり。展示方法に趣向が凝らしてあり、滞在していて楽しい博物館です。ただし前述の通り最終入館が16:45までなのでその点、注意しましょう。
雲崗石窟はこの博物館を含めないでも最低2時間は見て廻るのにかかります。ただトイレや売店は各所にあり、有料で園内を走る電気カートにも乗れますので、体力に自身がない人でも問題なく見学できると思います。
それでは気をつけて行ってらっしゃいませ〜。
住所:大同市礦区市雲崗鎮武周山麓
電話番号:+86-352-3029625
アクセス:大同市内からバスまたはタクシーで30分。あるいは大同からの日帰りローカルバスツアー(300元前後)に参加
料金:125元/1名
2018年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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