金沢城の石垣はよりどりみどり!美意識高すぎて好きになっちゃう

金沢城の石垣はよりどりみどり!美意識高すぎて好きになっちゃう

更新日:2019/04/27 14:32

いなもと かおりのプロフィール写真 いなもと かおり 城マニア・観光ライター
北陸新幹線の開通により、東京方面からの距離がグッと近くなった石川県金沢市。北陸を代表する観光都市には、加賀藩前田家の居城があります。金沢城は通称「石垣の博物館」と呼ばれるほど、様々な種類の石垣が見学できるスポット。これらは築城から廃城までの間に、改修や構築が繰り返されてきたからこそなのです! そんな金沢城で見られる石垣たちをご紹介します。

石川県を代表する観光スポット「金沢城」とは?

石川県を代表する観光スポット「金沢城」とは?

写真:いなもと かおり

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2008年に国指定史跡となった金沢城は、佐久間盛政によって築かれました。盛政の死後は、前田利家が入城。よく耳にする「加賀百万石」という言葉は、金沢城を居城とした加賀藩が100万石以上を有した大きな藩だったからなのです。

石川県を代表する観光スポット「金沢城」とは?

写真:いなもと かおり

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イメージする「城」は雄大な天守がそびえる姿ですが、金沢城の天守は1602年に焼失。その後、築かれることはありませんでした。遺構は、石川門や三十間長屋、鶴丸倉庫などです。

平成になってからは、菱櫓、五十間長屋、橋爪門続櫓、河北門をはじめとする復元が次々と行われています。年を追うごとにどんどん変化する金沢城! 2018年は鼠多門の復元工事が行われている最中で、2020年の完成を予定しています。二重二階の櫓門が130年ぶりの復活を遂げるのです。

石川県を代表する観光スポット「金沢城」とは?

写真:いなもと かおり

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そんな金沢城では、石垣にも注目! 例えば、この石川門の石垣は、角を境に左右で異なりますね! これは石の積み方・加工の仕方が異なるため。火事にあった門を修復する際に、被害が少なかった石を再利用したのが左側の石垣。また、新しい技術で修築されたのが右側の石垣です!

石垣は実に奥深い城の遺構です。面白いからこそ見て欲しい石垣は他にもあります。

石垣のココに注目して欲しい!

石垣のココに注目して欲しい!

写真:いなもと かおり

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<東の丸東面、高さ21mの石垣>
圧巻の高石垣を拝みたい方は、東の丸東面がおすすめです! 辰巳櫓や丑寅櫓があった東面の石垣は、1592年〜95年頃に築かれた、金沢城内で最も古い石垣です。まだ高い石垣を築く技術がなかったため、小段を設けています。トータルの高さは21m、自然石を積み上げた「野面積み」という工法です!

石垣のココに注目して欲しい!

写真:いなもと かおり

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<大手門の「鏡石」>
大手とは、いわゆる城の正面玄関のこと。ここでは、人の背丈よりも高い巨石に注目です! 「鏡石」と呼ばれるこの大きな石は、わざと目立つ場所に設置され、藩の技術力を誇示するために用いられました。全国の近世城郭でも、門にはひと際大きな石が共通して見られるので、気にしながら散策してみて下さい。

石垣のココに注目して欲しい!

写真:いなもと かおり

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<二の丸北面の石垣>
二の丸北面にある石垣は「打込みハギ」または「粗加工石積み」と呼ばれる技法で積まれています。この技法は、表面や角を加工した石を積んだもので、野面積みよりも隣の石との接合部分が増えるため、隙間が少なくなります。つまり、敵兵が登る際の取っ掛かりが少なくなるメリットがあるのです!

特に同じ大きさの石を揃えた二の丸北面の石垣は、打込みハギのなかでは城内でも最も完成度が高く、美しい石垣を眺めることができます。

芸術的すぎる!アーティスティックな石垣

芸術的すぎる!アーティスティックな石垣

写真:いなもと かおり

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<玉泉院丸庭園の「色紙短冊積み」>
2015年春に復元された玉泉院丸庭園は、3代藩主利常が作庭した池泉回遊式の大名庭園です。おもてなしに使われた兼六園に比べて、藩主が楽しむために創成された内向的な庭としての性格が高かったと考えられています。

例えるならば銭湯に描かれた富士山のように、庭園の借景として組まれた石垣。「色紙短冊積み」と呼ばれる芸術作品は、現在の私たちの価値観でも美しいと感服されられます! 石垣を整えたのは5代藩主綱紀。もしかしたら、彼は筆者と同じ石垣マニアなのかもしれません。

芸術的すぎる!アーティスティックな石垣

写真:いなもと かおり

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<三十間長屋の「金場取り残し積み」>
幕末に建てられた三十間長屋は、武器庫として使用されていました。この長屋の石垣は「金場取り残し積み」という技法が用いられています。表面をよく見ると、石の縁だけが整えられていることがわかります。石色の配置にも気を遣い、カラフルでデザイン性の高い石垣です!

芸術的すぎる!アーティスティックな石垣

写真:いなもと かおり

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<土橋門石垣の「亀甲石」>
当時の人の「願い」が読み取れる石垣もあります。二の丸土橋門にある六角形の石は「亀甲石」という、おまじないの石です。水の中で生きる亀の甲羅の形をしていることから、防火への祈りが込められていると考えられています!

まだある!刻印も盛り盛り

まだある!刻印も盛り盛り

写真:いなもと かおり

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金沢城内には、なんと200種類を超える「刻印」が確認されています。刻印とは、石に彫られたマークのこと。金沢城の場合は、採掘場での目印として、または石を加工するステップに移った時のメッセージとして刻まれたのではないかと考えられています。

極楽橋の石垣は、特に刻印が多いスポット! この刻印は、ただのマークではなく、昔の人が刻んだ歴史を今の世に目視できるという点に価値があります。触れてみたら、タイムスリップした気持ちになるかも!

石垣を詳しく知る!充実の石垣解説展示

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写真:いなもと かおり

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金沢城で使われている石は、金沢市郊外にある山から運ばれました。戸室山一帯には1,300ヶ所の採掘場跡が確認されています。戸室石と呼ばれる角閃石安山岩は火山岩の一種で、噴出したマグマが冷え固まったものです。

石垣を詳しく知る!充実の石垣解説展示

写真:いなもと かおり

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金沢城では、石垣について解説展示したスペースもあります。先に紹介した「打込みハギ」の石積み構造や、石をガッチリ加工して隙間なく積んだ「切込みハギ」についても学ぶことができますよ。

石垣を詳しく知る!充実の石垣解説展示

写真:いなもと かおり

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なかには、出土した石垣もあるので石工職人になった気持ちで、じっくりと観察してみてください。

ひとえに石垣といえども、これほどの楽しみ方があります! 城によっても石垣の積み方は異なりますが、金沢城ほど幅のある石垣散策スポットはありません。建物だけが全てではなく、石垣だって城の遺構。城を作る大事なピースなのです。石垣旅を満喫するならば、金沢城がおすすめ! きっと、あなたも石垣にゾッコンになります。

金沢城公園の基本情報

住所:石川県金沢市丸の内1番1号
電話番号:076-234-3800(石川県金沢城・兼六園管理事務所)
アクセス:
・北鉄金沢バス
金沢駅兼六園口(東口)7番のりばより「北鉄金沢バス [11]錦町B 東部車庫行」に乗車、「兼六園下・金沢城」にて下車し徒歩1分

・城下まち金沢周遊バス
JR金沢駅より、城下まち金沢周遊バス(右回りルート)に乗車、8番停留所「兼六園下・金沢城(石川門向い)」下車すぐ
城下まち金沢周遊バス(左回りルート)に乗車、9番停留所「兼六園下・金沢城(白鳥路前)」にて下車すぐ

・兼六園シャトル
JR金沢駅兼六園口(旧東口)6番のりばより兼六園シャトルに乗車、8番停留所「兼六園下・金沢城(石川門向い)」にて下車すぐ

2018年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2018/06/13 訪問

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