クジラの洞窟に野菜の住宅?魅力的な台湾の離島「小門」

クジラの洞窟に野菜の住宅?魅力的な台湾の離島「小門」

更新日:2018/07/31 16:46

宮坂 大智のプロフィール写真 宮坂 大智 村おこしNPO法人ECOFF代表理事、日本島嶼学会会員、国際島嶼学会会員、東京農業大学探検部OB
「小門(シャオメン)」は、台湾の離島澎湖(ポンフー)本島から橋を4つ超えた場所にある島。といっても澎湖の中心地からは車で約40分。スクーターでも気軽に行ける距離にあります。

本島エリアの中で最も小さい島にもかかわらず、ここには連日観光客が訪れています。その秘密はズバリ、世界遺産に匹敵する自然資源、そしてグルメです。それでは魅力たっぷりの小門をご紹介します。

新鮮なヤリイカとさっぱりスープのにゅうめんがベストマッチ! 澎湖名物「小管麺線」

新鮮なヤリイカとさっぱりスープのにゅうめんがベストマッチ! 澎湖名物「小管麺線」

写真:宮坂 大智

澎湖本島エリアの中でも一番遠くにある島「西嶼(シーユー)」にある、渡ったことに気づかないくらい小さな橋を渡るとそこは小門島。迫力のある柱状玄武岩の間をすり抜け、横目に広がる素朴な漁港を通り抜けると駐車場が現れます。更に奥には庶民的な食堂が立ち並ぶ歩行者専用ゾーンがありますので、小門に来たらまずここで腹ごしらえをしましょう。

どのお店でも澎湖名物の「小管麺線(シャオグワン ミエンシエン)」や、「海膽炒蛋(ハイダン チャオダン)」などの海鮮料理に舌鼓を打てます。小管麺線はさっぱりとした出汁のスープに澎湖産のヤリイカと手延素麺が入った「イカにゅうめん」で、海膽炒蛋はウニと卵をいっしょに炒めた「ウニオムレツ」です。また、ウニ漁の解禁となる時期(例年7月1日から8月31日までの2ヶ月間)は、新鮮なウニを刺し身や焼きウニにして食べることもできます。

真夏ににゅうめん? と思われるかもしれませんが、さっぱりとしたお味なので意外とスープまで飲めてしまいます。どのお店も新鮮なイカを使っているので、歯ごたえは予想を裏切らずぷりっぷり。ぜひご賞味あれ。

自然が作った神秘の海蝕洞「鯨魚洞」とその伝説

自然が作った神秘の海蝕洞「鯨魚洞」とその伝説

写真:宮坂 大智

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さて、お腹がいっぱいになったらお散歩をしましょう。小門に来たら絶対に見逃したくないのが海蝕洞「鯨魚洞(ジンユウドン)」です。溶岩が海水や空気によって急激に冷やされると柱状の玄武岩になることがあるのですが、鯨魚洞はこの玄武岩の塊が海水で削られてできたものです。

自然が作った神秘の海蝕洞「鯨魚洞」とその伝説

写真:宮坂 大智

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巨大な岩塊にぽっかりと空いた海蝕洞は遠くから眺めても迫力抜群ですが、体力のある方はぜひ岩の上まで登ってみてはいかがでしょうか。足元には何百万年という年月をかけて削られた不思議な模様が広がり、目線の先にはキラキラとかがやく真っ青な海が飛び込んできます。もちろん、先っぽは崖になっているのであまり近づかないように気をつけて。真夏でもここには頬をなでる心地よい海風が吹いています。

この鯨魚洞は、一般的には鯨の形をしているため鯨魚洞と呼ばれるようになったとされていますが、実はこれは半分正解で半分は間違い。もう一つの由来は、大昔に3回も鯨がこの場所に座礁したからというもの。

地元の人に語り継がれている伝説によると、1度目の座礁は子どもの鯨で、2度めの座礁はその子を助けようとしたお母さん鯨だったそう。そしてこの時に座礁した鯨を島民が食べてみたところ、なんと鯨を食べた人は全員亡くなってしまったとか。その後に起きた3回目の座礁の時には神様にお伺いを立ててから食べたところ、全員無事だったのだと伝えられています。このような出来事があったことから鯨魚洞と呼ばれるようになったというわけです。

先人の努力と知恵の結晶「菜宅」の広がる風景

先人の努力と知恵の結晶「菜宅」の広がる風景

写真:宮坂 大智

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鯨魚洞を堪能した後は、まっすぐには戻らずに左側にある階段を下りて集落の方に戻りましょう。階段の下の平地に無数の石垣があることに気付くはずです。これは「菜宅(ツァイザイ)」と呼ばれる澎湖の伝統的な畑です。石垣の材料はサンゴ岩が一般的ですが、ここ小門の場合はサンゴ岩があまり採れなかったため、玄武岩で組み立てられているのが特徴です。

菜宅の役割は、冬の強い季節風から作物を守ることです。そのため、よく見るとより効果を高めるために、風が吹く北東側の壁は高く、風が通り抜ける南西側の壁は低くなるようにできているものもあります。この菜宅は現在は使用されていませんが、2018年春から菜宅の景観と文化を守るために復旧作業が行われています。2018年中には作業が完了して美しい光景が戻る予定です。

「小門地質館」で遙かなる澎湖の歴史に触れてみよう

「小門地質館」で遙かなる澎湖の歴史に触れてみよう

写真:宮坂 大智

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鯨魚洞と菜宅を見学したら少々休憩をしましょう。小門には澎湖の地質のことを解説した無料の資料館「小門地質館」があります。ここでは専門的な年表から、澎湖各地で見ることができる様々な柱状玄武岩の写真が展示されていたり、バラエティ豊かな玄武岩の見本も置かれているので、目で見て、手で触って澎湖のことを学べるようになっています。澎湖は高い木や建物がなく日陰が少ないので、こういった施設があったら積極的に利用しましょう。お手洗いもあります。

小門一周シーカヤックに参加して五感で澎湖を感じよう

小門一周シーカヤックに参加して五感で澎湖を感じよう

写真:宮坂 大智

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小門は面積0.5平方キロメートル、周囲4キロの小さな島ですが、美しい砂浜、迫力のある柱状玄武岩、月の世界のように荒涼とした地形、サンゴの広がる青く透き通った海、素朴な漁港など数多くの世界観を内包しています。そんな小門を一番実感できる方法がシーカヤックでの島一周ツアーです。

午後3時に砂浜からスタートし、ゆっくりゆっくり時間をかけて小門の周りを海と一体になりながら漕いでいきます。海からしか見ることができない景色を楽しめるのはもちろんのこと、海抜0メートルからの光景には息を呑むほどの迫力と美があります。なにしろ、左を向けば遥かに広がる台湾海峡、右を向けば小門の迫力のある断崖絶壁、海を覗き込めばサンゴや魚達の世界を覗き込めるのですから。

最後は波がほとんどない穏やかな漁港を通り、スタート地点の砂浜の近くで夕日を眺め、シャワーを浴びてすっきりとしたら小門名物のグルメを楽しめます。半日かかるツアーなので、参加できる方は限られるかもしれませんが、アウトドアアクティビティが大好きな方なら見逃せません。

小門は、台湾の離島「澎湖(ポンフー)」と橋で繋がっている離島

今回ご紹介した離島「小門」は、台湾の南東部にある離島「澎湖」のなかにある小さな島です。島とはいえ、澎湖本島からは橋で繋がっているので気軽に行くことができます。

小さな島ながらも見どころがたくさんありますので、ぜひ時間をかけて見てみてください。

<小門へのアクセス>
車:澎湖本島から県道203号線を北へ進み、澎湖跨海大橋を渡り、西嶼に入ったら澎2号線を右折。所要時間約40分

バス:「馬公總站」などから外安(土偏に安)線に乗車し、「小門内」で下車。時間帯によっては通過するので注意。所要時間約40分

2018年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2018/07/24 訪問

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