日本一のキレンゲショウマ群落と雲上登山〜徳島県・剣山〜

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日本一のキレンゲショウマ群落と雲上登山〜徳島県・剣山〜

日本一のキレンゲショウマ群落と雲上登山〜徳島県・剣山〜

更新日:2018/07/06 15:32

春野 公比呂のプロフィール写真 春野 公比呂 歴史研究家、郷土文筆家、郷土登山家

宮尾登美子の小説『天涯の花』の中で、「月光のように澄み、清らかに輝いていた」と称されたキレンゲショウマの全国一の群落地で小説の舞台である剣山は西日本第2位の高山で、「花の百名山」に選出されているほどの山野草の宝庫でもあります。一方、安徳帝伝説のある四国随一の岩塔等、各種伝承地や雲を見下ろす高山の絶景も特筆すべきものがあります。徳島県三好市側からリフトを利用して楽々「花登山」をお楽しみ下さい。

リフト下に列をなすニッコウキスゲ

リフト下に列をなすニッコウキスゲ

写真:春野 公比呂

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日本百名山の一座でもある剣山は三角点(1954.7m)のある最高所のピークと山小屋や剣山本宮のあるピークから成り、後者は三好市と那賀町、美馬市の境界に位置し、それぞれから登山道が通じています。その中で園児でも登ることができる最短コースが、三好市側の見ノ越(みのこし)から「剣山登山リフト」を利用するコースです。

15分の空中散歩で中腹に到達することができますが、リフト下部には黄色いニッコウキスゲが植栽されており、花が列をなして出迎えてくれているようでもあります。本来、この花の自生分布は北海道から本州の中部地方にかけてで、花期は6〜8月です。

リフト下に列をなすニッコウキスゲ

写真:春野 公比呂

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標高1710m(コース図によっては「1750m」と誤記)地点のリフトの西島駅に到着すると、複数のコースがあるのですが、トイレ横からの「尾根道コース」を登ります。道沿いはきれいなミヤマクマザサに覆われています。

このコースなら山頂まで約40分ですが、キレンゲショウマを始めとした山野草が多く自生している箇所へ向かうには、途中の「刀掛の松」のある分岐を左折します。枯死して二つに折れて倒れている白骨樹が刀掛の松で、安徳帝一行が剣山に潜幸時、ここで休憩して刀を掛けた伝説があります。

リフト下に列をなすニッコウキスゲ

写真:春野 公比呂

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刀掛の松から180m進むと分岐がありますが、一方通行になっているため、直進の道を進むしかありません。キレンゲショウマの群落は両方の道沿いにあります。どちらの道にも修験行場の入口があり、所々垂直の岩盤が屹立しています。当コースでは、「お鎖」と呼ばれる岩の割れ目に設置された登攀鎖を過ぎると、遂にキレンゲショウマ群落が現れます。

キレンゲショウマとカニコウモリの群落

キレンゲショウマとカニコウモリの群落

写真:春野 公比呂

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キレンゲショウマの花期は7〜8月ですが、お盆期間なら確実に満開になっています。茎の高さが1m近くになる大型多年草で、西日本最高峰の石鎚山を擁す石鎚山系にも咲いています。沢沿い等陰地に自生しているケースが多く、レモンのような明るい黄色はよく映え、まさに月光の輝きのよう。

キレンゲショウマとカニコウモリの群落

写真:春野 公比呂

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キレンゲショウマ群落の手前にはセリ科のツルギハナウドが咲いているのですが、群落を過ぎると同じウドのシコクシシウド(写真)も咲いています。後者はまるで打ち上げ花火のようで、気品も感じられます。

キレンゲショウマとカニコウモリの群落

写真:春野 公比呂

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両剣神社の箇所で分かれていたコースが一つになります。先に進むと県屈指の大河・穴吹川源流の谷があり、滝も落下しています。そこから20分弱ほどで今度はキク科カニコウモリの群落が現れます。コウモリソウは葉の形が、コウモリが羽を広げた様に似ているのですが、中でもカニコウモリはカニの甲羅にも似ています。花は非常に小さく可憐。

一ノ森のシコクフウロ群落と高原の剣山

一ノ森のシコクフウロ群落と高原の剣山

写真:春野 公比呂

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このコースは剣山東方の県で第4位の標高を誇る「一ノ森(1879.2m)」の最短登山コースでもあります。一ノ森から剣山まで縦走すると回遊になることから、人気のコースになっています。
一ノ森は五葉松が有名ですが、山頂北の一ノ森ヒュッテ周辺には、四国の代表的な高山植物「シコクフウロ」の群生地があります。淡紅紫色の花にはまるで血管のような濃色の脈が走っており、ミヤマクマザサの緑によく映えます。

一ノ森のシコクフウロ群落と高原の剣山

写真:春野 公比呂

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一ノ森は高山のため、当然森林限界を超えており、パノラマが広がっているのですが、高山故に夏場はガスがかかることも多くなります。それでも五葉松の大木や白骨林が山の点景となっています。

一ノ森のシコクフウロ群落と高原の剣山

写真:春野 公比呂

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一ノ森から剣山までの縦走路はミヤマクマザサに覆われた展望の雲上コース。登るごとに剣山の雄姿が迫ってきます。
剣山の山上一帯は広大な高原のようになっており、ミヤマクマザサ保護のために敷かれた木道を歩き、皆、各所で景色を楽しんでいます。

圧倒される巨大岩塔

圧倒される巨大岩塔

写真:春野 公比呂

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山上周囲にガスがかかっていても時間が経てばある程度雲が流れ、視界が一部開けてきます。雲が視線の下を流れる様は、西日本ではよほどの高山でないと見ることができず、四国では石鎚山系と剣山系に限られます。

圧倒される巨大岩塔

写真:春野 公比呂

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山上の一角、剣山本宮の上には宝蔵石という巨石があるのですが、この石の下には安徳帝が宝剣を埋めたという伝説があります。

圧倒される巨大岩塔

写真:春野 公比呂

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山頂からは西下の「二度見展望所」へと下ってみましょう。ここまで下ればガスもある程度なくなり、展望が開けています。そこからは「日本百名水」の一つ、「御神水(おしきみず)」へと向かうのですが、御神水の上には四国屈指の岩塔「御塔石」がそそり立っています。神威を感じるほどの圧倒的な迫力です。

御神水(写真右下の鳥居のある所)は安徳帝が平家再興祈願のため、御塔石の上に建つ大剣神社に禊いだ髪を奉納する際、使用した水。御神水から大剣神社へ上がると、刀掛の松への道が通じています。

尚、花には興味がなく、剣山と一ノ森の登頂のみを目的とする場合は、那賀町側の剣山スーパー林道から県第6位の標高の槍戸山(1824.6m)に登り、一ノ森から剣山へ縦走し、豪快な法螺貝の滝を経由してスーパー林道に戻るとダイナミックな山旅を楽しめます。健脚コースになるため、足に自信のない方は一ノ森ヒュッテや剣山の山小屋に宿泊するといいでしょう。その回遊コースについては「関連MEMO」リンクをご参照下さい。

剣山の基本情報

所在地:徳島県三好市東祖谷菅生と那賀郡那賀町岩倉との境界(三角点の場所)
登山リフト運行期間: 4月中旬〜11月末頃
コースタイム:4時間ほど
宿泊所:見ノ越、剣山、一ノ森にあり
問合せ先: 0120-404-344(三好市観光案内所)
アクセス: 徳島自動道 美馬ICから車で国道438号線経由、約90分。登山シーズン中は各方面からバスの便あり。

2018年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2011/08/14 訪問

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