滝が移動する?雪舟も描いた大分の名爆「沈堕の滝」

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滝が移動する?雪舟も描いた大分の名爆「沈堕の滝」

滝が移動する?雪舟も描いた大分の名爆「沈堕の滝」

更新日:2018/07/11 09:22

小野 浩幸のプロフィール写真 小野 浩幸 ミステリアス・スポット研究家

大分県の大野川にある「沈堕(ちんだ)の滝」は、雄大な眺めと豊富な水量が見応えのある滝として有名ですが、長い年月をかけて移動していたという事実はあまり知られていません。滝が移動するなんてにわかに信じられないかもしれませんが、その謎をとく鍵は、このエリアを形成している地質にありました。他にも様々な逸話の残る不思議な「沈堕の滝」をご紹介します。

中世から近世「沈堕の滝」の歴史

中世から近世「沈堕の滝」の歴史

写真:小野 浩幸

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沈堕の滝とは、雄滝(おだき)と雌滝(めだき)の2つの滝のことで、県道26号線沿いの展望所から眺めることができます。この滝の勇壮さは、室町時代の画僧雪舟の目にもとまり、「鎮田瀑図」として描かれ、広く知れ渡りました。展望スポットには滝を説明や模写図があり、この絵を見る限りでは雄滝と雌滝が近くに並んでいるように思えてしまいます。

地元の伝承によると、今から150年ほど前には、滝は現在の場所から240m下流の位置にあったそうです。ということは1年間で1.6m移動していたという計算になります。これは一体、どういう現象なのでしょう?

今から9万年前におこった阿蘇山の大噴火で流れてきた火砕流が、大野川流域を埋め尽くしました。阿蘇溶結凝灰岩と呼ばれる柔らかい地質です。元々、落差もあり水量も豊富な滝であったため、滝の川床や岩盤も水圧に耐え切れず崩落を繰り返し、徐々に上流へとその位置をずらしていったのです。

中世から近世「沈堕の滝」の歴史

写真:小野 浩幸

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雄滝は高低差約20m、幅約100mある雄大なもので、地元では「豊後のナイアガラ」とか「大野のナイアガラ」と呼ばれ親しまれています。

中世から近世「沈堕の滝」の歴史

写真:小野 浩幸

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展望所の右下を覗き込むようにして見える雌滝は、高低差18m、幅4mほどの小さいながらも美しい滝。ですが、展望所のすぐ近くには、「岡藩滝落としの刑場跡」というものものしいスポットもあります。江戸時代、容疑者が罪を犯したのか無罪なのか分からなかった場合、百叩きの上、ここから滝壺へ突き落として、死んでいれば有罪、生きていれば無罪放免とする裁きがあったとのことです。

近代化遺産「沈堕発電所跡」を見る

近代化遺産「沈堕発電所跡」を見る

写真:小野 浩幸

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明治の終わりには、水力発電所がつくられました。沈堕の滝(雄滝)の落差を利用して発生した電力は、現大分市の電灯・電力供給に充てられたほか、別府と大分を結ぶ電気鉄道にも利用されました。

近代化遺産「沈堕発電所跡」を見る

写真:小野 浩幸

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沈堕の滝や発電所跡をじっくり見学する場合には、「ちんだの滝ふれあい公園」を訪ねると良いでしょう。駐車場やトイレも整備されており、水力発電の展示物なども見ることができます。

近代化遺産「沈堕発電所跡」を見る

写真:小野 浩幸

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沈堕発電所跡には遺構が残っており、石造りの壁にはアーチの美しい窓など近代建築の片鱗を感じます。

「沈堕の滝」はダムと融合している?

「沈堕の滝」はダムと融合している?

写真:小野 浩幸

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沈堕発電所跡の遺構の上を通って、雄滝の近くへとアプローチできる遊歩道が整備されています。沈堕の滝を深く知るうえでも遠くから眺めているだけでは分からないことがありますので、是非とも行ってみてください。

「沈堕の滝」はダムと融合している?

写真:小野 浩幸

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雄滝を良く見てみると、滝が二段になっていることが分かります。発電所の建設に続いて、取水用の高さ5.5mの堰堤がつくられました。つまり、そこから上流は沈堕ダムなのです。
前述したように雄滝は岩盤の崩落が続き、かなり早いペースで上流に近づき、このままでは堰堤も一緒に崩落する危険性がありました。この危機をすくったのが、堰堤の管理者である九州電力です。1998年に川床や岩盤の補強工事を行ったことで、滝の移動と景観の消滅を防いだのです。以来、沈堕の滝は「不動の滝」となりました。

「沈堕の滝」はダムと融合している?

写真:小野 浩幸

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さらに滝と堰堤の間に岩のようなものがあるのを目視することができます。これは補強工事の際に取り付けたもので、旧来あったと云われる「十一条」の滝の流れを復元したものなのです。

「沈堕の滝」が持つ数奇な運命

「沈堕の滝」が持つ数奇な運命

写真:小野 浩幸

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沈堕の滝をもっと良く見てみたいという方や時間にゆとりのある場合は、少し下流に架かる大野橋を渡って対岸へ降りてみると良いでしょう。正面からの雌滝や柱状節理、絶壁へ落とされるお裁きの恐怖がより理解できると思います。

「沈堕の滝」が持つ数奇な運命

写真:小野 浩幸

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長い時間をかけて上流へ移動するという沈堕の滝。雪舟をはじめ数多くの人々を魅了してきた瀑布は、人間の技術力によって一旦現状の姿をとどめていますが、何かの理由で再び動き出すことがあるかもしれません。

沈堕の滝の基本情報

住所:大分県豊後大野市大野町矢田
アクセス:JR豊肥本線豊後清川駅より車で約10分

2018年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/06/12 訪問

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