炭坑節発祥「石炭記念公園」に建つ福岡「田川市立石炭・歴史博物館」

炭坑節発祥「石炭記念公園」に建つ福岡「田川市立石炭・歴史博物館」

更新日:2018/08/20 14:44

肥後 球磨門のプロフィール写真 肥後 球磨門 一人旅ブロガー
「月が出た出た〜月が出た」で始まる炭坑節の発祥地である福岡県田川市には、炭鉱の歴史を象徴する高さ45メートルの巨大な2本の煙突が建つ「石炭記念公園」があります。公園と同じ敷地内には石炭と炭鉱をテーマにした「田川市石炭・歴史博物館」があり、日本の近代化を支えた炭鉱の歴史について学ぶ事ができます。

炭坑節発祥の地 田川市「石炭記念公園」

炭坑節発祥の地 田川市「石炭記念公園」

写真:肥後 球磨門

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“月が出た出た月が出た”で始まる炭坑節が生まれたのが福岡県田川市の「三井田川鉱業所伊田抗」です。 かつて筑豊炭鉱随一の規模を誇った伊田坑の跡地に整備されたのが「石炭記念公園」で田川市の代表的な公園のひとつです。園内に「炭坑節発祥の地」の碑が堂々と建っています。

炭坑節の歌詞の『月が出た』に続く『三池炭鉱の上に出た』という歌詞が一般的ですが、「三池炭鉱」は実は福岡県大牟田市にあり、三井炭鉱のある田川市と三池炭鉱のある大牟田市のどちらが発祥かで長年もめていました。そこで両市長の話し合いで三井炭鉱の有る田川市が炭鉱節発祥の地ということで落ち着き、現在は「三井炭鉱の上にでた」という歌詞になっています。ややこしい話ですが正しく決着がついてよかったです。

炭坑節発祥の地 田川市「石炭記念公園」

写真:肥後 球磨門

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碑に近づくとセンサーが作動して炭坑節が流れてきます。周囲には歌詞そのものの風景が広がっています。

炭坑節に出てくる、あの煙突が今も残る記念公園

炭坑節に出てくる、あの煙突が今も残る記念公園

写真:肥後 球磨門

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石炭記念公園内には二本の煙突(伊田竪坑第一・第二煙突)が当時の姿のまま保存されています。“あんまり煙突が高いので〜 さぞやお月さん煙たかろ、サノヨイヨイ”と炭坑節の中に登場する煙突で、その高さは45メートル、田川市のシンボルです。この煙突からモクモクと立ち上る煙でさぞかし月も煙たいだろうと歌った、石炭産業が盛んだった当時の情景がよみがえります。

炭坑節に出てくる、あの煙突が今も残る記念公園

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煙突の他にもう一つ炭鉱の象徴が残っています。それが明治42(1909年)に作られた高さ28.4メートルのイギリス製の竪坑櫓(たてこうやぐら)です。「竪坑」とは、垂直に掘られた坑道のことで、この櫓に取りつけたケージ(かご)で地下から採掘される石炭を引き上げていました。この櫓の完成で採炭は飛躍的に増加し伊田坑は筑豊炭田の中心地になったのです。

伊田竪坑第一・第二煙突と伊田竪坑櫓は、築造当時の位置を変えずに残されている歴史遺産で、国登録有形文化財に登録されています。石炭記念公園を散策し炭坑節が誕生した当時の盛況ぶりを思い浮かべてはいかがでしょうか。

炭鉱の歴史を学ぶ「田川市立石炭・歴史博物館」」

炭鉱の歴史を学ぶ「田川市立石炭・歴史博物館」」

写真:肥後 球磨門

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石炭記念公園の敷地内に「田川市立石炭・歴史博物館」が建っています。石炭に関する資料がおよそ1万5千点も所蔵される博物館で、石炭のなりたちや採掘の様子、炭鉱で働く人々やその生活などが詳しく紹介されているおススメの施設です。

炭鉱の歴史を学ぶ「田川市立石炭・歴史博物館」」

写真:肥後 球磨門

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館内は3つの展示室があり、第一展示室は三井田川鉱業所の歴史、手掘りや機械堀りの採炭道具や機械、坑道のジオラマなどが展示され石炭産業の歴史が詳しく説明されています。
写真は150分の1に縮小された伊田坑の模型で、いかに炭鉱が大きかったが実感できます。

炭鉱の歴史を学ぶ「田川市立石炭・歴史博物館」」

写真:肥後 球磨門

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炭鉱というと男性労働者を思い浮かべますが、昭和初期頃までは意外な事に女性も構内作業をしていたことがジオラマから分かります。

炭鉱内の作業の様子がさらに分かるのが第二展示室に展示されている山本作兵衛の炭坑記録画です。炭鉱労働者としての仕事や生活を丹念に描いた記録画で、平成23年(2011年)に国内初のユネスコ世界記憶遺産に登録されました。
第三展示室では、「田川地方の歴史と民俗」をテーマに考古資料や民族史料など田川地方の歴史を学べる展示になっているので、他の展示とあわせて見学をおススメします。

炭坑従事者の生活を学ぶ「産業ふれあい館」

炭坑従事者の生活を学ぶ「産業ふれあい館」

写真:肥後 球磨門

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館内の展示場の他に『屋外展示場』があり、採炭や運搬などに実際に使用された「ロードヘッダー」と呼ばれる機械や炭坑内に人を運んだ「人車」などが展示されています。これだけの炭坑機械を一堂に集めた展示は、全国的にも珍しく必見です。

炭坑従事者の生活を学ぶ「産業ふれあい館」

写真:肥後 球磨門

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屋外別棟には「炭住(たんじゅう)」と呼ばれた炭鉱住宅を再現した『産業ふれあい館』があります。

炭坑従事者の生活を学ぶ「産業ふれあい館」

写真:肥後 球磨門

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内部は明治・大正・昭和期の炭住の間取りが再現され、炭坑労働者の生活の様子がうかがえます。昭和期の炭住では食事の準備をする割烹着姿の奥さんと、仕事を終えた旦那さんが一杯やっている姿が再現されています。近寄ると話しかけてくるので、ちょっとお付き合いして昭和時代の炭坑労働者の生活に触れてみてはいかがでしょうか。

田川を含む筑豊地方の炭田は国内最大の出炭量を誇り三井田川鉱業所伊田坑はその中の主力坑でした。そこで有名な「炭坑節」が誕生したのです。炭坑節に登場する高い煙突が残る石炭記念公園、炭鉱の歴史が学べる「田川市立石炭・記念博物館」は炭坑節発祥の地「田川市」を振り返るおススメの観光スポットです。

田川市立石炭・歴史博物館の基本情報

住所:福岡県田川市大字伊田2734番地1
電話番号:0947-44-5745
アクセス:JR九州および平成筑豊鉄道「田川伊田駅」から徒歩5分
開館時間:9:30〜17:30(入館は17時まで)
休館日:月曜日(月曜日は休日の場合は翌日)、年末年始(12月29日〜1月3日)

2018年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2018/06/02 訪問

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