縄文杉は、樹高25.3m、胸高周囲16.4mもあり、樹齢7,200年と言われています。今確認されている屋久杉の中では最大・最古。
その縄文杉を見に行くためには、往復8〜10時間かかる登山が必要。
最初の3分の2ほどは資材運搬用のトロッコ列車のレールが引かれている道を歩くので、平坦な道が続きます。しかし、「大株歩道入口」から残りの3分の1が急階段になり、かなりの体力を消耗します。
道は整備され登山経験のない筆者でも登れたので、初心者でも大丈夫ですが、体力・足腰に自信のない方はお勧めできません。登山経験のない方は歩きなれない登山靴よりも、滑りにくい履きなれた運動靴の方が歩きやすいです。
初心者でも大丈夫とはいっても「山」ですので、万が一に備え非常食や長袖も持って行った方が安心です。
屋久島はとても雨が多い土地。特に縄文杉のある場所は標高1,300mになりますので、麓は晴れていても登ったら雨ということがあります。雨具の備えは必須、それも傘ではなく両手が使えるように合羽を準備しましょう。
縄文杉登山で一番困るのがトイレ。登山口の他は途中に簡易トイレが2カ所あるだけなので、携帯用のトイレを持って行くことをお勧めします。
筆者が6時間かけて縄文杉に着いたときは、ちょうど降っていた小雨が止んで霧がかかった状態でした。そしてほんの一瞬、縄文杉にかかっていた霧が晴れ、陽がさしたのです!
…その時の縄文杉の神々しさに思わず息を呑みました…圧倒的な美しさ、荘厳さ、そんな言葉では言い表すことができません。この縄文杉には神様が宿っている…そんな瞬間でした。
やはり一生に一度は見ていただきたい屋久杉のNo.1です。
縄文杉
屋久島空港〜屋久杉自然館:車約12km
屋久杉自然館〜荒川登山口 バス約40分
荒川登山口〜約10.6km(標高差約700m)
縄文杉登山の途中にも名木と言われる屋久杉がありますので、登山口に近い方から順にご紹介します。
三代杉
推定樹齢 500年、荒川登山口〜5.4km(標高740m)
名前のとおり3代目の杉。一代目が2千年で倒木となり、二代目が千年ほどで伐採、その切り株に育ったもの。屋久島の杉は伐採や倒木により、陽が当たるようになった所に元気のある若芽が育っていくことが多く、その典型的な杉。
翁杉
推定樹齢 2,000年、三代杉〜3.1km(標高1,000m)
2010年に根元から2〜4mの付近で幹が折れ、倒木となっているのが見つかりました。中の9割が腐食空洞化していたそうです。残った株であってもその古木としての風格は失っていません。
ウィルソン株
推定樹齢 2,000年余、翁杉〜0.2km(標高1,030m)
天正14年(1586年、安土桃山時代)に、豊臣秀吉により大阪城築城のために伐られたと云われる切り株。中は大きな空洞で内部には清水が湧き出しています。切り株の中に入ることができ、上を見上げると小動物になったような気が…屋久杉の古木の大きさが、目で見るよりもはるかに感じることができます。
因みに見上げたとき(写真)の空洞が、ハートの形に見えるポイントがあるようなので、余裕のある方は見つけてみてください。
大王杉
推定樹齢 3,000年、ウィルソン株〜1.1km(標高1,190m)
縄文杉が発見されるまでは最大の屋久杉と言われていたので「大王」の名前が付けられています。大王の名前に相応しい古木。
夫婦杉
推定樹齢 夫2,000年・妻1,500年、大王杉〜0.1km(標高1,230m)
3mほど離れた2本の木の枝が10mほどの高さでつながっている、珍しい屋久杉。仲良し夫婦が手を取り合っているように見え、まさしく「連理の枝」。
縄文杉登山は大変ですが、途中にある古木達が励ましてくれます。
他にも倒れて残った木がリスの形に見えたりと、ユニークな形が多いので、屋久杉の形を気にしながら歩くと、楽しみながら登山ができます。
紀元杉の推定樹齢は3,000年。
ヤクスギランドから約6kmの道沿いにあるこの紀元杉は、すぐ目の前まで車で行くことができる、唯一の古木です。
屋久杉は栄養の少ない花崗岩に生えているので成長が遅く、木目が詰まり、屋久島は湿度が高いので樹脂の多い腐りにくい性質となり、寿命が長いと考えられています。
そんな屋久杉は他の草木が着生することが多いのも特徴。この紀元杉もヒノキやヤクシマシャクナゲ、ナナカマドなど数多くの植物が育っていて、その植物の季節には紀元杉に彩りを添えています。
ジプリの映画もののけ姫の森のモデルとなったのがこの白谷雲水峡。
樹木が生い茂り、苔に覆われ、白谷雲水峡はまさしく「これぞ屋久島」といった雰囲気の鬱蒼とした森。本当に木の間からコダマが顔を出していそうです。
弥生杉コース(1時間)・奉行杉コース(3時間)・太鼓岩往復コース(4時間)の3つのコースがあり、時間や体力に合わせてコースを選択することができます。
この白谷雲水峡の中の巨木が弥生杉。推定樹齢は3,000年。上部の方の幹が複雑になっていて、江戸時代に木材に利用するのに適さないと伐採を免れたとか…。
他にも、根元が3つの足のように見える「三本足杉」、斜めになった幹の上に3本の屋久杉が並んだ「三本槍杉」、島津藩の見回り奉行が腰かけたと伝えられる「奉行杉(推定樹齢2,000年)」などここで見ることができます。
筆者が訪れた時は台風の影響で、残念ながら途中までしか行くことができませんでした。しかし薄暗い雨の中を屋久鹿が現れ、一瞬「シシガミ様」と思うような風貌でこちらを見ていたのは印象的でした。ジブリファンでなくても、訪れておきたい場所です。
白谷雲水峡
協力金:高校生以上300円
アクセス:屋久島空港〜車約20km
ヤクスギランドは屋久杉の原生林を気軽に散策できる施設。
白谷雲水峡よりもこちらの方が歩きやすく、30分・50分・80分・150分の4つの散策コースがあります。のんびり歩いて屋久杉のことを詳しく知りたい方にお勧めです。
そしてここヤクスギランドにも古木・名木はあります。
仏陀杉
推定樹齢1,800年、ユニークな形の多い屋久杉の中でも、何とも言えない灰汁のある顔つき?の幹が特徴的。
母子杉
推定樹齢は母子とも2,600年。2本が根の近くで合体していて、母はすでに枯れ、子が支えるような姿になっています。
他にも2つの杉が合体した「くぐり杉」や、橋のようになった「くぐりつが」など表情豊かな屋久杉をみることができます。中には江戸時代の伐採の試し切りの痕が残る木も。
ヤクスギランド
アクセス:屋久島空港〜車約25.5km
協力金:高校生以上300円
ご紹介した以外にも、「太古杉」や「大和杉」など名前の付けられた屋久杉は多くあります。
植物を含め生物は1,000年も生きるのは稀ですが、屋久島では縄文杉だけでなく、たくさんの屋久杉が日本の有史に匹敵する、もしくはそれ以上の樹齢を重ねています。杉は桜みたいな華やかさはないですが、その風格は一見の価値があります。
縄文杉を見に行くのは体力的に厳しくても、他の屋久杉ならば見に行ける!という方もいらっしゃるのではないでしょうか。また古木だけでなく、倒れた木の上に新しい若芽が育つなど、自然の営みを目の当たりにできるのも屋久島ならでは。
ぜひ一度屋久島に足を運び、屋久島の土地が育んだ屋久杉を見ていただきたいと思います。
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2023/12/8更新)
- 広告 -