苫小牧がいま、ちょっと盛り上がっている。
まずは、この町にある高校を卒業したマー君こと田中将大投手が
大リーグの超名門ニューヨーク・ヤンキースに移籍したこと。
そしてマー君の後輩たちが、この3月21日に開幕する
春のセンバツ高校野球に9年ぶりの出場を果たしたこと。
球春到来を告げる話題で持ちきりの苫小牧は、フェリーがやってくる港町。
茨城県大洗から午後6時半出港の商船三井フェリー「さんふらわあ」で快適な船旅を過ごすこと19時間、苫小牧フェリーターミナルに翌日の午後1時半に入港した。
午前中に入港した名古屋そして仙台発の太平洋フェリーの船が停泊しているのが見える。
このあと午後4時には、八戸からシルバーフェリーの船が入ってくるはずだ。
まさに苫小牧は北海道の「海の玄関口」である。
ここ苫小牧が開港したのは1963年のこと。
昨年はちょうど開港50周年の節目であった。
そしてこの機会にフェリーターミナルがリニューアルされた。
さんふらわあから見えたターミナルの建物は以前と変わらないように思えたが、下船して建物に向かう歩道橋に足を踏み入れて、びっくり。
以前よりもきれいで、広く採光できるガラス張りになったので、明るくなった。
これで北海道への第一歩も気持ちよく踏み出せるわけだ。
リニューアルはターミナル2階の売店やレストランでも行われていて、
いずれもあか抜けた雰囲気に。
また、新たに多目的ホールもできていて、イベントや会合などに利用できるとか。
公衆無線LANが2階全域で利用できたり、施設内がバリアフリーになっていたりと、すっかり現代のフェリー利用者に配慮したターミナルに生まれ変わっていた。
そんなリニューアルされたターミナルを明るく盛り上げるキャラクターが登場。
その名は「とまチョップ」。
このようにフェリーターミナルの前で、北海道にやってきた人たちを出迎えたり、売店や多目的ホールなど館内のあちこちで見かけることができるはず。
「とまチョップ」は苫小牧市の公式キャラクター。
最近は「ゆるキャラ」が大ブームだが、ここ苫小牧も負けてはいない。
その名の由来だが、とまこまい(苫小牧)の「とま」、ハクチョウの「チョ」、ハナショウブの「ョ」、ホッキ貝の「ッ」、ハスカップの「ップ」の組み合わせから付けられている。
白鳥、ハナショウブ、ホッキ貝、ハスカップはいずれも苫小牧の名産やシンボルとなる植物や動物である。
2012年には、「ゆるキャラグランプリ」でも12位にランクイン。
北海道内では1位に輝いた実力派でもある。
関西から苫小牧の高校に入学し、
優勝、準優勝と甲子園を沸かせたマー君。
彼に匹敵する「全国レベル」の苫小牧ヒーローの出現というウワサもあるとかないとか。
「とまチョップ」も加わって、明るさを増した苫小牧フェリーターミナル。
リニューアル最大の目玉は3階にあった。
そこでも「とまチョップ」がお出迎え。
ここが「苫小牧ポートミュージアム」だ。
その名が示すとおり、「港の博物館」。
以前から3階にあったのだが、
展示パネルもちょっと専門的で、
素人にはかなりとっつきにくいミュージアムであったことは否めなかった。
しかし、昨年7月1日にリニューアルオープンしたミュージアムは
フェリーや港にさほど興味がなくても「へ〜、ほ〜ぉ」と思わせる、
ビギナー向けの展示に変わっていた。
大きな変化は、パネル展示内容がフェリーに特化したものに一新されたこと。
苫小牧に初めてフェリー航路が開設された1973年から現在までの40年間に、名古屋・仙台、八戸そして大洗各航路に就航した船の変遷がひとめでわかるパネル。
フェリーターミナルの一日がわかる「フェリーターミナルの日常」パネル。
見るだけでなく、フェリー船内や荷役作業について詳しく知ることができるタッチパネルも導入された。
フェリーなど船旅ファンは見逃せないスポットであることはいうまでもないが、そうではない人でも、大人から子供まで楽しめるはずだ。
ポートミュージアムの展示はパネルだけではない。
過去に苫小牧港に出入りしたフェリーの備品や、船員の帽子や階級章、そしていまはなくなってしまったフェリー船社のパンフレットなど貴重な資料も見ることができる。
そしてこのミュージアムならではの展示を見逃してはならない。
それは「東日本大震災とフェリーターミナル」のコーナーだ。
3年前の3月11日に発生した大地震と津波は、苫小牧港にも影響を与えた。
津波の高さこそ2.1メートルと、大きな被害こそ免れたものの、フェリーで結ばれる八戸や仙台、大洗は津波で大きな被害を受けた。
その結果、苫小牧と本州各地を結ぶフェリーが欠航や航路変更を余儀なくされ、苫小牧を代表する自動車産業をはじめさまざまな業種に影響が出たのだった。
このコーナーでは八戸・仙台・大洗と、3つの港町が津波で受けた壊滅的な被害を写真で紹介するとともに、震災直後に自衛隊の派遣や物資の輸送など救援面でフェリーが果たした役割を紹介し、各港が立ち直っていく過程を知ることができる。
公共交通機関としては、飛行機や列車、高速バスなどに比べると、日ごろは地味な存在のフェリーだが、災害時には大きな役割を果たすのだ。
なお、この苫小牧ポートミュージアムは入場無料。
午前8時から午後8時までオープンしている。
北海道の旅を終え、再び苫小牧港から本州に行くフェリーを利用する。
北海道のお土産といえば定番がいっぱいあるけれど、往復フェリーで苫小牧にやってきた今回は、リニューアルされた売店で「とまチョップ」グッズを買おう。
売店にはちゃんと「とまチョップ」コーナーが設けてあり、ぬいぐるみからサブレ、マグカップ、Tシャツなどキャラクターグッズの種類もいっぱい。
また、大洗と苫小牧を結ぶ「さんふらわあ さっぽろ」の船内売店でも、この1月から「とまチョップ」グッズの販売が始まった。
マー君に続き、「とまチョップ」人気は北海道から全国、さらに世界へ広がるのか?
それはわからないけれど、乗船前のひとときをフェリーターミナルの売店で「とまチョップ」グッズを買うことに費やしたのだった。
開港50年を記念して、北海道の玄関口にふさわしい施設へと生まれ変わった苫小牧フェリーターミナル。
ゆるキャラの「とまチョップ」も登場して、以前にはなかった明るさとワクワク感がターミナルに加わった。
そして苫小牧ポートミュージアムには、下船後または出港前の時間を利用して、ぜひ、足を運んでほしい。
とりわけ、あの東日本大震災から3年の歳月が経過し、記憶の風化が少しずつではあるが進行しているいま、それを忘れないことと、フェリーという乗り物が、実は日本という地震の多い国かつ四方を海に囲まれた国では、いかに重要な存在であるかを考えるいい機会だと思うから。
これから北海道は本格的な旅行シーズンを迎える。
本州と橋が架かっていない北海道だからこそフェリーで、さまざまなことを発見する旅をどうぞ!
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(2024/4/17更新)
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