写真:今村 裕紀
地図を見る「豊島」の玄関口は、山口県の宇野港、香川県の高松港、直島、犬島からの船便が到着する「家浦港」。そこから島に点在する作品を巡る手段としては、バスもあるのですが、本数が少ないため、なによりも港で借りることが出来る電動自転車が断然、便利です。
ここでは、島を時計回りに巡っていきます。反時計回りですと、最後に登り坂を迎えますので、最初に少し頑張る方のルートをおすすめします。左手に海を眺めながら「唐櫃(からと)」地区の内陸部に到着すると眼下に地面に潤う水滴のような建物が見えて来ます。「豊島美術館」です。
どのような作品が展示されている美術館かと言えば、展示物は何もありません。建物の内部に入り、二か所の開口部から差し込んで来る光や風を感じながら、断続的に湧き出て来る地下水の水滴(泉)がコンクリート打ちっぱなしの床を伝ってゆっくりと流れていく光景を眺めるー「豊島美術館」は、そんな空間自体を全身で感じる美術館なのです。
写真:今村 裕紀
地図を見る小高い丘の中腹に立つ美術館の庭からは、瀬戸内海が臨まれ、スケッチをしたり、語らい合う人たちなど、のどかな光景が見受けられます。
写真:今村 裕紀
地図を見る美術館の丘からは棚田の美しい光景が。この棚田は、2010年に始まった「瀬戸内国際芸術祭」に合わせて棚田プロジェクトとして再生された棚田です。美術館、棚田、どれもアートです。
<豊島美術館の基本情報>
開館時間:10:00〜17:00(最終入館16:30)
料金:1,540円 ※15歳以下無料
写真:今村 裕紀
地図を見る島を周遊する道から外れて、一旦、唐櫃地区の唐櫃港に降りてみます。
港近くの公園にある、イオベット&ポンズの「勝者はいないーマルチ・バスケットボール」。人影の少ない公園で、ひそかにシュートに挑戦してみましょう。どのリングを狙ってもいいのですから。ちょっと、むきになってしまうかもしれません。
この先には、世界中から集められた心臓音が流れるクリスチャン・ボルタンスキーの「心臓音のアーカイブ」の展示施設があります。時間に余裕があれば、寄ってみましょう。
島の周遊道路に戻るため、再び「豊島美術館」への上り坂を電動自転車で辿ります。
写真:今村 裕紀
地図を見る「豊島美術館」から島を南下し始めると、しばらく穏やかな風景がひろがります。車や人家も途絶えて、少し不安になりますが、瀬戸内の海と蜜柑畑を眺めながら進んで行くと、島のちょうど真南の「甲生(こう)地区」に到着。そこにあるのが気鋭の作家、スプツニ子!の「豊島八百万(やおよろず)ラボ」です。展示施設へのアプローチには鳥居が迎えてくれます。
写真:今村 裕紀
地図を見る古民家の外観を残したほぼ無柱の空間。島の中央にそびえる檀山に向かって絵馬が風になびきます。また、敷地内の改修した民家では、アートと科学のコラボレーションにより新たな神話を生み出そうとする試みがなされています。
<豊島八百万ラボの基本情報>
開館時間:10:30〜16:30
料金:510円 ※15歳以下無料
写真:今村 裕紀
地図を見る「豊島八百万ラボ」から畑を超えて海に向かい、海岸通り沿いすぐにある「ドンドロ浜商店」は、小さな小さな民家のようなお店で、金、土、日のみの営業ですが、ここのおにぎりや素麺は、とにかくおすすめです。季節によっても変わりますが、おにぎりは、豊島の食材を使用して、のり・うめ・塩を始め、くるみやこんぶなど、とにかく種類が豊富で選ぶのにひと苦労です。また、素麺は野菜たっぷりです。
<ドンドロ浜商店の基本情報>
営業時間:11:00〜16:00
香川県小豆郡土庄町豊島甲生807-5
「甲生公民館前」バス停より徒歩5分
写真:今村 裕紀
地図を見る「甲生地区」からひたすら北上し、ほぼ、「家浦港」の近くにある横尾忠則と建築家・永山祐子による「豊島横尾館」。この扉の向こうにひろがる展示空間は、「母屋」「倉」「納屋」で構成されていて、テーマは、「生と死」。時代と空間を超えた艶やかな色彩絵画。白砂の庭に配された池を囲む毒々しいまでに真っ赤な庭石と青過ぎる池の水。血液を想起させる赤ガラス。来館者は、まさに「死の島」に迷い込みます。
けれど、この館は、死の体験を通して無意識に生のエネルギーを放出しているのです。まさに「生と死」を感じさせる必見の展示空間です。
<豊島横尾館の基本情報>
開館時間:10:00〜17:00(最終入館16:30)
料金:510円 ※15歳以下無料
写真:今村 裕紀
地図を見るドイツのアーティスト、トビアス・レーベルガーの「あなたが愛するものは、あなたを泣かせもする」。空家をレストランに改装したもので、カフェの名前は「カフェ・イルベント」。
外観は瓦屋根の古民家ですが、内部に一歩踏み入ると、白と黒を基調にした、ちょっと目がチカチカしそうなストライプ模様が施された部屋が1階です。
写真:今村 裕紀
地図を見る2階は同じく白と黒のドット模様にカラフルな色彩が配されたデザイン。天井や床、壁、テーブル、椅子、ありとあらゆるものに模様や色彩が施されていて、内部すべてが作品なのです。
豊島の展示施設内部は、ほとんどが撮影禁止なのですが、ここは数少ない撮影可の展示施設のひとつです。カラフルな空間を思う存分に切り取ってみて下さい。
<トビアス・レーベルガーの基本情報>
開館時間:10:30〜16:30
料金:300円
豊島には、ご紹介した作品以外にも、まだまだたくさんの展示作品があります。それが、島全体が美術館という所以です。時間と相談して、島の自然とアートにたっぷりと触れてみて下さい。
電話番号:0879-68-3135
営業時間:9:00〜17:00
※いずれもNPO法人豊島観光協会
アクセス(家浦港へ):
岡山県宇野港からフェリーで40分
香川県高松港からフェリーで35分
香川県直島から高速船で22分
香川県犬島から高速船で25分
2018年7月の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
今村 裕紀
東京生まれの東京育ちで、自分の行動範囲の日本しか知りませんでした。ですから、「○○県」とか「△△県」と言われましても、噂や写真や映像では見たことがありますが、その存在を確認出来ないでいました。もしかし…
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