名古屋城本丸御殿が完成!徳川家と狩野派が作り上げた極彩色世界

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名古屋城本丸御殿が完成!徳川家と狩野派が作り上げた極彩色世界

名古屋城本丸御殿が完成!徳川家と狩野派が作り上げた極彩色世界

更新日:2018/07/26 17:33

Mizuki Yoshiのプロフィール写真 Mizuki Yoshi 歴史街道トレッカー、伝統の「ワザ」案内人、日本クルーズ&フェリー学会員

2009年開始の名古屋城本丸御殿復元工事が2018年6月に竣工。第一期工事で表書院・玄関、第二期工事で対面所・下御膳所までの公開に加え、第三期工事で上洛殿、湯殿書院、黒木書院が加わり全館公開となりました。一期、二期工事部分は、尾張藩初代藩主義直の政庁と住居ですが、三期工事部分は、将軍家光の上洛に合わせ増築したもの。共に戦国時代を生き抜いた、徳川家と狩野派の意気が感じられる本丸御殿をご紹介します。

全館こけら葺きの大屋根、壮大な名古屋城「本丸御殿」

全館こけら葺きの大屋根、壮大な名古屋城「本丸御殿」

写真:Mizuki Yoshi

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戦災で完全に焼失した本丸御殿ですが、奇跡的に運び出されていた障壁画や襖絵、豊富に残っていた図面や写真などを基に、往時の姿そのままに色鮮やかにほぼ完全復刻しました。総予算は約150億円!一歩足を踏み入れれば、最初に完成した戦国時代慶長期や、上洛殿が加わった徳川幕府安定期の寛永時代にタイムスリップした気分になるような精度。内部は全てが当時の材料にまでこだわって作られています。

本丸御殿玄関東側から入場すると、表書院、対面所に加え、第三期工事で完成した上洛殿まで見学できるようになりました。湯殿書院と黒木書院の見学は一旦本丸御殿から出て、玄関南側から本丸御殿西端にある入口から入場します。

全館こけら葺きの大屋根、壮大な名古屋城「本丸御殿」

写真:Mizuki Yoshi

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第三期工事完成により、本丸御殿南側を歩くことが出来るようになりました。金シャチの天守閣を背景に新しい景色をみることができます。(尚、天守閣は木造復元化が決まり、現在入場できませんが、工事日程は明確になっておらず、しばらく天守閣の風景を楽しめます。)

湯殿書院と黒木書院のガイドツアー(無料)は、9:15からスタート(日本語ツアー)し、1時間に2回(日本語ツアー)実施されます。この他に英語ツアーと中国語ツアーがそれぞれ1時間に2回ずつ設定されています。英語、中国語参加者が居ない場合、日本語ツアーへの切り替えも可能。17:00の日本語ツアーが最終です。

全館こけら葺きの大屋根、壮大な名古屋城「本丸御殿」

写真:Mizuki Yoshi

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本丸御殿の西端からは、日本を代表する壮大な二つの書院建築がのびやかに並ぶ景観をご堪能下さい。まるで造営した江戸時代の雰囲気のまま真新しい木の匂いが漂ってくる風景です。中央手前が上洛殿、右手後方の一画が表書院と玄関、屋根は全てこけら葺きです。本丸御殿総床面積は3,100平方メートル、部屋数30以上を誇ります。

上洛殿と表書院のほぼ中間の表書院側(奥側)が、戦国時代末期慶長期の造営、手前側が徳川幕府の安定期となった寛永期の造営です。瓜二つに見える上洛殿と表書院外観ですが、中の格式には明確な違いを見ることが出来ます。この後ご紹介。

本丸御殿には、藩主義直が1616年(元和2年)から居住しましたが、1620年(元和6年)に二之丸御殿に移住し本丸御殿は将軍宿泊専用に。1626年(寛永3年)に二代将軍秀忠が上洛時に宿泊したほか、1634年(寛永11年)に三代将軍家光が、上洛に合わせて造営された上洛殿に一度だけ宿泊しています。

将軍家光を迎えた極上の「上洛殿」

将軍家光を迎えた極上の「上洛殿」

写真:Mizuki Yoshi

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襖絵の格式は、走獣、花鳥、人物、山水と上がって行きますが、色彩あざやかな色合いから、淡い水墨画へ変化します。上洛殿三之間の襖絵(右手)では、狩野派のシステムを作り上げたカリスマ、狩野探幽が手掛けた山水画「雪中梅竹鳥図」を見ることができます。原画には、梅の枝にとまる雉子には尾だけしか残っていませんでしたが、今回の復元画では雉子の姿が描き込まれました。

将軍家光を迎えた極上の「上洛殿」

写真:Mizuki Yoshi

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上洛殿一之間東側の襖絵は、将軍や大名の行動規範になる「帝鑑図」が描かれています。やはり狩野探幽の作。水墨の輪郭に緑や青などの色が付けられています。

襖絵の上に見えるのが極彩色の彫刻欄間。その立体感と色彩に圧倒される豪華絢爛の技。欄間一枚の彫刻には、現代富山県井波の職人10人が、200種類以上のノミを駆使し、半年以上かけて彫り上げています。色付けは京都で行われました。

「くぎ隠し」の彫金装飾の大きさ、精密さ、贅沢さを表書院や対面所のものと比較してご覧になって下さい。

将軍家光を迎えた極上の「上洛殿」

写真:Mizuki Yoshi

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上洛殿廊下にも極彩色の彫刻欄間と透かし彫りの「花狭間格子欄間(右手)」を見ることができます。天井画は現在も一部製作中です。

400年の歴史を持つ狩野派は、室町幕府、信長、秀吉、家康ら権力者との関係を構築しました。戦国時代末期には生き残りをかけ、一門を豊臣家、徳川家、宮廷の3グループに分割し、豊臣、徳川のどちらが勝利しても生き残る体制で臨みました。

一方徳川家も最終勝者となり、上洛殿が完成する寛永期には義直を筆頭とする、尾張、水戸、紀州の徳川御三家も権威が高まる時期を迎えていました。

「湯殿書院」と「黒木書院」

「湯殿書院」と「黒木書院」

写真:Mizuki Yoshi

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ガイドツアーで入場する「湯殿書院」と「黒木書院」は20分程度で見学できます。湯殿書院は上洛する将軍のお風呂(蒸し風呂)があります。写真は湯殿書院二之間の襖絵。

「湯殿書院」と「黒木書院」

写真:Mizuki Yoshi

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中央奥の祠のような場所の中が、上洛する将軍専用のお風呂(蒸し風呂)です。小さな部屋に入り下から湧き上がる湯気に浸かる方式。上の小さな扉をあかり取りや家臣との会話に使ったそうです。

「湯殿書院」と「黒木書院」

写真:Mizuki Yoshi

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黒木書院は、清洲城にあった家康の書院を移設したものだといわれています。本丸御殿は殆ど木曽檜で造営されていますが、黒木書院は松材使用のために色が濃く、それが名前の由来になっています。一之間、二之間とふた間ありますが、静かなな佇まいに落ち着きますよ。

尾張藩主義直の政庁「表書院と玄関」

尾張藩主義直の政庁「表書院と玄関」

写真:Mizuki Yoshi

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表書院と対面所を含む本丸御殿は、大坂夏の陣が間近に迫った慶長20年(1615年)に完成。名古屋城はもともと、大坂城の豊臣勢に対する防御の要塞として作られました。

本丸御殿は例えれば、尾張藩のホワイトハウス。初代藩主徳川義直の政務と居住の場所です。政庁部分が表書院で、正式の謁見の間です。表書院全体で5部屋あり、136畳もの広さを誇ります。奥の部屋が藩主が座る一段高い上段之間です。

尾張藩主義直の政庁「表書院と玄関」

写真:Mizuki Yoshi

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上段之間を左に、一之間、二之間、三之間を見通すのがこの写真。88畳分を見渡します。一之間の襖絵は、原画が残る花鳥図「桜花雉子図」。

襖は空けても締めても画の魅力が衰えることがありません。襖は訪問の都度、閉まっていたり開けられていたりし、毎回違う雰囲気を楽しめます。欄間は、細い縦格子に三本横桟が入った欄間です。

尾張藩主義直の政庁「表書院と玄関」

写真:Mizuki Yoshi

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玄関一之間の「竹林豹虎図」。襖絵や障壁画は背景がすべて金箔で「走獣」画です。藩主に謁見する前に、訪問者が待つ場所ですが、威嚇的な絵になっている一方、豹の親子などに柔和な表情を見ることも出来ますよ。

藩主義直のプライベート空間「対面所」は名古屋ハデ婚のルーツ?

藩主義直のプライベート空間「対面所」は名古屋ハデ婚のルーツ?

写真:Mizuki Yoshi

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藩主が身内などとのプライベートな対面や宴席に使われたのが対面所です。対面所次之間は、藩主義直と和歌山出身の春姫の婚礼が行われた場所だといわれています。和歌山の風景が描かれた風俗画が見事。家康は九男義直の婚礼のために名古屋城に赴いた後、初陣の義直を伴い大坂夏の陣にあわただしく出発しました。

春姫輿入れの際の行列は熱田から名古屋城まで(約7km)続いたといわれており、調度品の長持ちだけで300棹あったのです。これが名古屋のハデ婚の発祥だと言われています。

藩主義直のプライベート空間「対面所」は名古屋ハデ婚のルーツ?

写真:Mizuki Yoshi

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藩主が座る上段之間の障壁画は京都の四季や人々の生活を描いた風俗画です。柔らかいタッチに癒されますよ。

藩主義直のプライベート空間「対面所」は名古屋ハデ婚のルーツ?

写真:Mizuki Yoshi

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上段之間の天井は、二重に折り上げた格天井(ごうてんじょう)。黒漆塗の天井の中央が更に折り上げられた手の込んだ細工に、金箔が貼られた豪華なものです。

名古屋城本丸御殿の基本情報

住所:愛知県名古屋市中区本丸1-1
電話番号:052-231-1700
アクセス:
地下鉄名城線「市役所」下車、7番出口より徒歩5分
鶴舞線「浅間町」下車、1番出口より徒歩12分
市バス 栄13号系統(栄〜安井町西) 「名古屋城正門前」下車
なごや観光ルートバス「メーグル」で「名古屋城正門前」下車

2018年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/07/19 訪問

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