将軍が名付けた珍しい坂道。東京・飯田橋駅そばに佇む若宮町・ゆ嶺坂

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将軍が名付けた珍しい坂道。東京・飯田橋駅そばに佇む若宮町・ゆ嶺坂

将軍が名付けた珍しい坂道。東京・飯田橋駅そばに佇む若宮町・ゆ嶺坂

更新日:2018/07/27 11:12

雲本 らてのプロフィール写真 雲本 らて ブロガー、坂道探検家

JR飯田橋駅そばの神楽坂商店街から一歩離れた新宿区若宮町界隈。このエリアは昔ながらの町割りが今でも多く残っています。そんな場所柄もあり江戸時代から存在する坂道もたくさん残っています。今回は界隈の数ある坂道の中でも「ゆ嶺(ゆれい)坂」という珍しい名前の坂道について紹介しつつ、界隈の史跡などについても取り上げます。

    徳川将軍が坂名を付けたという珍しい坂道

    徳川将軍が坂名を付けたという珍しい坂道

    写真:雲本 らて

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    「ゆ嶺坂」は、JRもしくは東京メトロ飯田橋駅からなら徒歩3分ほどとかなり駅近にあります。ただその割に、ゆ嶺坂自体はひっそりとしています。坂名については、江戸幕府二代将軍である徳川秀忠により命名されたと伝えられています。付近に有名な梅林があり、秀忠はこの地を大いに気に入り、その梅林にのぼっていく坂道をゆ嶺坂と名付けました。なお、ゆ嶺というのは、中国の有名な梅の名所のことです。

    ちなみに都内では、ゆ嶺坂のように当時の将軍が名付けた坂道は2つしかなく、そういう意味でも貴重な坂道と言えるでしょう。

    徳川将軍が坂名を付けたという珍しい坂道

    写真:雲本 らて

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    坂の南西側(写真でいえば右側)には立派な擁壁と塀も隣接しています。現在はその内側の敷地はマンションになっていますが、かつてはお屋敷だったと推測され、その痕跡としてエントランスには当時の面影がつよく残る立派な門と塀が残されています。

    あとは、在日大韓基督教会東京教会(設計は保坂陽一郎建築研究所)も坂の途中に隣接しています。一見の価値はある教会建築です。

    徳川将軍が坂名を付けたという珍しい坂道

    写真:雲本 らて

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    ゆ嶺坂は、いくつもの別名があります。その数はなんと7つで、幽霊坂、祐玄坂、若宮坂、唯念坂、行人坂、新坂、そしてゆ嶺坂と呼ばれていました。その中でもこの坂道は、幽霊坂と別名で呼ばれていたことからも、江戸時代からひっそりとした場所だったことがうかがえます。

    また坂上あたりには、別名で名付けられている若宮坂の由来ともなっている神楽坂若宮八幡神社も隣接しています。なお、神楽坂若宮八幡神社は鎌倉時代に源頼朝公により建立された由緒ある神社です。

    そういう歴史的な経緯からも、もしかしたら、この神社があったからこそ、当時の将軍もこの坂道に名前をつけてみたくなったと想像してみるのも楽しいかもしれないですね。

    名もなき坂道も歩いてみると

    名もなき坂道も歩いてみると

    写真:雲本 らて

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    ゆ嶺坂を訪れたならあわせて歩いてほしい坂道もご紹介します。場所でいえばゆ嶺坂の北東側を並行して走っており、ここは名前のない坂道です。ゆ嶺坂と比べてもあたらしく江戸時代にはなかった道です。

    ただ、この坂道はなんといっても坂の途中に見ておきたい場所が点在しており、その中でもおすすめなのが、若宮公園です。一見なんの変哲もない公園のように見えるのですが、実際は所々に工夫がこらされています。武家屋敷をイメージした公園で、冠木門をはじめ、坂道に隣接しているところでは城壁の石組が見られ、岩窟便所と呼ばれる公衆トイレのつくりも印象的です。

    名もなき坂道も歩いてみると

    写真:雲本 らて

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    また坂の中腹あたりには、近代科学資料館もあります。ここは展示物はもちろん、1906年(明治39年)に建設された東京物理学校(東京理科大学の前身)の木造校舎を復元したというクラシカルな外観の建物も印象的です。

    名もなき坂道も歩いてみると

    写真:雲本 らて

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    さらに坂下あたりには、「坊っちゃんの塔」という名のモニュメント(数学者の秋山仁氏と彫刻家の平戸貢児氏による制作)も隣接しています。これは隣接している東京理科大学のキャンパス内に設置されたものですが、今回の坂道からもよくみえる場所にあります。

    なお、坊っちゃんの塔は、夏目漱石の小説”坊っちゃん”の主人公が、東京物理学校(東京理科大学の前身)を卒業した数学教師であったことに由来します。五面体「ペンタドロン」をモチーフにした変わった外観ですので、ひと目でわかると思います。

    堀端の景色

    堀端の景色

    写真:雲本 らて

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    ゆ嶺坂の坂下は、外堀通りです。外堀通りは外濠に沿って計画された道路です。坂道からも外濠の景色はちらりと見えますが、やはり外堀通りからの景色も壮観です。通りには、街路樹にトウカエデが選ばれ、外濠とともに四季の堀端の景色を楽しむことができます。


    ぜひゆ嶺坂を訪れた時は、なにげない景色、名前のない坂道についても気になったら歩いてみてください。おもわぬところで界隈の有名無名の史跡に出会えることもあると思いますよ。

    ゆ嶺(ゆれい)坂の基本情報

    所在地:東京都新宿区若宮町および神楽坂1と市谷船河原町の間
    アクセス:東京メトロ・飯田橋駅より徒歩3分

    ※ゆ嶺坂の”ゆ”は、漢字で「まだれ(广)に臾」と書きますが、機種依存文字のため、ひらがなとしました。

    2018年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

    掲載内容は執筆時点のものです。

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