静岡の巨樹茂る神秘の霊場を拝観〜千葉山智満寺の十本杉

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静岡の巨樹茂る神秘の霊場を拝観〜千葉山智満寺の十本杉

静岡の巨樹茂る神秘の霊場を拝観〜千葉山智満寺の十本杉

更新日:2018/07/26 17:27

大木 幹郎のプロフィール写真 大木 幹郎 巨木マニア、中級登山者、ブロガー

静岡県の中央部に位置する島田市。駿河湾に注ぐ大井川の下流域で、南部には日本一のお茶の産地、牧之原大茶園があります。北部の南アルプスに連なる山域には、全国的にも珍しい、巨樹が密集する山が。それは智満寺の境内地である千葉山。山内には幹周りが7mを超える巨樹が群生。国指定天然記念物の十本杉をはじめ、巨樹に包まれた神秘の霊場、千葉山智満寺の拝観をご案内します。

千葉山智満寺〜巨樹に包まれた神秘の霊場

千葉山智満寺〜巨樹に包まれた神秘の霊場

写真:大木 幹郎

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智満寺は島田市街地の北に聳える山、標高496mの千葉山に開かれた寺院。本堂を囲む伽藍は山の中腹に位置し、アクセスは市街地から車で約20〜30分ほど。幽玄な山奥の立地でも比較的容易に辿りつけます。

智満寺は奈良時代に創建された天台宗の古刹。開山は鑑真和上の孫弟子である広智上人とされます。有力な武将から帰依を受けてきた歴史があり、源頼朝、戦国大名の今川氏、徳川家康などにより伽藍が普請。国指定重要文化財の本堂(写真)をはじめとした見事な寺院建築は、江戸初期に再建されたもの。

智満寺は駿河三十三観音霊場の3番札所。御朱印は本堂の奥に建つ本坊でいただけます。

千葉山智満寺〜巨樹に包まれた神秘の霊場

写真:大木 幹郎

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智満寺の十本杉は、千葉山の山頂付近に点在する10本の杉の巨樹(現存は7本)。何れも幹周は7m以上、樹齢は800年以上。これほどの巨樹が一地域に保存されていることは全国的にも大変貴重。国の天然記念物に指定されています。

ここは千葉山山頂の一角の風景、十本杉のうち2本(右:大杉、奥:達磨杉)。左手前は無名の杉ですが、山中には数多くの巨木が群生。千葉山は巨樹の森に包まれた神秘の霊場です。

千葉山智満寺〜巨樹に包まれた神秘の霊場

写真:大木 幹郎

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はじめにご紹介する十本杉は、現存する中で最大の幹周を持つ「大杉」。幹周9.5m、樹高40m。隆起した根周りは13mに近い太さ。森の王のような貫禄、威風堂々たる立姿です。

なお、十本杉を含め、ご紹介する巨樹の幹周と樹高の数値は、環境省の巨樹巨木林データベースより引用しています(2000年度の調査記録)。

智満寺の伽藍に寄り添う楠の巨樹

智満寺の伽藍に寄り添う楠の巨樹

写真:大木 幹郎

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ここは智満寺の本堂前の様子。右奥に建つ石鳥居(背後に薬師堂)が山頂へ続く山道の入口。本堂にて御本尊(千手観音)へ礼拝を済ませた後、十本杉が立ち並ぶ山頂へ進みましょう。

さて、智満寺の巨樹といえば十本杉ですが、境内には見事な楠(クスノキ)の巨樹もあります。仁王門の隣と本堂の近くに立つその2本をご紹介。なお、本堂の背後には、県指定天然記念物の銀杏(イチョウ)の巨樹がありました。大銀杏は幹周7mの立派な巨樹でしたが、残念ながら2000年に倒伏。現在は根株に残された二世代目が成長中です。

智満寺の伽藍に寄り添う楠の巨樹

写真:大木 幹郎

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この楠は、県指定文化財である仁王門(江戸初期の建立)の向かって左側に立つもの。境内で最初に目に映る立派な巨樹です。幹周7.3m、樹高20m。大きく膨らんだ根元には空洞がありますが、とても元気な立姿。仁王門の迫力ある仁王像と共に注目しておきましょう。

智満寺の伽藍に寄り添う楠の巨樹

写真:大木 幹郎

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この楠は、本堂の向かって右側の斜面に立つもの(トイレの背後)。幹周6.6m、樹高19m。大きく隆起した根元と瘤が特徴的で、斜面側の道から見上げる姿は特に迫力があります。見逃すのは勿体無い見事な立姿。伽藍を拝観する際には忘れずに立ち寄りましょう。

千葉山の山頂への案内

千葉山の山頂への案内

写真:大木 幹郎

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十本杉の点在する千葉山山頂への道をご案内。写真は山頂に設置された案内図(方角は右が北)で、本堂と十本杉の位置がよく分かります。本堂の前(標高約350m)から山頂(標高496m)までの移動は約30分。山頂に点在する十本杉を巡る移動は約15分ほど。

なお十本杉のうち、開山杉・子持杉・頼朝杉の3本は既に倒壊。源頼朝の手植えと伝えられる頼朝杉は、幹周9.26mもの巨樹でしたが、2012年に倒伏。幹の一部は弥勒菩薩像(仏師・江里康慧氏)となり、その神々しい姿は本堂で拝観できます(堂内撮影禁止)。

千葉山の山頂への案内

写真:大木 幹郎

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山道の道中の様子。鬱蒼たる樹林の中を登る山道ですが、キツイ急傾斜や崩れた場所もなく、山道としては登りやすい状態。道中の主な見所は、入口付近では、薬師堂とその背後にある頼朝杉の跡(根元が残存)と、日吉神社の周辺に並ぶ杉の巨木。中間地点では、石鳥居(写真)の先の左手にある子持杉の跡(祠が建つ)などです。

千葉山の山頂への案内

写真:大木 幹郎

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ここは千葉山の山頂に建つ奥之院。鎌倉時代に創建され、千葉山の守護神として阿修羅坊大権現が祀られています。かつて奥之院の背後には、広智上人のお手植えと伝わる開山杉が立っていました。開山杉は十本杉のうち最大で、幹周が11mもあったとされる巨樹。昭和39年(1964)に国の天然記念物に指定された後に倒伏。その巨体は山に還っていきました。

智満寺の十本杉(達磨杉・盛相杉・一本杉)

智満寺の十本杉(達磨杉・盛相杉・一本杉)

写真:大木 幹郎

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十本杉で千葉山の山頂に現存する7本。先に紹介した大杉から、逆時計周りに残りの6本をご紹介します。まずは達磨杉。大杉のすぐ北側に立つ巨樹で、2本の姿は同時に目にすることができます。幹周7m、樹高30m。名前は、根元の幹が膨れて達磨に似ているとされたことに由来。十本杉の中でも特に溌剌とした雰囲気を感じさせる巨樹です。

智満寺の十本杉(達磨杉・盛相杉・一本杉)

写真:大木 幹郎

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これは十本杉の盛相(もっそう)杉。達磨杉から少し西に離れた場所(奥之院からは北)に立っています。下枝の位置が高く、1本の幹に整った姿から、スマートに見えてしまいますが、幹周7.8m、樹高40mもの巨樹。名前は、盛相という行者が植えたという伝承に由来。

智満寺の十本杉(達磨杉・盛相杉・一本杉)

写真:大木 幹郎

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これは盛相杉から少し西に離れた場所に立つ一本杉。幹周8.5m、樹高45m、十本杉の中で最も背が高い巨樹。スラリと立ち昇る姿は盛相杉と似た印象。遥か高い上層の枝が作る笠には目が届かず、見上げる姿は大空に透けていくように神秘的。

智満寺の十本杉(経師杉・常胤杉・雷杉)

智満寺の十本杉(経師杉・常胤杉・雷杉)

写真:大木 幹郎

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智満寺の十本杉のうち残り3本をご紹介。これは経師(つねもろ)杉で、立つ場所は一本杉の北西。幹周7.38m、樹高36m。笠のように放射状に広がった下枝が多く、見上げた姿が実に壮観。

経師杉は、寺伝によると千葉太郎経師という人物の手植え。鎌倉時代に智満寺を普請した武将は千葉常胤。その次男である師常(もろつね)に該当する人物かもしれません。

智満寺の十本杉(経師杉・常胤杉・雷杉)

写真:大木 幹郎

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この十本杉は常胤(つねたね)杉。一本杉からは南側に離れ、すぐ東隣には雷杉の姿。幹周7.2m、樹高30m。武士の勲章か、刀傷のような鋭い亀裂が印象的。十本杉の中でも特に古木らしい風格があります。

智満寺の寺伝によると、常胤杉は源頼朝の家臣・千葉常胤の手植え。常胤は智満寺の伽藍の普請を行っており、山号は常胤を称えて千葉山となったそうです。

智満寺の十本杉(経師杉・常胤杉・雷杉)

写真:大木 幹郎

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最後の十本杉は、常胤杉のすぐ東隣、奥之院からは少し西に離れて立つ雷杉。幹周8.5m、樹高36m。十本杉の中でも特に荒々しい凄みのある立姿。名前は雷神の怒りが顕現したかのような姿に由来。根元には不動明王像が祀られています。

以上、千葉山智満寺と十本杉のご紹介でした。開山から1000年以上の歴史を持つ清浄なるお山の霊場。伽藍は江戸初期の荘厳な本堂や仁王門を囲むもので、景観は山の自然と調和して風雅。境内には十本杉を含めて幹周りが7mを越える巨樹が群生。幽玄な山奥の立地ですが、市街地から車でのアクセスは比較的容易。全国的も貴重な巨樹に包まれた神秘の霊場を拝観してみませんか。

千葉山智満寺の基本情報

所在地:静岡県島田市千葉254
札所:駿河三十三観音霊場・第3番札所
連絡先:0547-35-6819
駐車場:門前茶屋の前に有り
アクセス:
車で35分、新東名・藤枝岡部ICか島田金谷IC
電車では島田駅から約25分(タクシー利用)

最後に以下、補足情報です。

■本坊の受付時間(10:00〜16:00)
本堂の奥に建つ本坊(寺務所)の受付にて、御朱印・御札・御守りなどをいただけます。受付が開かれている時間帯は、基本的に10時から16時頃までなのでご注意ください。

■山中で火気を使わない
山火事を防ぐため、山中では火気の使用をご遠慮ください。特に千葉山のハイキングコースを目当てに訪れるハイカーの方、各種燃料を使ったストーブ(バーナー)を山中で使用しないようご協力ください。

■十本杉に大切に
十本杉には根元まで接近できますが、保護のために、なるべく根元を踏まないように見学しましょう。残り7本となった国指定天然記念物の十本杉。後世に伝えるべき大切な宝物です。

2018年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/02/23 訪問

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