写真:村松 佐保
地図を見る『鋸山』の正式名称は「乾坤山」(けんこんざん)。江戸時代から盛んに行われた採石のため岩肌が露出して、鋸の歯のように見えることから『鋸山』と呼ばれるようになりました。
『乾坤山日本寺』(正式名称)は725年に開かれた勅願所(ちょくがんじょ)です。鋸山の南斜面に広さ約10万坪(東京ドーム約7個分)の境内が広がります。5つのエリア「山頂エリア」「羅漢エリア」「大仏広場」「中腹エリア」「表参道エリア」に別れ、関東一円を見下ろせる絶景や岩窟に並ぶ石仏群など数々のスポットに魅了されます。
筆者はロープウェーで山頂まで約4分間の空中散歩を楽しみました。山麓駅から30度ほどの傾斜を一気に登るゴンドラ。切り立った岩肌や東京湾、富士山などを望める大パノラマを満喫できます。
料金:
大人 片道 500円 往復 900円(12歳以上)
小児 片道 250円 往復 450円(6歳以上)
筆者は山頂から下山しながらご案内させていただきますが、『鋸山日本寺』までのアクセス方法は複数あります。下記[MEMO] アクセス(鋸山 日本寺) でご確認ください。
写真:村松 佐保
地図を見るロープウェー山頂駅から10分ほど歩くと、『日本寺』西口入口があります。参観料をお支払いし、境内マップをいただきます。「山頂エリア」には展望台が二カ所。「山頂展望台」と「十州一覧台」で雰囲気が全く違いますが、どちらも絶景を楽しむには最高! 展望台から眺める富士山は格別です。
鋸山の象徴「地獄のぞき」がある「山頂展望台」の下には、航海、航空、陸上交通の安全を守る本尊の「百尺観音」(約30メートル)が祀られています。岩肌の間から天を仰ぐと見える「地獄のぞき」。見上げただけでゾッとしている筆者です。そして山頂展望台に登ると、ごつごつした岩場から絶景を満喫できます。突き出た岩に作られた「地獄のぞき」。筆者は足が竦んでのぞけません。
一方、「十州一覧台」はその名のとおり、北は筑波や秩父、西から南は富士や大島など、眺めが十州に及ぶ景色を楽しむことができる穏やかな展望台。改めて階段を上らなければならないため、訪れる人が意外と少ないようです。ベンチが置かれた小さな憩いの場。おすすめスポットです。心和む時間をゆっくり味わってください。
拝観料:
大人 600円
小人 400円(4〜12歳)
写真:村松 佐保
地図を見る「山頂エリア」から少し下ったところの「羅漢エリア」には、百躰観音、千五百羅漢、聖徳太子像やあせかき不動など、いたるところに石仏が並んでいます。
険しい岩肌に点在する石仏さまたちを見ながら歩く石段。千五百羅漢は、石工の大野甚五郎が21年もの歳月をかけて彫ったかけがいのない文化財。途中大木の根が蜘蛛の巣のように地面を張っているところもあり、寺が歩んできた長い道のりがうかがえます。
「奥の院無漏窟(むろうくつ)」へと続く狭い岩穴「薜蘿洞(べきらどう)」をくぐると、不思議な緊張感すら覚えます。薜蘿とは、つる性植物「つた」のことで、つたが絡まるほら穴のような意味合いがあります。
流れ落ちる水の音が聞こえてくると、もうすぐ「不動滝」。ホッと肩の力が抜けます。喜怒哀楽に富んだ顔、1つとして同じ顔がない石仏さまたちに囲まれる貴重な時間を堪能できます。
写真:村松 佐保
地図を見る大仏さまの名称は「薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)」。医王という別名で呼ばれることもあります。病苦を救ってくれる医薬の仏さまで、左手に薬壺を持っているのが特徴です。
日本寺の大仏さまは高さが日本一! 1969年に4年かけて復元し再現しました。原型は1783年に大野甚五郎が門弟27名と共に3年間で完成させたもので、像高は31メートル。「大仏広場」にずっしりと構え、穏やかな表情で迎えてくれます。
また近くには、かわいい「お願い地蔵尊」が祀られ、願掛けをする人たちも大勢います。落ち着いた広場には海を眺められる木のテーブルやベンチもありますので、お弁当を食べながら話に花を咲かせるのも楽しいですね。
牛久(茨城)の大仏さまの方が大きいと、不思議に思われる方も多いようです。全高120メートルというとてつもない大きさの牛久大仏さまは青銅製(ブロンズ)立像の日本一。日本寺の大仏さまは座像石像大仏(岩を彫刻して掘った石仏)として日本一なのです。
「中腹エリア」は国指定重要文化財の「日本寺鐘」や「四方竹」、「頼朝蘇鉄」など心安らぐエリアです。四角形の形をした珍しい竹や、樹齢800年を超えている、頼朝自らが手植えしたと言われている頼朝蘇鉄も見どころです。
筆者は山頂から下りてきましたので最後のご紹介となりましたが、「表参道エリア」には、草書体の心をかたどった「心字池」、目の覚めるような朱色の「観音堂」や「仁王門」などがあり、情緒溢れる佇まいが心に残ります。
表参道から眺める「仁王門」は美しい。仁王(二王)の名で親しまれている、金剛力士像は開口の阿形(あぎょう)像、口を結んだ吽形(うんぎょう) 像、2体を一対として安置されています。また参道の階段数が多いことでも知られています。御影石の階段はなんと2,639段あります。
境内には上り下りの階段が多く、足場があまり良くないところもあります。足の疲れと危険を軽減するために、ぜひ歩きやすいシューズでいらっしゃることをおすすめします。
房総半島の名勝はいかがでしたでしょうか。斜面に広がる境内の多彩な姿に驚きの連続です。スケール抜群の『鋸山日本寺』で、すてきな旅をご堪能ください。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
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(2024/4/20更新)
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