フランクフルトから電車で約70分の距離にあるリューデスハイム。父なるライン川沿いにある町は陽気な気候に恵まれ、趣きたっぷりな木造家屋が並ぶ大通りを中心に、多くの人たちが地元ワインを飲みながら楽しい時を過ごします。
ロマンチックツアーとは、リューデスハイム周辺の自然や名所を歩きながら巡れるチケットのこと。この一枚で、リフトやゴンドラ、船を利用でき、ラインシュタイン城というおとぎ話に登場しそうな古城も入場できます。別々で購入するより約10ユーロも安く、自分のペースでまわれるのも嬉しいポイントです。
写真:浅井 みら野
地図を見るロマンチックツアーは、乗り物のチケットカウンターや観光案内所で購入できます。どこの場所からでもツアーは開始できますが、リューデスハイムのゴンドラ(Seilbahn)乗り場から始めるのがおすすめ。ゴンドラはぶどう畑の上を縦断するように進み、整列された畑がこちらに押し寄せる様子は、まるでマスカット色の大海原を航海しているようです。
ゴンドラは二人乗り。高度が上がっていくスピードもゆっくりで、のどかな風が丘を吹き抜けます。畑の作業風景が見られることも。
写真:浅井 みら野
地図を見る約10分のゴンドラ乗車を経て、展望台があるニーダーヴァルド記念碑(Niederwalddenkmal)へ。目の前にはライン川に沿うように広がるリューデスハイムの町並みとぶどう畑が。ライン川対岸の町ビンゲン(Bingen)も見渡せます。
写真:浅井 みら野
地図を見る展望台には、高さ12mを超す人物像があります。普仏戦争後のドイツ帝国発足を記念し、19世紀後半にドイツ民族を象徴するゲルマニア像が建設されました。
展望台でのどかな田園風景を楽しんだ後は、ドイツ人も大好きな森の中へ。晴れた日は木漏れ日が眩しく、曇りの日は木々の緑が一層鮮やかに。清々しい空気を吸い込めば、身体が軽くなってくるのも感じるはず。多少の小雨なら、森の葉や枝によって濡れるのを防いでくれます。
ベンチも一定の距離ごとに設置されているので、疲れたらひと休みを。展望台やゴシック様式の古い塔などの見どころも数か所あります。
写真:浅井 みら野
地図を見る森の中を西へ進むこと約2kmで、リフト(Sessellift)乗り場が見えてきます。近くにはホテルもあり、オープンテラスで食事を楽しむ人の姿も。
今度は二人乗りリフトに約20分間乗って、丘を下っていきます。向かう先はライン川沿いにあるアスマンスハウゼン(Assmannshausen)という町です。
動画:浅井 みら野
歩く速度と同じくらいのスピードで進むリフトですが、周囲の景色はめまぐるしく変わります。最初は左右に高い木々が並び、少し圧迫感が感じる場合もありますが、そのぶん目の前の景色が開けた時の爽快感は格別。町に近づくにつれ、足元すれすれまでワイン畑が近づき、吸い込まれるようにリフト降り場に到着します。
写真:浅井 みら野
地図を見る白ワインのリースリングが有名なリューデスハイムに対して、アスマンスハウゼンは赤ワインが名産。両方の町は5kmとも離れていませんが、地形や気候が微妙に変化するため、育つぶどうの品種も異なります。レストランでは地元ワインを飲むことができ、ここでドイツ料理の昼食をとるのもおすすめです。リューデスハイムに比べ、観光客も少なく、住民の暮らす様子が身近に感じられます。
写真:浅井 みら野
地図を見るアスマンスハウゼンからは船に乗り、ラインシュタイン城(Burg Rheinstrein)へ。アスマンスハウゼンからラインシュタイン城への船は、平日は1日1便、週末は1日4便と便数が少ないのでご注意を。
船上からは、ライン川沿いに広がるぶどう畑に古城など時の流れを遡るようなクルーズを楽しめます。中世以来の建築が多く残り、自然と見事に融和した景観は高く評価されていて、リューデスハイムやアスマンスハウゼン含むライン渓谷中流上部は、ユネスコ世界遺産にも登録されています。
ドラゴンや囚われのお姫様が住んでいそうなラインシュタイン城の目の前が船着き場。ロマンチックな外観に心も浮き立ちますが、実は結婚式も行えます。ドイツ人だけでなく、日本人も挙式を挙げたことがある、人気の会場です。
写真:浅井 みら野
地図を見る重厚な石造りから頑強なイメージを受けますが、敷地内に入れば芳醇な草花の香りが迎えてくれます。中庭にはバラやラベンダーのほか、この土地らしいぶどうの木も植えられています。
写真:浅井 みら野
地図を見る建物内には中世から時が止まったような部屋を数室と礼拝堂にステンドグラスなど見学できます。19世紀中盤までは廃墟と化していましたが、徐々に改装が始まり、当時使われていた家具もヨーロッパ中から集めたことで、すぐにでも住めそうな状態になりました。
ラインシュタイン城見学後は、もう一度船に乗ってリューデスハイムへ。ロマンチックツアーは船のみ2回乗れますので、最後の立ち寄り先をアスマンハウゼンやビンゲンで降りることもできます。
広大なぶどう畑を空中から眺めたり、ライン川クルーズや古城散策したりなど、チケットに導かれるまま歩けば、リューデスハイム周辺の見どころを楽しく巡れるロマンチックツアーは、女性にとって白馬の王子様、男性にとって世話焼きな姉貴的存在。ぜひ訪れた際は、華麗なエスコートに身を委ねてみてはいかがでしょうか。
2018年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事の関連MEMO
この記事を書いたナビゲーター
浅井 みら野
イタリア生まれ、ドイツ育ちの日本人です。まだまだ知られていないけど、魅力的な土地を世界、国内問わず紹介しています。ヨーロッパ、アメリカ方面が多いですが、呼ばれればどこへでも。冬はゲレンデに出没すること…
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索