写真:六三四
地図を見る霧島市を縦断する二級河川天降川(あもりがわ)。その支流である霧島川が流れるのが隼人町松永。自然豊かな田園地帯には現在、温泉が多く湧出しています。個人所有の温泉や共同湯、福祉施設などで温泉は利用されているのですが、決して知名度は高くありません。そう!小鹿野温泉を除いては。
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地図を見る鹿児島交通バス停にもなっている小鹿野温泉。霧島火山地域南部の地域には妙見(みょうけん)温泉や日当山(ひなたやま)温泉など古くから温泉が湧出していました。自然湧出の温泉があったため、これを中心に開発がはじまり、現在、鹿児島代表する温泉地となっています。しかし、松永地域はそれまで温泉兆候はなく、掘削技術の進歩とともに温泉が得られるようになりました。小鹿野温泉もそのひとつです。
小鹿野温泉は、はじめ「財前湯(ざいぜんゆ)」という名称で営業をはじめます。その後、経営者の名前からとった自炊湯治施設「小鹿野温泉幸荘」になりました。当時はアトピーに効果があると言われ、医者もすすめるほどだったとか。全国各地から皮膚疾患を抱える方の多くが藁をも掴む思いで訪れていたそうです。
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地図を見るアトピー温泉と知られた「小鹿野温泉幸荘」。しかし、時代の流れに逆らう事は出来ませんでした。レジャー嗜好の変化、周辺地域の温泉増加、施設老朽化、そして、経営者の高齢化と、いくつもの要因が重なり長期休業のまま閉館してしまいました。
このまま廃業と誰もが思っていた時、小鹿野温泉に惚れ込んだ「美肌の湯こしかの温泉」のオーナーが現れます。足しげく何度も幸荘に通い、高齢となった前経営者の想いを聞き、新築という形ではなく全面改修という選択で、あらたな小鹿野温泉をスタートさせたのです。
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地図を見る現オーナーは鹿児島県内いくつもの家族湯に携わってきました。とはいっても温泉経営者ではなく現場で実際に家族湯を作ってきた職人。独創的な発想でユニークな家族湯をいくつも手掛けています。
前経営者の想いを大事にして新しい温泉施設にしたい。オーナーの気持ちに応えるように、ひとり、またひとりとオーナーの元に職人さんが集まってきます。職人さんたちとオーナー、手探りでの温泉作りが始まります。いざ工事に入ると試行錯誤の連続でオープン予定日はどんどん延長。しかし、オーナーには焦りの色はありませんでした。「いい温泉にしたい」、その想いは現場の職人さんたちも同じで、明るい現場での作業がゆっくりゆっくりと進んでいったのです。
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地図を見る当初、開業予定は2018年5月でしたが工事は延長。しかし、工事期間2年という時間を費やし、ようやく7月にプレオープン。そして、2018年7月20日に正式オープンしました。
旧幸荘の躯体を残して長い工事に至った最大の理由は、「新しくなった小鹿野温泉に前の経営者を招待したかったから」。以前の建物を全て取り壊し、さら地の状態であれば工事期間短縮、コストも縮小出来たはずです。しかし、手間暇かかる改修での工事を貫抜いたのは、前経営者に少しでも昔の幸荘の雰囲気を残せればというオーナーの優しい想いからだったのです。
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地図を見る遊び心いっぱいの男女別大浴場と旧小鹿野温泉にもあった長屋式の家族湯は、各部屋ごとに内風呂と露天風呂の趣向を凝らしたものに。全ての部屋に冷暖房、テレビが設置され時間たっぷりと寛げるつくりになっています。
そして、一見、客室のようなベッドが置かれた家族湯は、将来的に長期滞在者用の湯治部屋として新設しました。風呂あがりに濡れたままでも利用出来るようにとベッドは防水対策がなされてあります。ホテルの一室のような内湯と露天風呂の付いた贅沢な家族湯で、通常2,300円/60分〜とリーズナブルな価格で日帰り利用もできるというから驚きです。
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地図を見る広々とした男女別大浴場と長屋式の家族湯があるのにも関わらず、何故、本館に客室タイプの家族湯まで作ったのか?それにはオーナーの心配りがありました。「ひどいアトピーで本当に困ってる人にじっくり入って治してもらいたいから。一緒のお風呂だと嫌がるお客さんもいるし。個室だったら周囲の目を気にしなくてもいいでしょ」。はにかみながら、そう答えてくれたオーナー。これこそが「美肌の湯こしかの温泉」の基本コンセプトなのです。
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地図を見る現在「美肌の湯こしかの湯」は2本の源泉があります。ひとつは昭和53年当時「小鹿野温泉幸荘」営業時からのもので、もうひとつは新たに掘削したもの。全21室の家族湯に安定した温泉を提供するために意を決して行った温泉掘削。温泉を得るというのはある意味博打だと人は言います。多大なコストがかかり、絶対はありません。リスクを背負ってまで踏み切ったのは「本当に困ってる人の為」だったのです。
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地図を見る最後に肝心の温泉についてです。泉質は旧温泉はナトリウム-炭酸水素塩泉、新温泉はナトリウム-カルシウム-マグネシウム-炭酸水素塩泉。平成26年7月に「温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準」で、両泉ともに適応症は一般適応症の他にきりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症。改訂以前は、きりきず、やけど、慢性皮膚病でした。つまり、皮膚のトラブルの改善に効果が期待出来る泉質という事になります。
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地図を見るしかしながら、諸要因によって発症している全ての人に対してアトピーが治る!とは断言する事は出来ません。しかし、過去において、小鹿野温泉でアトピーが劇的に改善したという事例が多いのは既成事実。治らないと乱暴に否定する事は出来ないのです。温泉には、現代の科学では解明できていない事が山積しています。未知の領域での効果だからこそ『魔法のいで湯』と呼ばれた所以はそこにあるのかもしれません。
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地図を見るリニューアルオープンはしたものの、2018年7月31日現在も工事が続いている「美肌の湯こしかの温泉」。オペレーションは機能するようになっという事。今後、24時間営業体制の確立や食事処もオープンする方向ですすんでいます。真の完成はまだまだ先になりそうですが、「本当に困っている人の為に」というオーナーと、こしかの温泉スタッフ皆さんの奮闘に乞うご期待!という事で。
住所:鹿児島県霧島市隼人町松永2625
電話番号:0995-43-4046
アクセス:JR隼人駅から国道223号、県道472号線を経由し車で20分
2018年8月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/3/19更新)
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